キミは年金をもらうことができる?みんなで支える制度のヒミツ

税金と社会保障
2025年5月に新たな改正案が可決。改悪か改良か見ていきましょう

もらえる年金、どう変わる?2025年の新しいルール

私たちは、歳をとってきたら「年金」という仕組みで国からお金をもらって生活費の足しにすることができます。

これは、働いている間に少しずつお金を出し合い、歳をとったり、病気やケガで働けなくなったりしたときに、みんなで助け合うためのものです。でも、お年寄りが増えて子供や働ける若い人が減っているいま、「将来、自分は年金ってもらえるのかな?」と心配になったことはありませんか?実は、この年金のルールが、2025年に少し変わることになりました。

今回の話では、年金制度がなぜ大切なのかをまず考えてみます。そして、2025年5月16日に国会で決まった年金制度改正法について、どんな内容なのかを簡単に見ていきましょう。この新しいルールが、私たちの将来にどんな影響を与えるのか、誰がトクをして、誰がソンをするのか、一緒に考えてみてください。

年金制度って、どうして必要なの?

年金制度は、私たちが安心して暮らすための大切な「保険」のようなものです。具体的には、次の3つの役割があります。

  • お年寄りの生活を支える役割:
    • 歳をとって仕事を辞めた後も、年金があることで毎日の生活費に困らずに暮らせるようにします。
  • 働いている人を助ける役割:
    • もし、おじいちゃんやおばあちゃんが年金をもらえなかったら、子どもたちが生活費のすべてを支えなければならないかもしれません。年金があれば、子どもたちの負担が軽くなり、家族みんなが安心して暮らせるようになります。
  • 社会全体を安定させる役割
    • みんなで少しずつお金を出し合うことで、もしもの時に特定の人がひどく困ってしまうのを防ぎ、社会全体が安定して暮らせるようになります。

日本の年金制度は、賦課方式(ふかほうしき)という方法で成り立っています。これは、今働いているお父さんやお母さんが納める保険料を、その時の年金をもらう人たちに支払う、という仕組みです。つまり、今働いている人たちの保険料が、今お年寄りの方々の年金になっている、ということなのです。


2025年の年金制度改正法って、どんなこと?

2025年5月16日に国会で成立した年金制度改正法は、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律等の一部を改正する法律という少し長い名前の法律です。この法律は、日本の年金制度をこれからもずっと安定して続けていくために、いくつか大事な変更を加えました。

厚生労働省の資料によると、主な変更点は次の3つです。

  1. パートで働く人の年金加入を増やす
    • これまで年金制度に入る条件が厳しかったパートタイムで働く人たちが、もっと多くの人が年金に入れるようになります。これにより、将来年金をもらえる人が増える可能性があります。
  2. 確定拠出年金(DC)をもっと使いやすく
    • 会社員や公務員が自分で積立額を決めて運用する「確定拠出年金」という仕組みが、もっと便利になります。これにより、将来のためのお金を自分で増やしやすくなります。
  3. 年金をもらい始める年齢を選べる幅を広げる
    • 年金をもらい始める年齢を、これまでの60歳から75歳までの範囲だけでなく、80歳まで選べるようになります。これにより、長く働く人や、まとまった年金を後から受け取りたい人など、一人ひとりの生き方に合わせた選び方ができるようになります。

この改正は、少子高齢化が進む日本で、年金制度を支え続けるための大切な一歩だと考えられています。しかし、この変更が誰にとって有利で、誰にとって不利になるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。


誰がトクをして誰がソンをする?

年金制度の変更は、多くの人の生活に影響を与えます。今回の変更によって、誰がどのような影響を受けるのでしょうか?

トクをする可能性がある人

  • パートタイムで働く人
    • これまでは年金に加入できなかった人たちが、加入できるようになることで、将来年金を受け取れる可能性が広がります。特に、これまで厚生年金に加入できなかった短い時間働く人たちが、将来の年金受け取り額を増やせるチャンスになります。
  • 確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)を利用する人
    • 確定拠出年金は、自分で貯めたお金を運用し、その結果が将来の年金受け取り額に反映される制度です。今回の変更で、この制度がより柔軟に使えるようになるため、積極的にお金を増やして老後のお金を増やしたいと考えている人には有利になる可能性があります。
  • 長く働く意欲のある人・健康なお年寄り
    • 年金を受け取り始める年齢を75歳から80歳まで遅らせる選択肢が増えることで、その分だけ受け取る年金額が増えます
    • 例えば、現在、年金の受け取りを1ヶ月遅らせるごとに約0.7%年金額が増えることになっています。もし75歳まで遅らせると、65歳から受け取る場合と比べて年金額が84%も増えます。さらに80歳まで遅らせることが可能になれば、年金額を大幅に増やせる可能性があります。健康で長く働ける人にとっては、老後の生活をより豊かにする選択肢となります。

ソンをする可能性がある人(または負担が増える人)

  • 社会保険料を新たに支払う必要があるパートタイムで働く人
    • これまで年金制度に入っていなかったパートタイムで働く人が、新たに対象となることで、給料から社会保険料(年金保険料と健康保険料)が引かれることになります。これは手取りの収入が減ることを意味するため、毎日の生活費に影響が出る可能性があります。
  • 早く年金を受け取りたい人
    • 年金の受け取り開始年齢を選べる幅が広がる一方で、早く年金を受け取りたいと考える人にとっては、年金を遅らせることで受けられるメリットを享受できないという側面があります。また、早く受け取る場合の減額率は変わりません。そのため、制度全体としては、早く受け取る人ほど損をするという構造は変わりません。
  • 働いている人全体
    • 年金制度全体を長く続けるための変更ですが、子どもの数が減りお年寄りが増える中で、働いている人が年金保険料を負担する「賦課方式」の仕組みは変わりません。将来的に年金をもらう人が増え続ければ、働いている人の負担がさらに増える可能性も考えられます。

この変更は、年金制度を維持するための大切な取り組みである一方で、一人ひとりの働き方や将来の計画によって、トクをする人もいれば、負担が増える人もいる、という側面があることを理解しておくことが大切です。


各政党の年金に関する考え方はどうなっているの?

年金制度は、私たちの生活に深く関わるため、色々な政党がさまざまな考え方を持っています。

自由民主党(保守、中道右派 左傾傾向)

賛成:自民党は、今回の年金制度改正法を推し進めた中心の政党です。子どもの数が減りお年寄りが増える中で、年金制度を将来にわたって安定させることが最も大事な問題だと考えています。特に、色々な働き方に合わせた社会保障制度を作ろうとしており、今回のパートタイムで働く人の年金加入を増やすこともその一部です。

また、お年寄りが仕事を続けやすくして、年金を受け取り始める年齢を選べる幅を広げることで、一人ひとりの生き方に合わせた選択をできるようにすることを大切にしています。年金のためのお金が安定して入ってくるように、経済を成長させて税金が増えることも重要だと考えています。

立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)

反対:立憲民主党は、今回の法律の変更案に反対しました。主な理由として、パートタイムで働く人の年金加入を増やすことで、手取りの給料が減ってしまう可能性があることや、年金を受け取り始める年齢を遅らせる選択肢が増えることが、実質的に「年金が減らされる」ことにつながると心配しています。

年金制度をこれからも続けていくためには、消費税を上げたり、お金持ちからの保険料を増やしたりするなど、もっと公平で根本的な変更が必要だと主張しています。また、「最低保障年金」のように、誰もが安心して暮らせる年金制度の実現を目指しています。

日本維新の会(保守、右派、リベラル)

賛成:日本維新の会は、今回の年金制度改正法に賛成しました。年金制度がこれからもずっと続けられることを大切にし、根本的な変更が必要だと強く訴えています。具体的な提案として、お年寄りも働いている人と同じように、働いた分に応じた社会保険料の負担を求めることや、たくさん年金をもらっている人の年金受け取り額を減らすことなどを掲げています。

また、将来の不安をなくすために、年金制度を「見える化」して、国民が自分の年金がどうなるのかを分かりやすくすることを求めています。

公明党(中道、保守)

賛成:公明党は、与党(政府と一緒に政治を行う政党)の一員として、今回の年金制度改正法に賛成しました。昔から、「国民皆年金」(国民全員が年金に入れる制度)をしっかり守ることと、これからも続けられる制度を作ることを訴えています。

今回の変更では、特にパートタイムで働く人の年金加入が増えることで、より多くの人が将来年金を受け取れるようになることを良いことだと評価しています。また、お年寄りが働きやすくなる支援や、年金を受け取り始める年齢を選べる幅が広がることで、色々な生き方を支える年金制度を目指しているとしています。

国民民主党(中道、保守、リベラル)

賛成:国民民主党は、今回の年金制度改正法に賛成しました。年金制度がこれからもずっと続けられることと、国民の将来の不安をなくすことを大切にしています。

特に、年金制度を根本的に変える必要があると訴えており、働いている人の負担を軽くすることと、将来の年金受け取り額をしっかり確保することの両方を実現するための話し合いを求めています。今回の変更は、そのための第一歩として良いと評価する一方で、さらなる変更が必要なことも指摘しています。

日本共産党(革新、左派)

反対:日本共産党は、今回の年金制度改正法に強く反対しました。年金を受け取り始める年齢を選べる幅が広がることは、実質的に「年金が減らされる」ことになり、国民の生活を苦しめるものだと批判しています。

また、年金のためのお金を確保するためには、大企業やお金持ちからの税金を増やすことや、軍事費を減らすなど、他のところからお金を使うべきだと主張しています。誰もが安心して暮らせる「最低保障年金」制度を作ることを求めています。

参政党(保守、右派)

反対:参政党は、今回の年金制度改正法に対し反対の立場をとりました。年金制度の根本的な問題は、国のお金の使い方にあると考えており、簡単に法律を変えて国民の負担を増やすべきではないと主張しています。

お年寄りの生活は国がしっかり守るべきであり、そのためには、経済のやり方を変えたり、国の無駄な出費を減らしたりすることなどが先に必要だとしています。

れいわ新選組(革新、左派)

反対:れいわ新選組は、今回の年金制度改正法に強く反対しました。年金を受け取り始める年齢を選べる幅が広がることは、国民にさらなる負担を強いるものであり、誰もが安心して老後を送れる制度ではないと批判しています。

年金制度を続けるためにお金を確保するには、お金持ちからの徴収を強くしたり、消費税をなくしたり、国がお金を出すことで年金のためのお金を確保すべきだと主張しています。すべての国民に「生活保護の基準と同じくらいの年金」を保証することを目標としています。

日本保守党(保守、右派)

反対:日本保守党は、今回の年金制度改正法に反対しました。年金制度の根本的な見直しが必要だと考えており、今回の変更だけでは足りないと指摘しています。

特に、お年寄りの生活を守るためには、国の責任を明確にし、社会保険料の負担増に頼るだけでなく、経済を成長させて税金が増えるなど、色々な方法でお金を集めることを訴えています。


まとめ:年金制度、私たちはどう関わる?

2025年の年金制度の変更は、日本の将来を考えた大切な変化です。パートで働く人、長く働きたい人、それぞれに影響があることが分かりましたね。

今回の変更は、年金制度を長く続けるための工夫です。でも、社会の状況に合わせて、年金制度もまた変わっていくかもしれません。

私たちはこれから、この年金制度とどう関わっていくのでしょうか?将来に向けて、年金についてもっと深く知り、自分に合った選択をするために、何ができるでしょうか?

年金は、若いキミたちにとっては遠い将来の話だと思われがちですが、実は私たちの生活と深くつながっています。この機会に、年金についてもっと考えてみることが、あなたの将来を豊かにする第一歩になるかもしれません。

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