財務省解体デモは国民の怒り
財務省解体デモは、政府の緊縮財政政策に反対する国民運動です。参加者は、国が財政赤字を理由に国民への支出を抑え、増税を進めることに不満を抱いています。彼らは、国民生活を豊かにするためにお金を積極的に使う積極財政への転換を訴え、その妨げとなっている財務省の権限縮小や解体を求めています。
このデモは、特定の政治団体が主導しているものではなく、SNSなどを通じて一般市民が自発的に参加している点が大きな特徴です。長引く物価高や生活苦を背景に、多くの人々が国の財政政策に直接的な声を上げ始めたことが、デモが全国に広がる大きな要因となりました。
財務省解体デモの背景
このデモのきっかけは、国民民主党が自民党、公明党との間で交わした幹事長合意が、宮沢政調会長とバックについている財務省によって反故にされたことに国民が怒ったことでした。
この合意は、所得の壁を見直す「103万円の壁」を178万円まで引き上げることや、ガソリン価格の上昇を抑えるための「ガソリン暫定税率」を廃止することで国民の負担軽減につながる内容でした。
しかし、103万円の壁は現役世代の減税にはほとんど機能しない骨抜きの内容になり、ガソリン減税は「期限を決めていない」「財源がない」などの理由で現在も実施されていません。
これが財務省の意向によって行われたため、国民の間で「政府と財務省は国民の生活を無視している」という強い不信感が広がり、大規模な抗議活動へと発展したのです。
令和7年(2025年)2月28日に東京で初めて開催されたデモには、当初約200人が参加しました。参加者は「国民の生活を豊かにするためにお金を使うべきだ」「緊縮財政をやめて、積極的な財政政策に切り替えるべきだ」と訴えました。
このデモが注目を集めた背景には、長引く物価の上昇や、国民の生活が苦しくなっているという実感があります。多くの人々が、国がもっと大胆にお金を使って経済を元気にすべきだと考えるようになったのです。
維新が減税案をつぶした?
三党の減税の合意が実質的に反故にされた背景には、日本維新の会の動きが大きく関係しています。当時、国会では政府の予算案を通すために、国民民主党か日本維新の会のどちらかの賛成が必要な状況でした。
国民民主党は、「103万円の壁」や「ガソリン暫定税率の廃止」など、家計の負担を減らす政策を条件に政府と交渉していました。しかし、維新の会は「教育の無償化」を実現することを条件に、国民民主党よりも先に政府の予算案に賛成しました。これにより、政府は国民民主党との合意を守る必要がなくなり、結果として「103万円の壁の撤廃」や「ガソリン暫定税率の凍結」は見送られることになったといわれています。
このため、「国民の生活を楽にする政策が潰されたのは、維新の会が政府に協力したせいだ」「今は教育無償化じゃなく減税だろ」という批判が強まり、2025年7月の参院選で維新の支持率が大きく下がる一因にもなりました。
全国に広がる財務省解体デモ
東京でのデモをきっかけに、同様のデモは全国各地に広がりました。
令和7年(2025年)3月14日には、大阪でもデモが開催され、約500人が集まりました。参加者は、大阪市内の主要な道路を行進し、「緊縮財政反対」と声を上げました。
さらに、デモは地方都市にも波及しました。令和7年(2025年)6月26日には、北海道や福岡など全国10か所以上で同時にデモが行われ、合計で数千人が参加したと報じられました。
このデモの広がりは、特定の政党や団体が主導しているものではなく、SNSなどを通じて国民一人ひとりが自発的に参加している点が大きな特徴です。
現在の状況
令和7年(2025年)8月現在、この財務省解体デモは、依然として継続されています。国会でもこの問題は議論されており、各政党がデモ参加者の声にどう応えるかが問われています。
デモ参加者は、単に財務省をなくしてほしいと主張しているわけではありません。彼らは、国民の生活を第一に考え、経済を成長させるための政策を国に求めているのです。
各政党は「財務省解体デモ」についてどう思っているの?
各党の考え方や主張は最新の各政党ホームページの政策や公約、党首の発言、ニュース記事などを参考にしています。各政党の考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。
自由民主党(自民党:保守、中道右派 左傾傾向)
否定 緊縮財政派
財政健全化を日本の長期的な安定に不可欠なものと考えています。デモ参加者の声には耳を傾けつつも、無責任な歳出拡大は未来世代に負担を押し付けることになると主張しています。国民の暮らしを守るためには、まずは経済成長を優先し、その上で財政規律を徐々に取り戻すという姿勢です。
立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)
容認 緊縮財政が国民の生活を苦しめていると考え、デモの訴えに理解を示しています。財政健全化の名の下での社会保障費削減や増税には反対し、国民の生活を支えるための積極的な財政政策を求めています。
日本維新の会(保守、右派、リベラル)
否定 緊縮財政派
「身を切る改革」を掲げる維新は、財務省解体そのものではなく、徹底した行政改革と歳出削減によって無駄な出費をなくすことを主張しています。緊縮財政も積極財政も、財源を国民の税金に頼っている点では同じであり、まずは国会議員の身を切る改革や、既得権益をなくすことで財源を確保すべきだとしています。
公明党(中道、保守)
容認 緊縮財政派
国民生活に配慮した財政政策を重視しています。デモ参加者の声に耳を傾け、社会保障や子育て支援など、国民の生活に直結する分野への予算はしっかりと確保すべきだと主張しています。財政健全化のペースについては、経済状況を見ながら柔軟に対応する姿勢です。
国民民主党(中道、保守、リベラル)
容認 緊縮財政派
緊縮財政と積極財政のバランスが重要だと考えています。国民が納得できるような透明性のある財政運営を求め、財源の確保方法についても国民に丁寧に説明することを重視しています。
日本共産党(革新、左派)
賛成 積極財政派
国民の暮らしを苦しめる消費税の引き上げや社会保障の削減に一貫して反対しています。大企業や富裕層への課税を強化することで財源を生み出し、国民の生活を支えるために国が積極的に財政出動すべきだと主張しており、デモ参加者の声に近い立場をとっています。
参政党(保守、右派)
賛成 積極財政派
日本の財政問題を国の根幹を揺るがす危機だと捉え、財務省の権限が大きすぎることを問題視しています。デモの訴えには理解を示し、国民の利益を最優先にした財政政策を追求すべきだと主張しています。
れいわ新選組(革新、左派)
賛成 積極財政派
デモ参加者の主張に最も近い立場をとっています。デモが示す「国民の怒り」を代弁し、国債を発行してでもお金を大胆に使う「積極財政」に転換すべきだと主張しています。これにより、国民の所得を増やし、経済を成長させることができると考えています。
日本保守党(保守、右派)
賛成 積極財政派
日本の伝統と文化を重視する日本保守党は、緊縮財政が日本経済を停滞させていると考え、財政出動による経済再生を主張しています。デモの訴えに理解を示し、国民生活を豊かにするための思い切った政策を国がとるべきだと考えています。
まとめ:財務省解体デモから政治と社会を考えること
今回の財務省解体デモは、私たちが普段あまり考えない「国の財政」というテーマが、実は私たちの暮らしにとても深く関わっていることを教えてくれます。このデモは、一部の人たちだけの問題ではなく、私たちの社会が今後どうなっていくかという未来の姿を映し出しています。
あなたは、このデモに参加した人たちの気持ちをどう思いますか。そして、日本の未来の財政について、どのような選択が重要になると思いますか。
おまけその1:財務省解体デモ【映像】
財務省解体デモ 2025年02月22日 テレ東BIZ
きっかけは「年収103万円の壁」? 全国に拡大 札幌でも財務省解体デモ 専門家「次の選挙に影響も」北海道テレビ 2025年3月14日
「#財務省解体デモ」東京・霞が関から生中継(2025年4月18日)
財務省解体デモが炙りだした真実 ゲスト:小林鷹之【東京ホンマもん教室】4月26日放送 東京MX
「財務省解体デモ」東京・霞が関から生中継(2025年4月18日)ニコニコニュース
2時間あまりと非常に長い映像ですが、冒頭のデモに関する注意事項を聞くとまともな人たちが集まっているというということがわかります。
おまけその2:緊縮財政と積極財政の考え方とは?
「緊縮財政」と「積極財政」は、どちらも国の経済を良くするための考え方ですが、そのやり方はまったく違います。
緊縮財政の考え方 緊縮財政とは、家計にたとえるなら「お財布のひもをぎゅっと締めること」です。国がお金を使いすぎないようにして、借金を減らすことを優先します。公共事業を減らしたり、社会保障にかけるお金を抑えたり、時には税金を増やしたりします。この考え方では、国の借金が増えすぎると、未来の世代が大変な思いをするため、今のうちから節約すべきだ、と考えられています。
積極財政の考え方 積極財政とは、「お財布のひもを思いきりゆるめること」です。国が借金をしてでも、道路や橋を作ったり、子育て支援にお金を使ったりして、経済をどんどん動かすことを優先します。この考え方では、不景気の時に国がたくさんの財源を投入して経済を元気にすれば、企業が儲かって働く人のお給料も上がり、結果的に税金がたくさん集まって、国の借金も減らせる、と考えられています。
歴史を振り返ってみると、日本の政府も経済の状況に合わせて、これらの財政政策を使い分けてきました。
おまけ3:戦後から今までの政権はどっち派?
| 首相名(政党) | 期間 | 財政政策の別 | 景気の状況と要因 |
| 吉田茂(自由党) | 昭和23年〜昭和29年(1948年〜1954年) | 緊縮財政 | 終戦後のハイパーインフレを抑えるため、ドッジ・ラインによる超均衡予算を断行しました。 |
| 池田勇人(自民党) | 昭和35年〜昭和39年(1960年〜1964年) | 積極財政 | 「所得倍増計画」を掲げ、公共投資や社会保障を拡大し、高度経済成長を加速させました。 |
| 佐藤栄作(自民党) | 昭和39年〜昭和47年(1964年〜1972年) | 積極財政 | 東京オリンピックや大阪万博などの大規模なインフラ投資で、高度経済成長を維持しました。 |
| 田中角栄(自民党) | 昭和47年〜昭和49年(1972年〜1974年) | 積極財政 | 「日本列島改造論」を掲げ、公共事業を大規模に拡大。地方の工業化とインフラ整備を全国的に進め、均衡ある国土開発を目指しました。 |
| 大平正芳(自民党) | 昭和53年〜昭和55年(1978年〜1980年) | 緊縮財政 | 財政赤字の深刻化に対応するため、一般消費税の導入を模索するなど、財政再建を優先しました。 |
| 鈴木善幸<br>中曽根康弘(自民党) | 昭和55年〜昭和62年(1980年〜1987年) | 緊縮財政 | 財政再建を最重要課題とし、歳出削減を徹底しました。国鉄や電電公社などの民営化を進め、行政改革に取り組みました。 |
| 竹下登(自民党) | 昭和62年〜平成元年(1987年〜1989年) | 緊縮財政 | 財政の安定化を目指し、消費税を導入しました。これにより、歳入基盤を強化しました。 |
| 宮澤喜一・細川護熙・羽田孜・村山富市(自民党など) | 平成3年〜平成8年(1991年〜1996年) | 積極財政 | バブル崩壊による「失われた10年」の始まり。景気対策として大規模な公共事業や減税を繰り返し行いました。 |
| 橋本龍太郎(自民党) | 平成8年〜平成10年(1996年〜1998年) | 緊縮財政 | 財政構造改革を掲げ、消費税率を3%から5%に引き上げるなど財政再建を試みました。しかし、景気の悪化により後に大規模な景気対策を余儀なくされました。 |
| 小渕恵三<br>森喜朗(自民党) | 平成10年〜平成13年(1998年〜2001年) | 積極財政 | 金融危機とデフレに対応するため、大規模な補正予算や減税を次々と実行しました。 |
| 小泉純一郎(自民党) | 平成13年〜平成18年(2001年〜2006年) | 緊縮財政 | 「聖域なき構造改革」を掲げ、公共事業費を大幅に削減するなど、徹底した財政健全化路線を歩みました。 |
| 第一次安倍晋三(自民党) | 平成18年〜平成19年(2006年〜2007年) | 緊縮財政 | 財政健全化を重視し、歳出削減を徹底しました。 |
| 鳩山由紀夫・菅直人・野田佳彦(民主党) | 平成21年〜平成24年(2009年〜2012年) | 緊縮財政 | リーマンショック後の景気対策として積極財政の側面もありましたが、社会保障と税の一体改革を掲げ、消費税増税法案を成立させたことから、財政再建へ舵を切った政権として評価されています。 |
| 第二次安倍晋三(自民党) | 平成24年〜令和2年(2012年〜2020年) | 積極財政 | 「アベノミクス」の三本の矢として、大胆な金融緩和と機動的な財政出動を実施。景気回復を目指し、公共事業や研究開発への投資を増やしました。 |
| 岸田文雄(自民党) | 令和3年〜令和7年(2021年〜2025年) | 緊縮財政 | 「増税メガネ」と揶揄されるほど、防衛費増額、少子化対策の財源など、あらゆる分野で国民負担増につながる政策を打ち出しました。財政健全化目標を堅持し、緊縮路線を歩んだ政権として評価されています。 |
| 石破茂(自民党) | 令和7年〜(2025年〜) | 緊縮財政 | 財政健全化を最重要課題とし、歳出改革を推し進めています。 |


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