スプリング制度が変わる。日本の未来の研究者を応援する国の制度

こどもと教育
博士課程の学生を支援するスプリング制度。外国人への支援廃止の動き

Spring(スプリング)制度とは

制度の概要と、なぜスプリング制度が大切なのか

「スプリング制度」は、正式には「次世代研究者挑戦的研究プログラム」といいます。これは、日本科学技術振興機構(JST)が中心となって進めている、若い研究者、特に博士課程の学生さんを支援するための仕組みです。

この制度が作られた目的は、優秀な研究者が経済的な不安なく研究に集中できるようにすることです。日本では、博士課程の学生さんの多くが、生活費を稼ぐためにアルバイトなどをしているのが現状です。このため、研究に費やせる時間が少なくなってしまうことが課題でした。

この制度は、そのような状況を改善し、日本の科学技術の未来を担う人材を育てるために、2020年度(令和2年度)から始まりました。

支援の実態と、改正案の方向性について

スプリング制度による支援は、主に日本の大学院に在籍する博士課程の学生が対象です。支援を受けるには、学業成績や研究内容が評価される必要があります。

大学の学費ってどれくらいかかる?

スプリング制度は、全国の多くの大学で実施されています。下記は国公立大学と私学の学費で、国公立で80万円程度、私立では130万円程度かかります。

  • 国立大学: 文部科学省の省令で定められた標準額は、入学金が282,000円、授業料が535,800円です。
  • 公立大学: 国立大学と同程度の学費であることが多いです。
  • 私立大学: 入学金は国公立大学とあまり差はありませんが、授業料の平均額は約100万円です。

参照元: 旺文社教育情報センター「2025年度 大学の学費平均額」(2025年9月13日現在)

受け入れ人数は大学ごとに異なりますが、2024年度(令和6年度)の新規プロジェクトでは、大阪大学で500人程度、上智大学で14人など、それぞれの大学が設定した人数が支援を受けています。

日本人学生と外国人学生の比率

スプリング制度は、文部科学省が選定した大学に限って支援が実施されています。

2024年度(令和6年度)の支援学生数は、財務省の資料によると、合計で10,125名でした。このうち、約4割にあたる約4,050人が外国人留学生でした。残りの約6割、約6,075人が日本人学生となります。

出典:財務省「令和7年度予算執行調査(令和6年度実施)調査項目一覧」 https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2025/sy0706/11.pdf

外国人学生の出身国別の詳細な内訳と支出については、財務省の資料によると、外国人留学生への支援額が全体の約32%にあたる約22億円で、約8割を占める中国人学生への支援が30%以上を占め、約16億円が税金から支払われています。具体的な内訳は以下の通りです。

国籍人数比率支出
日本6,075人60%約46億円
中国3,240人32%約18億円
韓国データなしデータなし約1.3億円
台湾データなしデータなし約0.8億円
ベトナムデータなしデータなし約0.5億円
その他外国人学生810人8%約1.4億円
合計10,125人100%約68億円

スプリング制度をめぐる外国人学生への支援への不満と制度改正

スプリング制度は、日本の科学技術の未来を担う人材を育成するための重要な制度として期待されています。しかし、制度の運用をめぐり、さまざまな論点が議論されています。

例えば、日本の税金を使って外国人学生を支援することの是非や、日本人学生への支援を優先すべきではないかという声もあがっています。

この声を受け、2027年度以降は生活費相当額の支給が日本人学生に限定される方針が固まりました。年間最大290万円の支援額のうち、最大240万円の生活費相当部分が対象となり、研究費(毎月最大50万円)は引き続き留学生にも支給されます。この変更は、先の表で表したとおり、2024年度の受給者の約4割が留学生(うち中国籍の学生が多数)であったことなどを受け、国会で問題視されたことが背景にあります。

各政党の政策

このような議論に対し、各政党はどのような考えを持っているのでしょうか。次に、それぞれの政党の考え方を見てみましょう。

各党の考え方や主張は、最新の各政党ホームページの政策や公約、党首の発言、ニュース記事などを参考にしています。各政党の考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。

自由民主党(自民党:保守、中道右派、左傾傾向)

  • 外国人学生への支援は、将来的に見直すべきだと考えています。
  • 日本の科学技術力の向上には、まず日本人学生の育成を優先するべきだと主張しています。
  • 外国人への支援は、別の制度で対応するか、日本の国益に資する特定の分野に限定すべきだと考えています。

立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)

  • 外国人学生への支援を制限したり、廃止したりすることには反対しています。
  • 国境を越えた研究ネットワークを維持し、グローバルな視点で人材を育成することが日本の国際競争力を高めるために重要だと主張しています。
  • 外国人留学生の受け入れは、日本の文化や社会の多様性にも貢献すると考えています。

日本維新の会(保守、右派、リベラル)

  • 日本の税金は、まず自国の学生の支援を優先するべきだと考えています。
  • 外国人学生への支援は、日本の国益に資するかどうかを厳しく評価し、必要最小限にとどめるべきだと主張しています。

公明党(中道、保守)

  • 日本人学生の支援を強化することには賛成するものの、外国人学生への支援を完全に廃止することには慎重な姿勢を示しています。
  • 国際的な研究交流は、日本の学術の発展に不可欠であり、バランスの取れた制度設計を求めています。
  • 外国人留学生への支援は、日本の国際貢献の一環でもあると考えています。

国民民主党(中道、保守、リベラル)

  • 日本の未来を担う人材を、自国で育成することが最も重要だと考えています。
  • 外国人学生への支援は、必要に応じて柔軟に対応すべきであり、日本人学生への支援を優先しつつ、国際的な研究協力を進めるバランスが重要だと主張しています。

日本共産党(革新、左派)

  • 教育はすべての人に平等に与えられるべきものであり、国籍で差別するべきではないと主張しています。
  • 科学技術の発展には、国境を越えた研究協力が不可欠であり、外国人学生への支援は継続するべきだと考えています。

参政党(保守、右派)

  • 日本の国益を最優先すべきだと考えており、外国人への支援をなくして、日本人学生の育成に集中することを支持しています。
  • 外国人への支援は、日本の安全保障上の観点からも慎重であるべきだと主張しています。

れいわ新選組(革新、左派)

  • 教育を受ける機会は、すべての学生に平等に与えられるべきだと主張しています。
  • 外国人学生への支援を打ち切ることは、人種差別につながる恐れがあると警鐘を鳴らしています。

日本保守党(保守、右派)

  • 日本人学生の育成を最優先するべきだという考えを強く打ち出しています。
  • 税金は、日本の未来を担う日本人学生のために使うべきだと主張しています。
  • 外国人学生への支援は、日本への貢献度などを厳しく審査するべきだと考えています。

まとめ:日本の将来を担うのは日本人か外国人か?

今回のスプリング制度に関する議論は、一見すると私たちとは関係のない、難しい話に聞こえるかもしれません。しかし、この制度は、日本の将来の科学技術を担う人材をどのように育てるかという、とても重要な問題に関わっています。そして、この問題に対するそれぞれの政党の考え方は、日本の未来をどのように考えているか、という政治の根本的な部分を示しています。

政治は、私たちの生活の様々な部分とつながっています。例えば、科学技術への投資や、教育、そして国際関係のあり方も、すべて政治で決まっています。政治家は、私たちの代わりに、日本の未来をどうするか、ということを決めているのです。

だからこそ、私たちは、政治に無関心ではいられません。政治家がどんな考えを持っているのか、政党がどんな政策を掲げているのかを知ることは、私たちの生活をより良くするためにとても大切です。

今回のスプリング制度に関する議論について、あなたはどの政党の考え方に共感しましたか。そして、その政党の考え方は、日本の未来にどのように影響を与えると思いますか。

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