太陽光発電は本当にエコ? 知られざる落とし穴

環境の問題
翼を広げると2mをゆうに超える。平成5年国内希少野生動植物種に指定。北海道と本州北部で越冬するオジロワシは約700~900羽。北海道の営巣地は90年代に入って増加傾向にあり、約170ヶ所が確認される一方、繁殖成績はかなり悪化している。(環境省)

※釧路湿原のメガソーラー問題は、「日本の宝、釧路湿原が危ない? 自然を守るか、電気を作るか」に移動しました。

みんなの知らないうちに、環境に悪影響があるって本当?

街や山で太陽光パネルがずらりと並んでいるのを見たことはありませんか。これは「メガソーラー」といって、太陽の光を使ってたくさんの電気を作り出す、とても大きな発電所です。二酸化炭素(CO2)を出さないクリーンなエネルギーとして、地球温暖化対策の切り札と考えられています。

でも、このメガソーラーが、実は環境に悪い影響を与えるのではないかと、いま大きな議論になっているのです。この記事では、そんなメガソーラーの知られざる問題点について、やさしく見ていきましょう。

良いところも、困ったところも

メガソーラーは、太陽の光という、何度でも使えるエネルギーを使うため、発電するときにCO2を出さず、燃料もいりません。しかし、その裏には、あまり知られていない困ったところもたくさんあります。

建設するときに自然を壊してしまう

メガソーラーを建てるには、広い土地が必要です。そのため、森林を切り開いたり、山を削ったりすることがよくあります。 これは、動物たちのすみかを奪うことにつながり、地域の生態系に大きな影響を与えます。また、森林がなくなると、大雨が降ったときに土砂崩れや洪水を引き起こす危険性も高まります。

廃棄処理にも問題

ソーラーパネルは、ガラス、アルミニウム、シリコン、銅、そして微量な鉛(なまり)カドミウムといった有害物質を含む、複数の素材が複雑に組み合わされています。 これらの素材を効率よく分離し、リサイクルするには、高度な技術とコストがかかります。

また、パネルに微量ながら含まれる有害物質は、不適切な方法で埋め立てられたりすると、土壌や地下水を汚染するリスクがあります。

パネルを作る時に出るCO2

太陽光パネルは、作る時にたくさんのエネルギーとCO2を出します。パネルの主な原料は、ポリシリコンという物質ですが、これを加工するには、とても高い温度が必要になります。そのため、製造工場ではたくさんの電気が使われ、結果的にCO2をたくさん出してしまうのです。

メガソーラーが一生のうちに使うエネルギーと、発電するエネルギーを比べた研究では、発電量が製造や廃棄にかかるエネルギーを上回るまでには、数年かかるというデータもあります。

参考:https://fps-inc.jp/column/column10/

使い終わったパネルのゴミ問題

太陽光パネルは、だいたい20年から30年で役目を終えてしまいます。古くなったパネルには、鉛(なまり)やカドミウムなど、体に悪い物質が含まれているため、きちんと処分しないと、その毒が地面や、地中の水に染みこんでしまい、自然を汚してしまうおそれがあるのです。

しかし、日本では、まだたくさんのパネルを専門的にリサイクルする仕組みが十分ではありません。このままでは、パネルが大量のゴミになって、新たな環境問題を引き起こすのではないかと心配されています。

中国製の太陽光パネルを巡る心配ごと

日本で使われている太陽光パネルのほとんどが、中国製だということをご存じですか。2023年(令和5年)の時点で、日本への輸入パネルの**約80%**が中国製です。

アメリカやフランス、ドイツなどの海外では、中国製のパネルを国内で使うことを禁止する動きが進んでいます。これは、パネルの製造過程で人権問題(強制労働など)があることや、情報が抜き取られるセキュリティ上の問題が指摘されているためです。

中国製のパネルについては、以下のような安全保障上の懸念が指摘されています。

  • ハッキングの危険: 一部のパネルには、通信機能が内蔵されているものがあり、ハッキングされると、発電所の運転を強制的に止められたり、日本の電力の仕組みに入り込まれたりする可能性があります。
  • 不正なデータの収集: パネルを通じて家庭の電力使用状況などが中国側に送られ、個人情報や国の重要なデータが盗まれるのではないかという指摘もあります。
  • 人権問題への関与: パネルの原料であるポリシリコンは、中国・新疆ウイグル自治区で生産されているものが多く、強制労働などの人権問題と関わっている可能性も指摘されています。

参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/a112581f8aa9863c49071c30c1ce0b73694a4b76

世界の太陽光発電事情:各国の考え方は?

太陽光発電は世界中で広まっていますが、その裏では、ハッキングされるリスク国の安全保障に関わる議論が活発になっています。各国の政府や国民は、単に「環境にやさしいから」という理由だけでなく、パネルの出どころやその安全性について、真剣に考えるようになっています。

国・地域環境面での議論安全保障上のリスク(中国製パネル)今後の方向性
アメリカ製造過程での環境負荷や人権問題など、サプライチェーン全体での「本当にクリーンか」という点が議論されています。強制労働が疑われる地域からの輸入を厳しく制限。パネルに組み込まれた遠隔操作機能情報収集機能による国家安全保障上のリスクを特に重視しています。国内での太陽光パネル製造を強力に後押しし、中国への依存をゼロに近づけることを目指しています。
イギリス再生可能エネルギーを増やす目標はありますが、その製造や廃棄による環境への影響を懸念する声が高まっています。エネルギー供給が中国に偏ることによる安全保障リスクを懸念。もし関係が悪化した場合、電力供給網が不安定になる可能性を指摘しています。サプライチェーンの多様化を進め、特定の国に頼りすぎないエネルギー供給体制を構築しようとしています。
フランス自国のエネルギーの独立性を重視しており、パネルの製造過程がクリーンであるかどうかも重要な議論点です。パネルにハッキングされる機能が組み込まれている可能性や、重要なエネルギーインフラを外国に制御されるリスクを避けるため、非常に慎重な姿勢をとっています。国内でパネルを製造する工場を建設するなど、自国で安定してパネルを供給できる体制づくりを進めています。
ドイツこれまで太陽光発電を積極的に導入してきましたが、製造過程の環境負荷や人権問題が議論されています。中国製パネルへの過度な依存が、国の安全保障上の弱点になると認識。もし供給が止まれば、国内の電力安定供給が脅かされる危険があると考えています。自国メーカーを支援し、国内で安全なパネルを安定して供給できる体制を強化しようとしています。
イタリアクリーンエネルギーを増やす一方で、パネルの生産過程での倫理的な問題や環境への負荷を意識し始めています。エネルギーインフラが外部からコントロールされる可能性を懸念。パネルの輸入先を多角化することで、リスクを減らそうとしています。特定の国に頼りすぎず、安全な供給網を確保することを重視しています。
カナダ人権問題を重視しており、サプライチェーン全体での倫理的な透明性が議論されています。強制労働に関わる製品の輸入を厳しくチェック。パネルに組み込まれた通信機能などが国の安全保障を脅かすリスクがないか、慎重に見ています。安全保障と人権を両立させるために、安易な輸入には慎重な立場をとっています。
欧州連合(EU)安価な中国製パネルが市場にあふれ、ヨーロッパのパネルメーカーが倒産した過去を反省。今は、安さだけでなく「持続可能性」を追求する方向です。中国への過度な依存が、エネルギー供給網の安全保障を脅かすと認識。もしもに備え、安くてもリスクの高い製品は避けるべきだという議論が主流になっています。国内産業の復活と、安全で安定した供給網の確保を目指し、政策を大きく転換し始めています。

太陽光発電について、みんなが話し合っていること

メガソーラーをめぐる議論は、単なる環境問題だけでなく、国の安全や、私たち国民の暮らしにまで関わってきています。

最近の大きな話のポイントとして、メガソーラーのルールをもっと厳しくするべきだという声が高まっています。しかし、一方で、再生可能エネルギーをもっと増やすという国の目標と、どのようにバランスをとるべきかという難しい問題に直面しています。

2024年(令和6年)5月には、太陽光発電のルールを作るように求める声が、全国の地方議会から国に届けられました。とくに、災害の危険がある場所や、自然が豊かな場所への設置を厳しくチェックするべきだという考えです。

各政党は、メガソーラーについてどう考えているか

各党の考え方や主張は最新の各政党ホームページの政策や公約、党首の発言、ニュース記事などを参考にしています。各政党の考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。

  • 自由民主党(自民党:保守、中道右派、左傾傾向)
    • 再生可能エネルギーの導入を後押しする立場ですが、その一方で、むやみに太陽光発電の施設を建てることには心配を示しています。災害の危険が高い場所や、水源地への設置を規制する法律を考えています。
    • 災害が起こりにくい安全な土地に設置するなど、みんなの生活や環境に配慮して導入を進めるべきだと考えています。
    • 中国製パネルについては、安全保障上のリスク(ハッキングや個人情報流出の危険など)を懸念しています。
  • 立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)
    • 再生可能エネルギーを最大限に増やすことで、CO2を出さない社会の実現を目指しています。
    • むやみな設置による自然破壊については、住民としっかり話し合うことを大切にし、環境への影響を事前に厳しく調べる必要があると主張しています。
    • 中国製パネルの是非については、明確な言及は見られませんが、人権問題については国際的な連携を重視しています。
  • 日本維新の会(保守、右派、リベラル)
    • エネルギーを安定して供給することと、環境に配慮することを両立させるべきだと考えています。
    • 太陽光発電は進めるべきですが、自然災害のリスクが高い場所や、景観を損なう場所への設置は規制すべきだと主張しています。
    • 中国製パネルについては、安全保障上の観点から、国産化を推進し、中国製への依存度を減らすべきだと考えています。
  • 公明党(中道、保守)
    • 再生可能エネルギーの導入を後押ししつつも、地域の住民の安全と環境を守ることを大切にしています。
    • メガソーラー設置による土砂災害や景観への影響を心配し、自治体と協力しながら、適切なルールを設けるべきだと考えています。
    • 中国製パネルの是非については、明確な言及は見られません。
  • 国民民主党(中道、保守、リベラル)
    • エネルギーを外国に頼りすぎないようにするため、再生可能エネルギーと原子力発電の両方を上手に使うべきだと考えています。
    • 外国の会社が土地を買ってメガソーラーを建てることについては、国を守る上での心配があるため、国が関わってルールを厳しくすべきだと主張しています。
    • 中国製パネルについては、安全保障上のリスクを強く懸念し、国産パネルの普及を推進しています。
  • 日本共産党(革新、左派)
    • 再生可能エネルギーに早く切り替えるべきだと考えています。
    • 太陽光発電施設については、環境を壊したり災害の危険を招いたりしないよう、国や自治体が責任を持って指導・管理すべきだと主張しています。
    • 中国製パネルの是非については、明確な言及は見られません。
  • 参政党(保守、右派)
    • 太陽光発電については、自然破壊や国を守る上での心配があるため、安易に導入することに反対する立場です。
    • 特に、外国の会社によるメガソーラーの建設は、日本の土地や水資源を守る観点から、厳しく規制すべきだと主張しています。
    • 中国製パネルについては、安全保障や人権問題から、全面的に反対する立場です。
  • れいわ新選組(革新、左派)
    • 原発ゼロを目標に掲げ、再生可能エネルギーを進める立場です。
    • しかし、メガソーラーを建てる時には、自然を壊すことは避けるべきで、住民との話し合いを大切にして、反対の声に耳を傾けるべきだと考えています。
    • 中国製パネルの是非については、明確な言及は見られません。
  • 日本保守党(保守、右派)
    • 太陽光発電パネルのほとんどが中国製であることや、自然破壊の問題を強く指摘し、メガソーラーの安易な導入に反対する立場です。
    • 国を守るという観点から、外国人が土地を買うことを全面的に禁止するべきだと訴えています。
    • 中国製パネルについては、安全保障上のリスクを理由に、強く反対する立場です。

まとめ:本当に環境にやさしいエネルギーって、何だろう?

メガソーラーは、CO2を出さないクリーンなエネルギーとして注目されていますが、その裏には、自然破壊や作るとき・捨てるときの環境問題、そして国を守る上での心配ごとなど、いろいろな問題があることがわかりました。

エネルギーの問題は、私たちの暮らしと密接に関わっています。みなさんは、本当に環境にやさしく安全なエネルギーを、どうやって作っていけばよいと思いますか。

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