日韓経済協力構想とは? 韓国から大量移民が来る?
韓国の経済界が示す提言の要旨と歴史認識問題
この構想の推進について、韓国の経済界から具体的な提言書が発表されています。
2025年10月26日にSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が、インタビューで「日本と協力すれば6兆ドル規模の市場を創出し規模の経済を実現できる」と語り、韓国国内ではマスコミやSNSで連日のように大きく取り上げられて話題になっています。
この話題のもととなる経済協力の骨子は2024年7月23日にSSDP 安全保障・外交政策研究会で出されたもので、日韓の経済協力は「選択ではなく必須」と位置づけ、主に以下の四つの項目を協力の柱として示しています。
- 国民全体が感じられる協力の果実:政治的な妥協にとどまらず、両国国民が経済協力によるメリットを実感できるような、具体的なビジネスの成功事例を生み出すこと。
- 政府間の協調と基準の調和:クリーン水素などの新たな分野で、両国の異なる基準を調和させ、企業間のビジネスを円滑に進めるための政府間の協力体制を強化すること。
- 未来世代のためのエコシステムの構築:停滞した社会の中で希望を失いつつある若者のために、両国が共同で成長の機会を生み出す仕組みを作ること。
- 高齢化問題の「機会(オポチュニティ)」への転換:少子高齢化による労働者不足を両国共通の課題として捉え、高齢者を活用することで、人手不足を克服し、シルバー経済(高齢者向け市場)を開拓する契機とすること。
また、提言書では、両国間で不信感が根強く残っていることや、関係悪化への不安を抱いていることに触れており、協力の推進にあたっては、政治的な妥協だけでは不十分で、国民感情(歴史認識)を改善する必要性も間接的に示唆されています。
これに対して高市首相(政権)は、歴史認識と経済安全保障を含む経済協力を「切り分けるべき」という姿勢を示しています。これは、過去の歴史問題が未解決であっても、日本の安全保障上の利益に関わる半導体や重要技術の協力は、感情論ではなく国益に基づいて進めるべきである、という考え方に基づいています。
韓国の若者は既に日本に移住を始めている
一方で、韓国の若者が日本での就職を選ぶケースが急増しています。その背景には、韓国国内の「就職難」と日本の「人手不足」があります。
大学卒業者の韓国人が日本で働く場合、「技術・人文知識・国際業務」ビザで入国する場合が多く、更新も制限なく可能、家族の帯同も許されており、実質的な移民政策となっています。
参考記事:日本は移民の国になる?外国人が増えることで私たちの生活はどう変わるの?
1. 韓国の若者が日本を選ぶ理由
- 韓国での就職の難しさ: 韓国は大学卒業者が多い一方で、希望する大企業への就職が非常に難しい状況です(若年失業率は日本より格段に高い水準です)。
- 日本の人手不足: 日本では少子高齢化で特にITやサービス業の働き手が足りていません。優秀な若者を必要としています。
- 給与の安定性、豊富な就職機会、キャリアの質:給与水準は韓国のほうが上ですが、韓国内での就職難や不安定さを総合的に評価し、日本への就職を選択しています。
- 文化的な親近感: アニメやK-POPなど、日韓の文化が近いことも、日本で働くことへの抵抗を減らしています。
2. 韓国と日本の「人材戦略の二面性」
韓国は、少子化で将来的な労働力不足に直面しているため、自国への外国人材の受け入れを積極的に進めています。しかし同時に、若者の海外(特に日本)への就職も強く後押ししており、この二面性が特徴的です。
- 自国での外国人材の確保: 韓国は、特に単純労働や特定技能を持つ外国人労働者の受け入れ枠を拡大し、国内の労働力不足を補おうとしています。受け入れ分野は、主に製造業、建設業、農畜産業、漁業、サービス業(一部)といった、韓国国内で人手不足が深刻な分野で、再雇用・再入国制度を用いても5年を上限として定住化を抑止しています。
- 若者の日本就職への手厚い支援: その一方で、韓国政府は「K-MOVE」事業などを通じて、若者の海外就職を積極的にサポートしています。
- この支援には、就職関連費用の支給や、日本での定着を助けるメンタリング制度(日本で働く先輩からのアドバイス)などが含まれます。これは、若者の高い失業率を解消し、国際的なキャリアを積ませることを目的としています。
この韓国政府による手厚い後押しが、日本の人手不足と相まって、韓国からの人材の流入をさらに加速させています。
3. 企業・政府の受け入れ態勢と課題
- 韓国人を受け入れる企業: 楽天は事業を世界に広げているため、韓国を含む外国籍のITエンジニアを積極的に採用しています。楽天グループの社員の約30%が外国籍です。また、ソフトバンク、ソニー、パナソニックなどの大手企業や、スタートアップ企業も、日本の国内市場だけでなく、アジア市場や世界市場を見据えて、多言語能力や国際感覚を持つ韓国の若者を重要な戦力と見なしています。
- JICA(国際協力機構)の協力: 日本のJICAは、外国人材が日本で働くための環境づくり(人権や共生社会の支援)を進めています。
日韓経済協力構想の基本的な概要と目的
日韓経済協力構想とは、主に二国間の経済的な結びつきを強化し、共通の課題解決や経済成長を目指すための枠組みです。具体的な協力内容としては、半導体などのサプライチェーン(供給網)の強化、エネルギー分野での連携、次世代技術開発への共同投資などが想定されています。
この構想の背景には、2019年(令和元年)に起きた日韓の輸出管理をめぐる対立(いわゆる「ホワイト国」除外措置)を乗り越え、経済関係を安定させる狙いがあります。また、日本と韓国が協力し合うことで、特に半導体材料や製造装置など、世界的に見て優位性を持つ分野での国際競争力を高めるという目的も含まれています。
2023年(令和5年)3月16日の日韓首脳会談後に発表された共同記者発表では、半導体や量子技術、AI(人工知能)、宇宙といった先端分野での具体的な技術協力強化の方針が示されています(外務省「日韓共同記者発表」2023年3月16日)。この中には、経済安全保障上の重要技術に関する連携が含まれており、この構想が日本の高度な技術と密接に関わることが分かります。
経済安全保障の脅威とは
「経済安全保障」とは、単に経済的な豊かさを守るだけでなく、国や国民の生存・安全に関わる重要な技術や資源が、他国からの圧力や妨害によって途絶えることのないよう守る取り組みです。
日韓経済協力構想において問題視されるのは、この経済安全保障の観点です。日本が持つ極めて高度な素材、部品、製造装置の技術や、次世代の先端技術が、韓国にパクられるだけになるのは目に見えており、韓国の貿易の最大の相手である中国や、中国と仲の良いロシアなど、日本や同盟国の安全保障を脅かす国の手に渡るリスクが指摘されています。
この懸念の根拠として、過去に韓国企業を介した日本の機密情報や技術の不正流出事件が複数報じられている事実があります。また、日本の技術が第三国、特に中国へ渡る懸念は、防衛装備品や軍事転用可能な技術の取り扱いを厳格化する国際的な枠組みとも関連しています。
日韓が「協力」するとどうなる?日本の高度な技術が中国へ渡る危険性
技術流出と中国への渡る経路の懸念
日韓経済協力構想が進むと、日本の高度な技術が、研究開発の協力や共同投資、人材交流などを通じて韓国に共有されることになります。この協力の過程で、以下のリスクが高まると考えられています。
- 技術の「盗用」や「持ち出し」: 共同研究や提携を通じて、日本の企業が持つ製造プロセスやノウハウが、意図せず、あるいは不正な手段によって韓国の企業や研究者に流出し、最終的に盗用されてしまう懸念があります。
- 「中国へ渡るルート」の存在: 韓国は地理的にも経済的にも中国との結びつきが非常に強く、多くの韓国企業が中国市場に進出しています。この強い経済的な関係性が、流出した日本の技術がさらに中国の企業や軍事開発へと渡る中継地となる危険性があります。例えば、韓国企業が中国企業と技術提携や合弁事業を行う際に、日本から得た技術がそのまま利用されたり、技術者が引き抜かれたりするケースが考えられます。
これらの懸念の背景には、特定の韓国企業が、日本の輸出管理規制の対象となる重要技術を不正に第三国へ輸出しようとした事例(経済産業省「輸出管理の厳格化について」2019年7月)や、産業技術の海外流出事案が過去に発生している事実があります。
経済安全保障上の具体的な脅威
日本の技術が中国に渡ることの具体的な脅威は、軍事技術の強化に直結する点にあります。
たとえば、日本が強みを持つ先端半導体や高機能素材は、AI(人工知能)開発、極超音速兵器、量子コンピューティングといった次世代の軍事技術に不可欠です。これらの技術が中国の軍事・産業複合体(軍事と経済が一体となった組織)に流出すれば、中国の軍事力が強化され、東アジア地域の安全保障バランスが崩れる可能性があります。
さらに、技術の流出は、日本企業の国際競争力を低下させ、将来的な日本の経済的な自立を危うくします。技術優位性を失うことで、日本は経済安全保障上の重要なサプライチェーンで、他国に依存せざるを得なくなるというリスクも生じます。
高市首相の回答:日本の技術流出を防ぐ具体的な措置とは
高市首相が強調する経済安全保障の原則
高市早苗首相は、この日韓経済協力構想における技術流出のリスクと経済安全保障の重要性について、国会などで明確な見解を示してきました。
2025年(令和7年)10月の所信表明演説では、日米同盟を基軸としつつも、「主体的に防衛力の抜本的強化を進める」と述べ、日本の安全保障を自ら守る姿勢を強調しました(自由民主党「第219回臨時国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」2025年10月24日)。この「主体的に守る」姿勢は、経済安全保障についても貫かれており、特に技術流出に対する懸念に対し、厳格な管理を行う方針が示されています。
高市首相は、特に軍事転用可能な技術の海外流出に対して、日本の輸出管理制度を厳格に運用し、不正な輸出や技術の持ち出しを徹底的に阻止する考えを強調しています。
つまり、安全保障上の懸念が解消されない限り(=韓国との信頼関係が確固たるものにならないかぎり)、輸出管理上の措置を緩めるべきではないとして、冒頭に述べたSKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長の発言や提言書、米国の調査書などを合わせて検討し、韓国の提言を受け入れない姿勢を固めています。
実行される具体的な措置
政府は、経済安全保障の脅威に対応するため、以下の具体的な措置を講じています。
- 輸出管理の厳格な運用: 日本の輸出管理制度(外国為替及び外国貿易法に基づく輸出規制)に基づき、軍事転用可能な技術や物資が、安全保障上の懸念国に渡らないよう、輸出審査を厳格に行う体制を維持・強化しています。
- 情報共有の強化: 日米韓の三カ国間で、重要技術に関する情報やサイバー攻撃に関する情報を共有し、連携して技術流出を防ぐ枠組みを強化しています。2023年(令和5年)8月の日米韓首脳会談(キャンプデービッド)では、この安全保障上の協力体制の強化が合意されました(外務省「日米韓首脳会談」2023年8月18日)。
- 罰則の強化: 産業スパイや技術流出を防ぐため、不正競争防止法など関連法規を改正し、技術情報の持ち出しに対する罰則を強化する動きも進められています。
これらの措置は、日韓の協力が進む中でも、日本の国益と技術の優位性を損なわないよう、「防御力を高める」ことを目的としています。
各政党の政策:日韓経済協力と日本の技術流出の脅威への考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。
自由民主党(保守、中道右派)
自由民主党は、日韓関係改善の潮流を受け、経済協力を進める一方、経済安全保障の確保に最も重点を置いています。
- 日韓協力: 日韓首脳会談(2023年3月)の合意に基づき、半導体などサプライチェーンの強靭化や、先端技術分野での協力を推進し、戦略的な互恵関係を構築する方針です。
- 技術流出への対応: 高市首相(総裁)が繰り返し強調するように、輸出管理の厳格な運用と、不正競争防止法による技術流出対策の強化を主張しています。日本の技術的優位性を守ることが国益の根幹であるとの立場です。
日本維新の会(保守、右派、リベラル)
日本維新の会は、日韓の連携を重視しつつも、経済安全保障のリスクを強く意識しています。
- 日韓協力: 「自由主義経済圏」の強化という観点から、日米韓の経済安全保障上の連携は必要不可欠としています。
- 技術流出への対応: 特定国(中国など)への技術流出を警戒し、セキュリティ・クリアランス制度の導入など、日本国内での機密情報管理体制の強化を強く主張しています。外交・防衛面で強硬な姿勢を示しており、技術流出を防ぐ国内法の整備を求めています。
国民民主党(中道、保守、リベラル)
国民民主党は、「対決より解決」の姿勢のもと、日韓の協力は重要としつつ、「技術のタダ乗り」や流出リスクに対する実効的な歯止めを求めています。
- 日韓協力: 安定的な経済成長と地政学的リスク(東アジアの安全保障上の不安定要素)への対応として、日韓の協力体制は必要と認識しています。
- 技術流出への対応: 日本の優れた技術が不当に流出することのないよう、政府に対し輸出管理体制の透明化と厳格化を求めています。党として、日本の国益を守るための監視体制の強化を重視しています。
参政党(保守、右派)
参政党は、国益の最優先を掲げ、日韓経済協力については極めて慎重な姿勢を示しています。
- 日韓協力: 経済的な協力関係を築く前提として、過去の問題(竹島問題や歴史認識)が解決されていない状況で、安易な技術協力には反対の立場です。
- 技術流出への対応: 日本の食料安全保障や先端技術などの「国の宝」が、外国資本や第三国(中国など)に渡ることに対して強い懸念を示しており、国内産業と技術を徹底的に守るための法整備と規制強化を訴えています。
日本保守党(保守、右派)
日本保守党は、党名が示す通り、日本の国益と伝統を守ることに重点を置いています。日韓経済協力についても、安全保障上のリスクを最重要視し、厳しい監視が必要であるとの立場をとっています。
- 日韓協力: 日韓協力の必要性自体よりも、協力によって日本が不利益を被ったり、安全保障上の弱点を突かれたりすることを強く警戒しています。
- 技術流出への対応: 外国による技術盗用や産業スパイへの対応を強化し、日本の技術を守るための法規制を厳格化することを主張しています。
立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)
立憲民主党は、日韓関係の歴史的な経緯を踏まえ、対話と協調を重視する立場です。
- 日韓協力: 日韓間の経済交流や人的交流の拡大は、アジアの平和と安定のために必要と認識しています。
- 技術流出への対応: 経済安全保障の重要性は認めつつ、技術の流出防止については、現在の日本の輸出管理体制の運用状況を注視し、政府の政策が国際的な協調を乱さないかという点にも注意を払っています。特定の国を過度に排除するのではなく、民主的な手続きを通じた透明性のある運用を求めています。
れいわ新選組(革新、左派)
れいわ新選組は、「積極財政」による国内経済の立て直しを最優先としており、経済安全保障についても「国民生活の安全」という視点を強調しています。
- 日韓協力: 経済協力や外交においては、国民の生活を守るという視点から、国内経済への影響を最優先で考えます。
- 技術流出への対応: 技術流出のリスクについては、国内の研究開発投資を増やし、日本の技術力を高めることで対抗すべきという考え方を持ち、外資による不当な買収などを防ぐための規制強化も訴えています。
公明党(中道左派、リベラル)
公明党は、平和主義と国際協調の立場から、日韓関係の改善と協力を支持しています。
- 日韓協力: 東アジア地域の安定と繁栄のため、日韓両国が未来志向で関係を強化し、経済、文化、人的交流を活発化させることを重視しています。
- 技術流出への対応: 経済安全保障の重要性を認め、多国間での協調を通じて、技術やサプライチェーンの安定化を図るべきとの立場です。ただし、対話を通じて問題を解決する姿勢を重視しています。
日本共産党(革新、左派)
日本共産党は、特定の国を敵視する経済政策や技術の軍事転用につながる動きに強く反対する立場です。
- 日韓協力と経済関係:
- 平和と友好を基調とした日韓関係の発展を求めており、すべての国との平等・互恵の経済関係を促進する方針です(日本共産党綱領)。
- 経済協力は、国民の生活の向上とアジアの平和に貢献するものであるべきと考えます。
- 技術流出と経済安全保障への対応:
- 現在の政府が進める「経済安全保障」政策を、「アメリカに追随し、国民の権利を奪う」ものとして強く批判しています。具体的には、「特定重要物資」を指定し、経済分野の「秘密」を拡大する経済安保法や経済秘密保護法を廃止すべきと主張しています。
- 同党は、こうした法律が、政財官の新たな癒着構造を生み出したり、国民の自由を侵害したりする危険性があると考えています。
- 日本の技術を守るためには、特定国を排除するのではなく、平和的な利用を前提とした技術開発への支援や、公正な国際ルールに基づく協力こそが必要であると訴えています。
まとめ:日韓経済協力構想は日本の技術が盗用され、中国に渡る危険性をどう考えるか
日韓経済協力構想は、経済的な利益をもたらす可能性がある一方で、日本の高度な先端技術が意図せず、あるいは不正な経路で流出し、最終的に中国などの第三国へ渡るという経済安全保障上の大きな脅威をはらんでいます。
政府(高市首相)は、このリスクに対し、輸出管理の厳格な運用や日米韓の連携強化といった具体的な措置を講じて、日本の技術と国益を守る姿勢を示しています。また、韓国側の提言に含まれる歴史認識と経済協力を切り分けて、国益に基づく冷静な判断をすべきという立場です。
各政党は、この構想に対して、「経済安全保障を最優先し、厳しく監視すべき」(自由民主党、日本維新の会、参政党、日本保守党など)、「国益を守りつつ、協調の姿勢も大切」(国民民主党、公明党など)、「平和的利用と国際協調を重視すべき」(立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組など)といった異なる立場を取っています。
あなたは、この「経済協力による利益」と「安全保障上のリスク」のどちらを重視し、日本の技術をどのように守るべきだと考えますか。自分の考えに最も近い政党が、国会でどのような議論をしているのかを調べてみましょう。そして、その考えを政治に反映させるために、選挙への参加を真剣に検討する時期が来ています。


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