選択的夫婦別姓(別氏)について考えてみよう

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選択的夫婦別姓ってどんな話?

の前に、そもそも国民は賛成なの? 反対なの?

冒頭画像の内閣府の調査結果をみると、「夫婦同姓であるべきだ」という人が27%、「夫婦同性は維持した上で旧姓の通称使用の拡大でいいんじゃね?」という人が42.2%、合計で国民の70%程度が夫婦同姓=家名を残すを望んでいることになります。

賛成派は全体で37%ほどで、「どうしても別姓にしたい」人が8.7%、「別姓にしてもいいんじゃね?」という人が28.9%なので、国民の意識としては賛成は少数派だということがわかります。

ところが、政治の場(国会)では賛成派が主流になっています。これは革新/左派的な考え方の政党は賛成だということと、もうひとつ、カネをもらっている企業や団体が賛成なら、支援を受けている政党も賛成しないとね・・という2つの理由があります。

どんな考え方を持っている政党が賛成しているのか、どんな企業や団体から支援を受けている政党が、賛成しているのかまで追っかけるとなかなか興味深いものが見えてきます。

選択的夫婦別姓制度とは? 概要と賛否の意見

「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)制度」は、日本社会で長く議論されている重要なテーマの一つです。その概要と、賛成・反対それぞれの主な意見を説明します。


選択的夫婦別姓制度の概要

現在、日本の法律(民法)では、結婚する際に夫婦はどちらか一方の姓(名字)を選んで、同じ姓にしなければならないと決められています。これは「夫婦同氏の原則」と呼ばれます。

選択的夫婦別姓制度とは、このルールを変えて、夫婦が結婚する時に、

  • 夫婦が同じ姓を選んでも良い(今まで通り)
  • 夫婦それぞれが、結婚前の姓を使い続けても良い(新しい選択肢)

というように、夫婦が自由に姓を選べるようにする制度のことです。 つまり、「必ず別姓にしろ」という制度ではなく、「同姓にするか、別姓にするか、選択できるようにする」という制度です。

いつから議論されてきたの?

この選択的夫婦別姓制度を求める動きや議論は、かなり昔から存在しています。

本格的に国会や社会で議論されるようになったのは、主に1980年代後半から1990年代にかけてです。

  • きっかけの一つ: 1985年に国連で採択された「女子差別撤廃条約」を日本が批准したことが大きなきっかけとなりました。この条約は、女性へのあらゆる差別をなくすことを目指しており、日本の「夫婦同氏の原則」が男女平等の観点から問題視されるようになりました。
  • 法制審議会での議論: 1990年代には、法務大臣の諮問(しもん)機関である「法制審議会」という専門家会議で、民法の改正について本格的な議論が始まりました。そして、1996年には、法制審議会が「選択的夫婦別姓制度の導入」を法務大臣に答申(結論を報告すること)しました。

この1996年の答申以降、国会では何度も関連法案が提出されたり、議論が行われたりしていますが、現在に至るまで制度は導入されていません。最高裁判所でも、この制度が憲法に違反するかどうかが争われ、合憲(憲法に違反しない)との判断が示されていますが、社会での議論は続いています。

1. 選択的夫婦別姓制度の「賛成」意見

選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する人たちは、主に以下のような理由を挙げます。

  • 個人の尊厳・自由の尊重: 「結婚しても、自分の名前(姓)を変えたくない」という個人の意思を尊重すべきだという考え方です。特に女性が多く姓を変える現状で、自分のアイデンティティ(自分らしさ)や仕事上のキャリア(旧姓で築いた実績など)を失うことにつながると訴えます。
  • 男女平等: 現状では、結婚で姓を変える人の9割以上が女性です。これは、事実上の女性にだけ負担を強いる男女不平等だという指摘です。別姓を選ぶ選択肢があれば、男性も女性も対等な立場で結婚を考えられるようになります。
  • 不便の解消: 姓が変わることで、仕事で名刺や書類を作り直したり、銀行口座やパスポートなどの名義変更をしたりする手間がかかります。また、仕事で旧姓を使いながら、戸籍上は別の姓という「通称使用」には、限界や混乱が生じる場合があります。別姓を選べれば、そういった不便が解消されると主張します。
  • 多様な家族のあり方の尊重: 家族の形が多様化する現代社会において、姓が同じであることだけが家族の絆の証ではないという考え方です。夫婦別姓を選んでも、家族としての関係性や絆は変わらないと主張します。

2. 選択的夫婦別姓制度の「反対」意見

選択的夫婦別姓制度の導入に反対する人たち、または慎重な人たちは、主に以下のような理由を挙げます。

  • 家族の一体感の喪失: 「家族は同じ姓であるべきだ」という考え方が根強くあります。姓が同じであることは、家族としての絆や一体感を強める重要な要素だと考えます。別姓になると、家族の絆が弱まったり、子どもがどちらの姓を名乗るかで混乱が生じたりするのではないかと懸念します。
  • 伝統的な家族観の維持: 「夫婦同姓は日本の伝統的な家族制度や文化に根ざしたものだ」という考え方です。簡単に変えるべきではなく、日本の社会の基盤を揺るがす可能性があると主張します。
  • 子どもの姓に関する問題: 夫婦が別姓の場合、子どもの姓をどうするかという問題が生じます。親と子の姓が異なることによって、子どもが社会生活で不便を感じたり、いじめの原因になったりするのではないかと心配する声があります。子どもが成長した時に、自分で姓を選べるようにすべきという意見もあれば、統一すべきという意見もあります。
  • 社会の混乱: 制度が変わることで、行政の手続きや、社会のシステムに混乱が生じるのではないかという懸念です。また、夫婦同姓を前提とした社会の仕組みが多いため、制度変更に伴うコストや手間が大きいと主張します。

3.「旧姓使用の拡大で問題なし」とする意見

選択的夫婦別姓制度の導入に反対または慎重な立場の人の中には、「旧姓使用(つうしょうしよう)を、現在の通称使用よりもさらに使いやすく拡大すれば、夫婦別姓制度を導入しなくても、結婚後の不便は解消できる」と考える意見があります。

  • 主な主張:
    • 事実上の不便は解消できる: 姓を変えた女性が仕事などで旧姓を使い続けたい場合、現状でも名刺や一部の公的な手続きなどで旧姓を使用できます。この「通称使用」の範囲をもっと広げ、銀行口座や住民票、運転免許証など、あらゆる場面で旧姓を戸籍上の姓と同じように使えるようにすれば、結婚前の姓を使い続けたい人の不便はほぼ解消される、と主張します。行政手続きなどでも、旧姓使用で支障のない環境はほぼ整っていることから、これは、自民党など1つの党の中で意見が割れている最も大きな原因ともなっています。
    • 家族の一体感は維持: 戸籍上の姓は家族で統一されたままで、伝統的な家族観や家族の一体感は維持できると考えます。子供は自分で姓を選ぶか親が決めるかで強制的にどちらかの姓を選ばなければならない(強制的子供別姓)になります。子供へのアンケートでは父母の姓が違うのはイヤだというのが大半の意見でした。
    • 社会の混乱を回避: 大規模な法改正を伴う夫婦別姓制度の導入よりも、既存の制度の運用を広げる形の方が、社会的な混乱やコストを抑えられると主張します。

「戸籍制度が崩壊する」という意見の概要

選択的夫婦別姓制度の導入に反対する立場から、主にSNSなどで拡散されている「制度が導入されると日本の戸籍制度が成り立たなくなる」あるいは、「日本の伝統的な家族制度が崩壊する」という懸念が示されることがあります。

  • 戸籍制度の目的と現状への理解:
    • 日本の戸籍制度は、夫婦と未婚の子どもを一つの単位(戸籍)として記録し、家族の関係を公に証明する役割を担っています。この戸籍は、夫婦が同じ姓であるという原則に基づいて成り立っていると考えられています。
    • 戸籍を見ることで、誰と誰が夫婦で、誰がその夫婦の子どもであるか、という家族関係が一目でわかるようになっています。
  • 「戸籍が機能しなくなる」という主張:
    • 夫婦が別々の姓を選ぶことができるようになると、戸籍の代表者(筆頭者)の姓と、もう一方の配偶者や子どもの姓が異なる場合が生じます。
    • これにより、戸籍を見ただけでは家族の関係が分かりにくくなり、戸籍が本来持っている「家族関係を明確にする」という機能が失われるのではないか、という懸念が示されます。
    • さらに進んで、戸籍制度そのものが複雑化しすぎたり、役割を果たせなくなったりして、制度が形骸化(形だけで中身がなくなること)し、事実上「崩壊」に向かう、と主張されることがあります。
  • 「日本の伝統的な家族制度が危うくなる」という主張:
    • 戸籍制度は、日本における「家」制度(特定の姓を持つ家族が世代を超えて続いていくという考え方)と密接に結びついていると理解されています。
    • 夫婦別姓の導入は、この「家」制度の根幹を揺るがし、日本の伝統的な家族のあり方が失われることにつながるのではないか、と心配する意見もあります。これは、姓が家族の一体感の象徴であるという考え方とも関連しています。

この主張への反論や補足

一方で、「戸籍制度が崩壊する」という主張に対しては、以下のような反論や補足的な見解もあります。

  • 戸籍制度自体は姓の選択に柔軟に対応可能:
    • 戸籍制度は、元々、養子縁組や離婚、再婚などによって家族の姓が変わることに対応できる柔軟な仕組みを持っています。
    • 選択的夫婦別姓が導入されたとしても、戸籍に「筆頭者の姓」と「配偶者の姓」を併記するなど、制度を工夫することで対応は可能であり、戸籍制度そのものが崩壊するわけではない、と考える専門家も多いです。実際に、戸籍法を改正することで対応できるとされています。
    • また、戸籍制度を持たない国々でも、夫婦別姓は広く導入されており、家族関係の証明に大きな支障が生じているわけではありません。
  • 家族の定義の変化:
    • 「戸籍が崩壊=家族が崩壊」という考え方は、家族を「姓が同じであること」に強く結びつけすぎているという指摘もあります。
    • 現代社会では、多様な家族の形があり、姓が異なっても、愛情や協力関係によって家族の絆は保たれると考える人も増えています。

このように、「戸籍制度が崩壊する」という意見は、主に戸籍が持つ「家族関係の明確化」という機能や、「家」制度、伝統的な家族観への強いこだわりからくる懸念であると言えます。


各政党が考える「選択的夫婦別姓」への政策:未来の日本をどうするのでしょうか?

日本のそれぞれの政党は、自分たちの政治に対する考え方に基づいて、選択的夫婦別姓にどう向き合うかを提案しています。

それぞれの意見を見て、自分の考えに合った政党をみつけてみましょう。

自由民主党(自民党:保守、中道右派 左傾傾向)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には慎重または反対の立場です。家族の一体感や、伝統的な家族のあり方を重視する傾向があります。国民の間で十分に議論が尽くされていないという考え方や、子どもの名字の問題などを指摘することが多いです。
  • 政策:現在の民法を維持し、夫婦同姓を原則とする立場です。ただし、旧姓の通称使用(きゅうせいのかいしょうしよう:結婚前の名字を仕事などで使うこと)については、利便性向上のための取り組みを進めることに理解を示しています。

立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には賛成の立場です。個人の尊厳(そんげん:人として大切にされること)や多様性を尊重し、結婚後の名字を夫婦が自由に選択できるようにすべきだと主張しています。男女平等の観点からも、必要だと考えています。
  • 政策:選択的夫婦別姓制度の導入を可能にする民法改正を目指しています。旧姓の通称使用の拡大だけでなく、法的な選択肢の必要性を訴えます。

日本維新の会(保守、右派、リベラル)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入については、国民の理解と合意形成を重視する立場です。個人の選択の自由を尊重しつつも、家族のあり方や社会への影響を慎重に議論すべきだと考えています。
  • 政策:国民的な議論を深め、合意形成を図った上で、制度のあり方を検討すべきだとしています。旧姓使用の拡大には前向きな姿勢を示しつつも、法改正には慎重な意見もあります。

公明党(中道、保守)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入については、国民の意見を幅広く聞き、慎重に議論を進めるべきだという立場です。家族のあり方や、子どもの利益を考慮しつつ、個人の選択の自由とのバランスを探っています。
  • 政策:国民的議論の深化を求め、旧姓の通称使用の拡大を進めることには賛成しています。法改正については、国民の理解が不可欠であるとして、慎重な姿勢を維持しています。

国民民主党(中道、保守、リベラル)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には賛成の立場です。個人の選択の自由を尊重し、多様な生き方を認める社会を目指すべきだと主張しています。ただし、社会の混乱を最小限に抑えるための議論も必要だと考えています。
  • 政策:選択的夫婦別姓制度の導入を可能にする法改正を訴えています。子どもの名字の問題など、具体的な課題についても議論を深めることを重視します。

日本共産党(革新、中道左派)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には賛成の立場です。男女平等の実現と、個人の権利を尊重する観点から、夫婦が自由に名字を選べるようにすべきだと強く主張しています。
  • 政策:選択的夫婦別姓制度の導入を可能にする民法改正を強く求めています。家族の多様なあり方を認め、誰もが生きやすい社会を目指します。

参政党(保守、右派)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には反対の立場です。日本の伝統的な家族のあり方や、家族の一体感を重視し、名字を同じにすることが家族のきずなを強めると考えています。社会の混乱や、子どもの利益への影響を懸念しています。
  • 政策:現在の夫婦同姓の原則を維持すべきだと主張します。日本の伝統や文化を守ることを重視し、安易な制度変更には反対します。

れいわ新選組(革新、左派)

  • 考え方:選択的夫婦別姓の導入には賛成の立場です。個人の尊厳と多様性を尊重し、結婚後の名字を自由に選べるようにすべきだと主張しています。性別に関わらず、誰もが自分らしく生きられる社会を目指します。
  • 政策:選択的夫婦別姓制度の導入を可能にする民法改正を推進します。多様な家族のあり方を認め、社会の制度を時代に合わせて変えていく必要性を訴えます。

日本保守党(保守、右派)

  • 考え方:「国益第一」を掲げ、日本の伝統や文化、家族のあり方を重視する立場から、選択的夫婦別姓の導入には反対の立場です。家族の一体感を損なうことや、社会の混乱を懸念しています。
  • 政策:現在の夫婦同姓の原則を維持すべきだと主張します。日本の伝統的な家族観を守ることを重視し、制度変更には慎重な姿勢を示します。

まとめ:未来の日本をどうする? みんなで考えてみましょう!

「選択的夫婦別姓」は、個人の生き方、家族のあり方、そして社会の多様性という、様々な視点から議論されている、とても大切な政治の話題です。

結婚後の名字を自由に選べるようにすべきだという意見と、家族の一体感を守るために同じ名字であるべきだという意見、どちらにもそれぞれ大切な理由があることが分かりました。

この問題を考えるとき、一番大切なのは「私たち一人ひとりが、将来どんな社会で生きていきたいのか?」ということを、しっかり考えることです。

  • あなたは、結婚したら名字を変えたいですか? それとも変えたくないですか? その理由は?
  • もし夫婦別姓が認められたら、子どもの名字はどうするのが良いと思いますか?
  • 「個人の自由」と「家族のきずな」、どちらも大切ですが、どのようにバランスを取るべきだと思いますか?

このページを読んで、「選択的夫婦別姓」に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。ぜひ、ご家族や友人とこのことについて話し合ってみたり、ニュースや資料を調べてみたりして、あなた自身の考えを深めてみてください。未来の日本を創っていくのは、私たちみんなの行動や選択にかかっています。

おまけ:サザエさんで考える!選択的夫婦別姓になったら磯野家はどうなるのか!? 竹田恒泰ch

旧皇族竹田家出身で、政治評論家、作家などさまざまな顔を持つ竹田恒泰さん。通称 宮様。家の電話はどう出るの?には吹きました。

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