令和の米騒動。お米が足りない、高すぎる?

食料の安全

私たちの食卓と未来を考える、大切な政治の話題です

昨年の夏前頃から現在にかけて、お米の値段が昨年の2倍以上に跳ね上がり、店頭にもほとんど並ばない状態が続いてきました。現在は備蓄米が放出されたこともあり、米不足に関しては若干落ち着きを取り戻しつつありますが、価格はまだ昨年に比べて1.5倍以上の高騰が続いています。

「なぜこんなことが起きているの?」「私たちの食卓はこれからどうなるの?」と不安に思う人も多いと思います。これは、日本の食料や農業がこれからどうなっていくのかを考える上で、とても大切な政治の話題です。

このページでは、今まさに起きている「令和の米騒動」がどんなものなのか、その背景にある「減反政策」とは何なのか、そして日本の各政党がどう考えているのかを、皆さんに分かりやすくお伝えしていきます。

今、まさに起きている「令和の米騒動」

私たちは「令和の米騒動」と言われる米不足と価格高騰に直面しました。2024年7月頃から品薄になり、価格も昨年の2倍以上に高騰する異例の事態となりました。

この価格高騰と品薄の背景には、複数の理由が複雑に絡み合っていますが、特に農林水産省(のうりんすいさんしょう)の需要予測が大きく外れたことと、実質的な減反政策が根本的な原因だと考えられています。日本の主食用米(私たちが普段食べるお米)の自給率は100%ですので、問題は国内の農産体制にあるということです。

具体的な原因は以下の通りです。

  • 農林水産省の需要予測の誤り:農林水産省は、長年にわたりお米の消費量が減り続けると予測し、減反政策廃止後も、それに合わせて生産量を減らす政策(実質的な減反政策)を続けてきました。しかし、実際には新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き、外食産業の需要が回復したり、海外からの観光客(インバウンド)が増えたりしたことも一因となって、お米の消費が予想以上に増えました。この需要予測のずれが、現在の米不足の大きな要因となっています。
  • 国内生産の課題と品質低下2023年産米は、記録的な猛暑の影響で品質が低下したお米(白濁米など)が増えました。一等米の比率が48%から37%に低下するなど、流通できる高品質なお米の量が実質的に減少したのです(出典:NLIリサーチインスティテュート)。これにより、市場に出回るお米の量が減り、価格が上昇しました。
  • 物流コストの上昇:「2024年問題」と呼ばれるトラックドライバー不足などにより、お米を運ぶための費用も増え、それが価格に上乗せされています。

このような状況で、国が持つ「備蓄米(びちくまい:いざという時のために保管しているお米)」の放出が行われましたが、その中には、飼料米(しりょうまい:家畜の餌にするお米)寸前の古古古米のような、品質の良くないお米も含まれました。

この「令和の米騒動」は、日本の食料安全保障(しょくりょうあんぜんほしょう:食料を安定して確保できること)の脆弱さ(ぜいじゃくさ:もろさ、弱さ)を浮き彫りにしました。

問題の根本は「減反政策」?

今起きている米不足と価格高騰の根本的な原因の一つとして、長年続けられてきた「減反政策(げんたんせいさく)」が指摘されることがあります。

減反政策とは?

「減反政策」とは、国が農家の人たちに、お米を作る田んぼの面積を減らしてもらうように促す政策のことです。

昔、日本は食料不足に苦しんだ時代がありました。例えば、大正時代には、お米の値段が高くなりすぎて、貧しい人々がお米を買えなくなり、全国で「米騒動(こめそうどう)」という大きな暴動が起きたこともあります(1918年)。このため、国は農家にお米をたくさん作るように促してきました。

ところが、高度経済成長期に入り、食生活が豊かになると、パンや麺類を食べる人が増え、お米の消費量が減っていきました。その一方で、農業技術が進歩してお米がたくさん作れるようになったため、1960年代後半には、お米が市場に余ってしまう「米余り(こめあまり)」の状態になってしまったのです。

お米が余ると、値段が下がってしまい、農家の収入が減ってしまいます。そこで、国は農家の生活を守るため、そしてお米の値段を安定させるために、1970年から「減反政策」を本格的に始めました。農家の人たちには、お米の代わりに麦や大豆、野菜などを作るように促したり、田んぼを休ませたりすることに対して、国がお金を補助する仕組みが作られたのです。

この政策は、名前を変えながらも長年続けられ、2018年に国による生産目標の配分が廃止されました。しかし、その後も米作以外の作物に補助金を出すなど、実質的に米の生産を抑制する政策は続いています。これにより、農家が自由に米を増産しにくい状況が生まれ、いざという時に供給を増やせない原因の一つになっています。

「なぜ作らないことにお金が出るの?」という疑問

減反政策の大きな特徴は、「お米を作らないこと」に対して国がお金を出す、という点です。これに対して、「なぜ一生懸命作ることではなく、作らないことにお金が出るの?」という疑問の声が上がることがあります。

  • 費用対効果のギモン:減反政策のために使われる補助金は、国民の税金です。この巨額の補助金が、本当に日本の農業や食料の安定に最も効果的な使い方なのか、費用対効果の面で疑問が投げかけられることがあります。「作らないことでお金をもらえるなんて、おかしくない?」と感じる人もいるかもしれません。
  • 国際競争力の低下:減反政策によって、日本の農家は大量生産やコスト削減の努力をする必要が薄れたため、国際的な競争力が育ちにくくなった、という批判もあります。海外の安いお米が入ってきたときに、日本の農家が太刀打ちできなくなるのではないか、という心配です。

70年代には牛乳生産量も調整。過剰分は「食紅」を入れて売れなくしていた。

減反政策とは少し話がずれますが、日本の農業政策の「生産調整」をめぐる議論の中で、よく似た話として「牛乳に食紅(しょくべに)」という話があります。

1970年代によく聞かれた話で、生産過剰になった牛乳に対して、農林水産省や農協は、牛乳に食紅で赤く色をつけて流通できないようにするよう酪農家に指示しました。酪農家はせっかくの牛乳を売ることができず、色がピンクになるだけで飲むこと自体に害はありませんが、自分で飲めない分は捨てるしかないという状況に追い込まれました。

せっかく作ったものを無駄にするのは、とてももったいないことですよね。生産調整という政策が、私たちの感覚だと「どう考えてもおかしい」のですが、当時の政治家たちはこういう政策を長らく、現在も推し進めています。そして、そういう政治を許し、そういう政治家を選挙で選んできたのが私たち国民だということです。

食料自給率(しょくりょうじきゅうりつ)の問題

食料自給率とは、国内で消費される食料のうち、どれくらいを国内で生産しているかを示す割合です。

  • 2022年度の日本の食料自給率は、約38%でした(出典:農林水産省)。これは、先進国の中でも非常に低い水準です。
  • 食料自給率が低いと、海外からの輸入に頼ることになり、世界で食料の値段が上がったり、供給が不安定になったりしたときに、私たちの食卓は真っ先に影響を受けてしまいます。
  • 日本は周りを海に囲まれている島国ですので、紛争などによって海を封鎖されたら飢え死にするのを待つしかない状況になります。イスラエルがイランを攻撃した時には、ホルムズ海峡の閉鎖が話題になりました。ここが閉鎖されると日本の石油輸入に大きな支障が出ます。また、中国の台湾侵攻が秒読み段階にはいっているとの情報もあり、食料の自給率を上げていくことは政治の世界でも急がなければいけない話題とされています。

「減反政策は、本当に日本の食料安全保障に貢献しているのか?」という疑問も、この文脈で議論されています。

各政党が考える「減反政策」と農業への政策:未来の日本をどうするのでしょうか?

日本のそれぞれの政党は、自分たちの政治に対する考え方に基づいて、減反政策(2018年廃止以降の実質的な減反政策のことをさします)や日本の農業全体にどう向き合うかを提案しています。

自由民主党(自民党:保守、中道右派 左傾傾向)

  • 考え方:減反政策は廃止し、農家が自由に作付けできる環境を整えるべきだと主張しています。ただし、急激な変化は農家に影響を与えるため、段階的な移行や、農家への直接支払いなどによる経営安定化策を重視しています。農業を成長産業と位置づけ、輸出拡大やスマート農業(情報通信技術を活用した農業)の推進を目指しています。
  • 政策:生産調整の廃止を主導し、農家への直接支払い制度を拡充しています。農産物の輸出促進や、農業の競争力強化に向けた政策を推進しています。

立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)

  • 考え方:減反政策の廃止は、農家の経営を不安定にする可能性があるとして、慎重な立場です。食料自給率の向上と、環境に配慮した持続可能な農業の推進を重視しています。大規模農業だけでなく、家族経営の農家も守るべきだと考えています。
  • 政策:食料自給率の向上を目標に掲げ、戸別所得補償制度(農家の所得を直接補償する制度)の拡充などを訴えています。環境保全型農業の推進や、新規就農者(新しく農業を始める人)への支援を重視します。

日本維新の会(保守、右派、リベラル)

  • 考え方:減反政策は、農業の競争力を阻害するとして、廃止を主張しています。市場原理(需要と供給によって価格が決まる仕組み)を重視し、農家が自由に生産し、競争力を高めるべきだと考えています。補助金漬けの農業からの脱却を目指します。
  • 政策:農業の規制緩和や、自由な経営を促す政策を推進しています。農協改革(農業協同組合の改革)や、農業の株式会社化(会社として農業を経営すること)などを通じて、競争力のある農業を目指します。

公明党(中道、保守)

  • 考え方:減反政策については、農家の経営安定に配慮しつつ、食料自給率の向上も目指すべきだと考えています。環境と調和した農業の推進や、地域に根ざした農業の活性化を重視しています。
  • 政策:生産調整の移行に伴う農家の経営安定化支援や、食料自給率の向上に向けた取り組みを推進しています。スマート農業の導入支援や、農産物のブランド化なども訴えています。

国民民主党(中道、保守、リベラル)

  • 考え方:減反政策の廃止は、農家の経営に大きな影響を与えるため、慎重な立場です。食料安全保障の強化と、農家の所得安定を両立させることを目指します。国民が安心して食べられる食料の安定供給を重視します。
  • 政策:価格はマーケットで決める。安いお米を提供する。その代わりに販売価格と生産コストの間のマイナスのギャップを国からの直接支払いで埋めていくとい農家の所得政策も織り込んだ方向転換が必要と主張しています。

日本共産党(革新、中道左派)

  • 考え方:減反政策の廃止は、農家を競争にさらすものであり、反対の立場です。食料自給率の向上と、農家の生活を守るための戸別所得補償制度の確立を強く主張しています。大規模農業ではなく、小規模な家族経営の農家も守るべきだと考えます。
  • 政策:食料自給率100%を目指し、農家への直接所得補償制度を確立することを訴えています。種子法(地域の種子を守る法律)の復活や、遺伝子組み換え作物への規制強化なども主張します。

参政党(保守、右派)

  • 考え方:減反政策は、食料自給率を低下させ、日本の食料安全保障を脅かすものとして、廃止を強く主張しています。日本の農業を立て直し、食料自給率を向上させることを最優先課題と捉えています。
  • 政策:減反政策を完全に廃止し、農家が自由に生産できる環境を整えます。食料自給率の向上を国家戦略と位置づけ、農家を半公務員として所得を保障することで、農家の存続や、新規参入を促すことを主張しています。

れいわ新選組(革新、左派)

  • 考え方:減反政策の廃止は、農家の経営をさらに苦しめる可能性があるとして、慎重な立場です。食料は国民の命の源であり、市場原理に任せるべきではないと考えています。農家の所得保障と、食料自給率の向上を重視します。
  • 政策:農家への所得保障の強化や、食料自給率の向上に向けた政策を訴えています。大規模農業だけでなく、小規模農家も守るべきだと主張し、農業の多角化支援などを重視します。

日本保守党(保守、右派)

  • 考え方:「国益第一」を掲げ、食料安全保障を国家の根幹に関わる問題と捉えています。減反政策は、食料自給率の低下を招いたとして、廃止を主張します。日本の農業の競争力強化と、自給率向上を最優先課題と位置づけます。
  • 政策:減反政策の廃止を推進し、農家が自由に生産できる環境を整えます。農業の国際競争力強化や、食料自給率の抜本的な向上を目指す政策を訴えます。

まとめ:未来の日本をどうする? みんなで考えてみましょう!

「減反政策」は、日本の農業が抱える複雑な問題の一つです。お米が余って困った時代に始まり、農家の生活を守るために行われてきましたが、その一方で、食料自給率の低下や、農業の国際競争力といった、新たな課題も生み出しました。

この問題を考えるとき、一番大切なのは「私たち一人ひとりが、将来どんな日本の食と農業にしたいのか?」ということを、しっかり考えることです。

  • お米を作りすぎないようにする政策は、本当に必要だと思いますか?
  • 私たちの食料は、どこまで日本で作るべきだと思いますか?
  • 農家の人たちが安心して農業を続けられるようにするには、他にどんなことができると思いますか?

このページを読んで、「減反政策」に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、ご家族や友人とこのことについて話し合ってみたり、ニュースや資料を調べてみたりして、あなた自身の考えを深めてみてください。未来の日本を創っていくのは、私たちみんなの行動や選択にかかっています。

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