「スパイ防止法」どんな内容になりそう?

外交や国際的な問題
国会議事堂の周りなんて一般人よりスパイのほうが多いんじゃねえの?

日本の安全を守るための法律、どうして必要なの?

前回、「スパイ防止法って何?」というようなお話をしましたが、今回はその続編で、日本の安全を守るための議論や法律の経緯や、高市早苗氏が経済安全保障担当大臣として取り組んで成立させた法案、そして、「スパイ防止法案」を提出することを公約にして話題となった参政党や日本保守党、以前から外国人の土地取得を問題視している国民民主党などがどういう方向で法案を作ろうとしているのかなどを深堀りしていきます。

「スパイ」と聞くと、なんだか映画の中だけの話のように思えるかもしれません。でも実は、世界では今も、国の大切な情報を盗んだり、テロを計画したりするスパイ活動が、当たり前のように行われています。

先進国の中で、日本はこうした活動を直接取り締まる法律がありません。そこで今、日本の安全保障を強化するため、「スパイ防止法」の必要性が、いくつかの政党から訴えられています。この法律が作られるとしたら、一体どんな内容になりそうでしょうか?そして、それは私たちの生活に、どう関係してくるのでしょうか。

過去に議論されてきた「スパイ防止法案」

過去に日本で「スパイ防止法案」が提出されたことがあります。最もよく知られているのは、1985年に提出された「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」です。この法案は、当時の自民党が提出しました。

法案の主な内容は、以下の通りでした。

  • 目的: 外部からの不正な情報収集活動(スパイ行為)を防止し、国の安全を守ること。
  • 罰則: スパイ行為を行った者に対して、懲役や罰金などの罰則を設けること。
  • 「秘密」の定義: 国の安全に関わる情報や、防衛、外交上の重要な情報を「秘密」と定義し、その漏洩を罰すること。

しかし、この法案は、ジャーナリストなどの取材活動が萎縮する恐れがあることや、国民の「知る権利」を侵害するのではないかという強い批判を受けて、国会で審議が継続されないまま廃案となりました。

このように、国を守るための法律である一方で、国民の自由を不当に制限するのではないかという懸念があったため、これまでの法案は成立には至っていません。

高市早苗氏の取り組みと実績

長年にわたり安全保障問題に取り組んできた高市早苗氏は、スパイ防止法が日本の国を守るために不可欠だと考えています。高市氏は、ご自身のX(旧Twitter)でも、スパイ防止法がないことが日本の安全保障上の大きな弱点だと指摘し、法律の整備を繰り返し主張しています。

高市氏は、岸田内閣で経済安全保障担当大臣を務めていました。この立場から、日本の経済活動を外国からの圧力や妨害から守るための重要な法律を成立させています。

その代表的なものが、経済安全保障推進法です。この法律は2022年5月に成立し、私たちの生活に欠かせない半導体や医薬品などの供給を安定させることや、電力や通信といった重要なインフラをサイバー攻撃から守ること、そして、最先端技術の特許が安易に海外に流出しないようにすることなどを目的としています。

高市氏が中心となって進めたその他の主な法案

  • 重要土地等調査規制法(可決・成立): 高市氏が中心となって進めたこの法律は、安全保障上重要な施設(自衛隊基地など)の周辺にある土地を、外国人が購入したりする動きを規制するためのものです。2022年6月に成立し、翌年9月には全面施行されました。
  • スパイ防止法案(成立に至らず): 他国のスパイ活動を直接取り締まるための法律です。高市氏はこの法案の必要性を強く訴えてきましたが、過去の国会では、表現の自由や国民の知る権利を侵害するのではないかという懸念から、成立には至っていません。 高市氏のXでは、スパイ防止法がないことが日本の安全保障上の大きな弱点であると指摘し、その必要性を繰り返し主張しています。

秋の国会で共同提出される「スパイ防止法」案

スパイ防止法の必要性は、参議院選挙中に参政党が公約に盛り込んで拡散したことで大いに盛り上がりを見せています。それぞれどんな内容を目指しているのでしょうか。

スパイ防止法について基本的に賛成の立場をとっている政党は、自由民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、参政党、日本保守党。反対の立場をとっているのは、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組です。

明確にスパイ防止法案が必要だとしている政党をピックアップして、主張を見てみましょう。

参政党が提出を目指すスパイ防止法案

参政党は「スパイ防止法案」の提出に向けて準備を進めていると表明しました。参議院選挙で単独で法案を提出できる議席数を獲得したことで、公約に掲げていたこの法案の実現を目指しているのです。

まだ具体的な案は出てきていませんが、参政党はこの法案は主に、経済安全保障の観点から外国勢力による情報や技術の流出を防ぐことを目的としていると説明しています。

日本保守党(北村春男氏)が提唱するスパイ防止法案

日本保守党も、参議院議員の北村春男氏を中心に、スパイ防止法の制定を強く訴えています。北村氏は、日本には外国のスパイが活動しやすい環境があり、このまま放置すれば国益が損なわれると主張しています。党の公式YouTubeチャンネルなどでも、国際情報戦に勝利するためには、スパイを取り締まる法律が不可欠であると繰り返し発信しています。

北村氏は、参政党の梅村みずほ氏と連携してスパイ防止法案を作ることで合意しており、与野党の有志が党派を超えて協力、法案を成立させることができるのではないかと期待されています。

国民民主党が重視する「外国人による土地取得」問題

国民民主党も、スパイ防止法の制定を公約に掲げています。また、以前から外国人による土地取得の問題を安全保障上の重要な課題としています。重要土地等調査規制法で規制外の土地(都会のマンション、観光地・リゾート地なども)も安全保障上の懸念があると考えています。

「スパイ防止法案」が抱える難しさ

もしスパイ防止法が作られるとしたら、「国の安全を守る」というメリットがある一方で、懸念される点もあります。

期待されること

  • 国の安全を守る: 他国のスパイ活動やテロ、サイバー攻撃から、日本を直接的に守ることができます。
  • 情報機関の連携強化: スパイを取り締まる専門の法律ができることで、警察や自衛隊が情報を共有し、協力しやすくなります。

心配されていること

  • 「知る権利」が守られるか: 国の不祥事を追及するジャーナリストの活動が、スパイ行為とみなされてしまうのではないかという声があります。
  • 国民の監視が強まる?: 法律の運用によっては、警察などの権力が強くなりすぎ、国民の自由な発言や行動が監視されてしまうのではないかという心配もあります。

まとめ:安全と自由のバランスをどう取るか

「スパイ防止法」は、日本の安全を守るために大切な法律である一方、私たちの自由な暮らしを制限してしまう可能性もはらんでいます。

国が守られなければ、私たちの自由も守られません。しかし、自由が制限されてしまう法律は、私たちが安心して暮らせる社会を壊してしまうかもしれません。

この難しい問題について、どのように考えていけば良いのでしょうか?

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