ガザvsイスラエルの紛争が私たちの世界に問いかけること

外交や国際的な問題

複雑な歴史と、終わりの見えない対立。なぜこの紛争が続くのでしょうか?

ニュースで「ガザ」や「イスラエル」という言葉を聞くたびに、遠い国で起きている激しい紛争に心を痛めている人もいるかもしれません。なぜ、この地域ではこれほど長く、そして悲しい対立が続いているのでしょうか? そして、それが私たち日本や、世界の平和にどう関係しているのでしょうか?

このページでは、ガザとイスラエルをめぐるパレスチナ紛争の複雑な歴史をひもときながら、今、どんなことが議論されているのか、そして日本の各政党がどう考えているのかを、皆さんに分かりやすくお伝えしていきます。

終わらない土地の争い:歴史と紛争の始まり

ガザとイスラエルがある地域は、古くから「聖地」として多くの人々に大切にされてきました。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という三つの大きな宗教にとって、とても重要な場所です。

古代から近代へ:土地をめぐる人々の移り変わり

この土地には、紀元前からユダヤ人が住んでいましたが、様々な歴史の出来事(ローマ帝国による支配など)によって、多くのユダヤ人が世界各地に散り散りになって暮らすようになりました。これを「ディアスポラ」と呼びます。

その後、この地域はイスラム教徒の支配が長く続き、多くのパレスチナ・アラブ人が暮らすようになりました。

19世紀後半になると、ヨーロッパで「シオニズム」という考え方が広まります。これは、世界中に散らばっていたユダヤ人が、自分たちの故郷であるこの土地に「ユダヤ人の国家」を建てることを目指す運動です。

イギリスの「三枚舌外交」が残した複雑な問題

第一次世界大戦中(1914年〜1918年)、この地域はオスマン帝国というイスラムの大きな国の支配下にありました。イギリスは、戦争を有利に進めるために、この土地をめぐって、異なる三つの約束をしました。これが「三枚舌外交(さんまいじたがいこう)」と呼ばれるものです。

  1. フサイン=マクマホン協定(1915年):アラブ人に対して、オスマン帝国と戦う見返りに、この地域を含むアラブ人の独立国家の建設を約束しました。
  2. サイクス=ピコ協定(1916年):イギリスとフランスが秘密裏に結んだ協定で、オスマン帝国を倒した後、この地域をイギリスとフランスで分け合うことを決めました。アラブ人の独立国家建設の約束とは矛盾していました。
  3. バルフォア宣言(1917年):ユダヤ人に対して、この土地に「ユダヤ人の民族的郷土(ナショナル・ホーム)」を建設することを支持すると約束しました。これも、アラブ人への約束と矛盾するものでした。

要するにイギリスは、戦争に勝つためにみんなに都合の良いことを言って、後で大きな混乱の種をまいてしまった、ということになります。

もっと強い言い方をするなら、古代はさておき第一次世界大戦以降から現代まで続くパレスチナ問題はイギリスが引き起こしたと言っても過言ではありません。

イスラエル建国と紛争の激化

第二次世界大戦後、世界中に散らばっていたユダヤ人が故郷に戻りたいという思いはさらに強まりました。また、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の悲劇も、ユダヤ人の国家建設を求める動きを後押ししました。

1947年、国際連合(国連)は、この土地をユダヤ人とアラブ人で分ける「パレスチナ分割決議」を採択しました。しかし、アラブ側はこの分割案に強く反対しました。

そして、1948年5月14日、ユダヤ人国家「イスラエル」が建国を宣言します。これに対し、周辺のアラブ諸国は直ちにイスラエルに攻め込み、「第一次中東戦争」が勃発しました。この戦争でイスラエルは勝利し、国連の分割案よりも広い土地を支配することになります。多くのパレスチナ人が故郷を追われ、「ナクバ(大災厄)」と呼ばれる悲劇を経験しました。

さらに、1967年6月には、イスラエルとアラブ諸国との間で「第三次中東戦争(六日戦争)」が勃発しました。この戦争はわずか7日間でイスラエルが圧倒的な勝利を収め、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原、シナイ半島といった広大なアラブ領を占領しました。この「7日間での勝利」は、旧約聖書に記された「神が世界を7日間で創造した」という記述になぞらえられ、イスラエル国内で「奇跡の勝利」として喧伝(けんでん:広く宣伝すること)されました。この勝利は、イスラエルの自信を深めると同時に、占領地の問題という新たな火種を生むことにもなりました。

その後も、この地域では何度も大きな戦争が繰り返され、イスラエルはさらに支配地域を広げていきました。現在、パレスチナ人は、イスラエルが占領する「ヨルダン川西岸地区」や、厳しく封鎖されている「ガザ地区」などで暮らしています。

今、どんなことが議論されているの?

ガザとイスラエルをめぐる紛争が続く中で、世界中で様々なことが議論されています。

1. 高い壁とイスラエルの「浸食」

イスラエルは、テロ対策などを理由に、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に高い「分離壁(ぶんりへき)」を建設しました。この壁は、パレスチナ人の移動を厳しく制限し、生活を困難にしています。

また、イスラエルは、占領地であるヨルダン川西岸地区に「ユダヤ人入植地(にゅうしょくち)」を建設し続けています。これは、国際法上は違法とされていますが、イスラエルは自国の安全保障や歴史的権利を主張して建設を続けています。この入植地の拡大は、パレスチナ人の土地を「浸食」し、将来のパレスチナ国家建設をさらに難しくしていると批判されています。要するに壁や入植地が、パレスチナ人の生活をどんどん苦しくしている、ということです。

2. アメリカの「肩入れ」と国際社会の分断

アメリカは、長年にわたりイスラエルを強く支持し、多額の軍事・経済援助を行ってきました。これは、イスラエルが中東地域におけるアメリカの重要な同盟国であることや、アメリカ国内のユダヤ系ロビー(政治的な影響力を持つ団体)の影響などが背景にあると言われています。

ユダヤ系ロビーの中で特に大きな影響力を持つのが、「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC:エイパック)」です。AIPACは、アメリカ議会や政府に対し、親イスラエル政策を働きかける活動を行っており、その政治献金の規模は非常に大きいことで知られています。例えば、2022年の選挙サイクルでは、AIPACの関連政治活動委員会(PAC)が1700万ドル(約25億円)以上を候補者に寄付したと報じられています(出典:CNS Maryland)。また、他のユダヤ系ロビー団体としては、よりリベラルな立場からイスラエル政策に提言を行う「J Street」などもあります。

このアメリカの「肩入れ」は、紛争の解決を難しくしているという批判もあります。なぜなら、アメリカがイスラエルに一方的に肩入れすることで、パレスチナ側の声が届きにくくなり、公平な解決が遠のいている、と考える国や人々がいるからです。

国際社会も、この問題に対して一枚岩ではありません。イスラエルを支持する国と、パレスチナを支持する国、そして中立的な立場を取ろうとする国々が混在し、国連でも意見がまとまらないことが多いのが現状です。

3. ガザ地区の「封鎖」と人道危機、そして避難できない人々

ガザ地区は、イスラエルとエジプトによって厳しく封鎖されており、「天井のない監獄」とも呼ばれています。人や物の出入りが厳しく制限され、食料、医薬品、燃料などの物資が不足し、住民の生活は非常に困難な状況にあります。

特に、紛争が激化すると、ガザ地区への物資の搬入がさらに滞り、深刻な人道危機(食料や水、医療などが足りなくなる状況)に陥ることが指摘されています。多くの国際機関が、ガザの人々への緊急支援を訴えています。

では、なぜガザ地区の住民は、隣のエジプトやヨルダンなどの国に避難したり、難民として受け入れられたりしないのでしょうか? これには、いくつかの複雑な理由があります。

  • エジプトの警戒と安全保障上の懸念: エジプトは、ガザ地区からハマスなどの武装勢力が流入することを警戒しており、自国の安全保障上の脅威となることを恐れています。また、エジプト国内の治安情勢も不安定なため、大量の難民を受け入れることで、さらなる混乱が生じることを懸念しています。
  • 「強制移住」への反対: アラブ諸国は、イスラエルがパレスチナ人をガザ地区から「強制的に移住」させようとしているのではないか、と強く警戒しています。もし難民を受け入れてしまえば、それはイスラエルの意図に協力することになり、パレスチナ人の故郷への「帰還の権利」や将来のパレスチナ国家建設の可能性を失わせてしまう、と考えています。
  • 既存の難民問題: ヨルダンなど一部のアラブ諸国は、過去の中東戦争で既に多くのパレスチナ難民を受け入れており、国内に大規模な難民キャンプが存在します。これ以上の難民を受け入れることは、自国の経済や社会に大きな負担をかけ、国内の安定を揺るがしかねないという事情もあります。
  • 国際社会への責任転嫁への反発: アラブ諸国は、ガザの人道危機はイスラエルによる占領と封鎖が原因であり、その解決は国際社会、特にイスラエルと支援国が責任を負うべきだと主張しています。難民受け入れは、この責任を自国に転嫁されることにつながると考えています。

このように、ガザ地区の住民が近隣諸国に避難できない背景には、各国の安全保障上の懸念、歴史的な経緯、そしてパレスチナ問題の根本的な解決を求める政治的な思惑が複雑に絡み合っているのです。

あ、あなた今、「もともとの原因を作ったブリカス・・いや、イギリスが難民受け入れすればいいんじゃね?」って、思いました?思いましたよね?

4. 終わりの見えない暴力の連鎖

この紛争は、イスラエルとパレスチナ双方に、多くの犠牲者を出しています。イスラエル側は、ハマスなどの武装勢力によるテロ攻撃に苦しんでいます。一方、パレスチナ側は、イスラエルによる占領や軍事作戦によって、多くの市民が犠牲になり、生活が破壊されています。

憎しみと報復の連鎖が続き、平和への道筋が見えにくい状況です。どうすればこの暴力の連鎖を断ち切り、双方の人々が安全に暮らせるようになるのか、世界中が頭を悩ませています。

各政党が考える「ガザ・イスラエル問題」への政策:未来の日本をどうするのでしょうか?

日本のそれぞれの政党は、自分たちの政治に対する考え方に基づいて、ガザ・イスラエル問題にどう向き合うかを提案しています。

自由民主党(自民党:保守、中道右派 左傾傾向)

  • 考え方:イスラエルとパレスチナ双方の平和と安定を重視し、国際法に基づいた「二国家解決」(イスラエルと独立したパレスチナ国家が平和的に共存する形)を支持する立場です。人道状況の改善を訴え、国連など国際社会と連携した外交努力を重視します。
  • 政策:イスラエルとパレスチナ双方への対話の働きかけ、人道支援の継続、国連安保理決議の順守を求めます。中東地域の安定化に向けた日本の役割を模索し、経済協力なども通じて貢献することを目指します。

立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)

  • 考え方:パレスチナの人々の人権と尊厳を重視し、イスラエルによる占領や入植活動には批判的な姿勢を示します。国際法に基づいた公正な解決、特に「二国家解決」の実現を強く求め、ガザ地区の人道危機への緊急支援を訴えます。
  • 政策:イスラエルに対し、国際法順守と占領地での入植活動停止を求めます。ガザ地区への人道支援を強化し、即時停戦と恒久的な和平に向けた外交努力を積極的に行います。

日本維新の会(保守、右派、リベラル)

  • 考え方:国際社会の安定と日本の国益を考慮しつつ、紛争の平和的解決を求めます。テロリズムには毅然と対応しつつ、人道状況の改善にも配慮する立場です。
  • 政策:国際社会と連携し、紛争の拡大防止と早期の停戦を呼びかけます。人道支援の必要性を認識しつつ、日本の外交力を活かした平和構築への貢献を模索します。

公明党(中道、保守)

  • 考え方:人間主義の立場から、紛争による犠牲者の発生に心を痛め、人道支援の強化を最優先課題の一つとしています。国連を中心とした国際協調を通じて、平和的解決を強く求めます。
  • 政策:ガザ地区への緊急人道支援を強化するよう政府に働きかけ、即時停戦と紛争の終結を強く訴えます。国際社会と連携し、二国家解決に向けた対話の再開を促します。

国民民主党(中道、保守、リベラル)

  • 考え方:国際社会の安定と日本の国益、そして人道的な観点から、紛争の早期終結と平和的解決を求めます。エネルギーや食料の安定供給への影響も考慮し、現実的な外交努力を重視します。
  • 政策:紛争の早期停戦と、人道支援の継続を訴えます。国際社会と連携し、二国家解決を含む平和的解決に向けた対話の促進を支持します。

日本共産党(革新、左派)

  • 考え方:イスラエルによるパレスチナ占領を不当なものと批判し、パレスチナの人々の民族自決権(自分たちの運命を自分たちで決める権利)を強く支持します。国連決議に基づいた公正な解決を求め、イスラエルへの軍事支援には反対します。
  • 政策:イスラエルによる占領地からの撤退と、パレスチナ国家の樹立を求めます。ガザ地区への全面的な人道支援を要求し、即時停戦と平和的解決に向けた国際的な圧力を強化することを主張します。

参政党(保守、右派)

  • 考え方:国際紛争においては、日本の国益を最優先し、感情論に流されず、多角的な視点から分析することを重視します。過度な国際介入には慎重な姿勢を示し、日本の自立性を高めることを訴えます。
  • 政策:紛争の早期終結を望むものの、特定の勢力への肩入れには慎重な立場を取る可能性があります。日本の食料・エネルギー安全保障への影響を重視し、自給率向上を訴えます。

れいわ新選組(革新、左派)

  • 考え方:紛争による市民の犠牲を強く憂慮し、人道的な観点から即時停戦と支援を求めます。大国の介入や、軍事力による解決には批判的な姿勢を示し、平和的解決と貧困問題の解決を重視します。
  • 政策:ガザ地区への緊急人道支援を強く訴え、即時停戦を求めます。紛争の背景にある貧困や格差の問題にも注目し、その根本的な解決を目指します。

日本保守党(保守、右派)

  • 考え方:「国益第一」を掲げ、日本の安全保障と経済的自立を最優先します。国際紛争においても、日本の立場を明確にし、自国の安全保障に資する外交を重視します。
  • 政策:紛争の早期終結を望むものの、日本の安全保障上の観点から、国際情勢を冷静に分析します。特定の国への過度な批判よりも、日本の外交的影響力の行使を重視する可能性があります。

まとめ:未来の日本をどうする? みんなで考えてみましょう!

ガザとイスラエルをめぐる問題は、非常に複雑で、簡単な答えはありません。長い歴史の中で積み重なってきた対立があり、多くの人々の命と生活が奪われています。

この問題を考えるとき、一番大切なのは「私たち一人ひとりが、将来どんな世界にしたいのか?」ということを、しっかり考えることです。

  • この紛争のニュースを見て、あなたはどんなことを感じますか?
  • 日本は、この問題に対して、もっと積極的に関わるべきだと思いますか?
  • 遠い国の紛争が、私たちの生活に影響を与えることについて、どう感じますか?

このページを読んで、ガザ・イスラエル問題に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、ご家族や友人とこのことについて話し合ってみたり、ニュースや資料を調べてみたりして、あなた自身の考えを深めてみてください。未来の世界を創っていくのは、私たちみんなの行動や選択にかかっています。

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