みんなの心を動かす政治の言葉
テレビやインターネット、SNSを見ていると、いろいろな情報があふれています。その中には、私たちの考え方や行動に、気づかないうちに影響を与えようとするものがあります。
政治の世界でも同じで、特定の考え方を広めたり、誰かのイメージを変えたりするために、巧みに作られた情報が使われることがあります。これが、今回お話しする「プロパガンダ」と呼ばれるものです。
プロパガンダは、特定の意見や思想を広めるための宣伝活動のことです。これは、良い目的で使われることもありますが、時には私たちの判断をゆがめてしまう危険も持っています。
冷戦時代:東と西のプロパガンダ合戦
プロパガンダが特に激しく使われたのが、第二次世界大戦が終わった後の「冷戦」という時代です。これは、実際に戦争があったわけではなく、アメリカを中心とした「西側諸国」と、ソ連(ソビエト連邦)を中心とした「東側諸国」が、政治や経済、思想で激しく対立した時代です。
西側諸国と東側諸国
- 西側諸国(自由主義・資本主義):アメリカや西ヨーロッパの国々が中心で、「自由な経済活動」と「民主主義(国民が政治を選ぶ仕組み)」を大切にしました。
- 東側諸国(社会主義・共産主義):ソ連や中国、北朝鮮などが中心で、「平等な社会」や「国が経済を計画する」仕組みを大切にしました。
この二つのグループは、自分たちの考え方が正しいと世界中に広めるため、さまざまなプロパガンダを使いました。
例えば、西側は「自由や民主主義は素晴らしい!」とアピールし、東側の国々が国民の自由を奪っているように伝えました。一方、東側は「平等な社会こそ理想的だ!」と宣伝し、西側の社会にある貧富の差や不平等を批判しました。
特に、ロシア(ソ連の後継)、中国、北朝鮮といった国々では、今も国の方針や政府の考え方を強く国民に伝えるために、テレビ、新聞、インターネットなどを通じて、特定のメッセージを繰り返し流し続ける傾向が見られます。これは、国民の考えを一つにまとめ、国の方向性から外れないようにするためと言われています。
日本の政治とプロパガンダの影
実は、日本国内の政治や選挙でも、プロパガンダと似たような手法が使われることがあります。2025年7月に行われた参議院選挙でも、さまざまな情報戦が繰り広げられました。
マスコミの偏向報道(へんこうほうどう)
新聞やテレビといったマスコミは、私たちの情報源としてとても大切です。しかし、時には報道の内容に「偏り(かたより)」があるのではないか、と指摘されることがあります。これが偏向報道です。
例えば、特定の政党に有利なニュースばかり流したり、逆に不利な情報を強調したりすることがあるかもしれません。あるいは、ある問題を報道する際に、一部の情報だけを切り取って大きく取り上げたり、大事な部分を伝えなかったり、特定の視点からしか伝えなかったりすることもありました。これにより、私たちがその政党や問題について抱くイメージが、知らないうちに操作されてしまう可能性があります。
このマスコミのプロパガンダを打ち壊したのがSNSでした。2024年の東京都知事選では、マスコミは「小池vs蓮舫の女帝対決」という予想で、他の候補のことはほとんど扱いませんでしたが、SNSと地道な街頭演説を続けた石丸伸二氏が166万票近くを獲得して蓮舫氏を引き離して2位の得票となったことは大きな話題になりました。
続く同年11月の兵庫県知事選挙では、マスコミが広めた「おねだりパワハラ知事」という風評(プロパガンダ)に、マスコミ vs SNSで激論が交わされる事態となりました。「おねだりパワハラあった」VS「なかった」、「公益通報」VS「でたらめな怪文書」など国民はマスコミとSNSの情報を両方見てファクトチェック(真実かどうか、証拠はあるか)を自分で行って判断するようになりました。
結果、斎藤知事の大逆転勝利という結果になったのですが、選挙結果よりも「マスコミの洗脳が溶けた」「マスコミの敗北」という話が飛び交い、マスコミにとっても衝撃的な出来事となりました。この選挙以降、マスコミ各社は選挙報道のありかたを見直し、候補者や党首の討論会を開催するなどで、政治報道のやりかたを変えてきています。
選挙妨害(せんきょぼうがい)
選挙は、国民が政治家を選ぶ大切な機会です。しかし、この選挙の公正さを邪魔する行為が「選挙妨害」です。これは、プロパガンダの極端な形とも言えます。
例えば、特定の候補者の悪口をデマ(嘘の情報)で広めたり、演説の邪魔をして声をかき消したりするような行為です。2025年7月の参議院選挙でも、特定の候補者が事実と異なる情報をSNSで拡散されたり、集会場所で不適切な行為をされたり、ひどいものでは候補者に殺害予告が届くといった事例が報告されています。このような行為は、有権者(投票する人)の判断を惑わせ、公平な選挙を妨げることになります。
「ヤジ排除訴訟」の最高裁判断で調子にのった「しばき隊」
2019年、当時の安倍総理の街頭演説中、ヤジを飛ばした市民を警察が会場から排除したことについて裁判になりました。2022年6月、最高裁判所は、警察の排除行為は「違法」だったと判断しました。
これは、政治家へのヤジや批判は、特別な場合を除いて「表現の自由」として守られるべきで、警察が不当にそれを止めてはいけない、ということを示した大切な判決です。
この判例(判決された例。次に同様の事件が起こった時もこの判決が参考とされる)があるために、「何をやっても罪に問われないぞ」とばかりに過激なヤジを飛ばす通称「しばき隊」がやりたい放題やるようになったわけです。
SNSなどでの誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)
最近では、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSが私たちの生活に欠かせない情報源になっています。しかし、SNSは誰もが自由に情報を発信できる反面、根拠のない噂や嘘、悪口(誹謗中傷)が瞬く間に広まってしまう危険も持っています。
政治家や政党に対する誹謗中傷も後を絶ちません。例えば、ある政治家の発言の一部だけを切り取って、全く違う意味合いで拡散したり、個人的な情報を暴いて攻撃したりするケースがあります。こうした誹動中傷は、私たちに誤った印象を与えたり、政治家を萎縮させてしまったりすることもあります。
また、最近多く見られるのが、他党の政治家や候補者に誹謗中傷を行うことや、ある政党や政治家、立候補者に批判的なことをSNSで発信すると、支援者がその人を攻撃するといったことです。
自分の応援している党や政治家を悪く言われたらムカっとして、「ひとこと言ってやらないと気がすまない」という気持ちはわかりますが、そういう行為が応援している党や政治家の品位を下げることになるということに気づいてください。対策は「徹底的に無視」「ブロック」です。
まとめ:見えない言葉の裏側を考えよう
プロパガンダは、特定の目的のために作られた情報です。それが本当に正しい情報なのか、誰かの都合の良いように作られていないか、立ち止まって考えることがとても大切です。
世界を見ても、日本国内を見ても、私たちは様々な情報に囲まれています。テレビのニュース、新聞の記事、インターネットのまとめサイト、SNSの投稿…これら全てが、本当に正しいことだけを伝えているとは限りません。
例えば、
- 「なぜ、このニュースは、ある政党のことばかり強調しているのだろう?」
- 「このSNSの投稿、本当に根拠があるのかな?」
- 「この情報、どこから来たのだろう?」
と、少し立ち止まって考えてみてください。
私たちは、たくさんの情報の中から自分で選び、自分で判断する力が必要です。そのためには、一つの情報源だけを信じるのではなく、色々な情報を見比べてみたり、専門家の意見を聞いてみたりすることが役立ちます。
一番よいのは「原典にあたる」ということです。元の情報が書いてある、一番最初のモトとなる資料や記録を直接見に行くことです。人から「いい本だよ」と言われていい本だと思うのではなく、自分で読んでいい本か悪い本か判断するということです。
テレビ、ラジオ、新聞などのオールドメディアの情報、Youtubeやインスタの切り抜きやまとめ動画も基本的には「切り抜かれた情報」です。気になったことについては原典(たとえば議会ライブやアーカイブ動画、著書など)を確かめてみるということも大切です。
見えない言葉の裏側には、どんな意図が隠されているのか。それが、あなたの心をどう動かそうとしているのか、考えてみましょう。


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