中国の船が尖閣諸島に毎日やってきています
前回、「尖閣諸島はどうして守る」という記事で、尖閣諸島で何が起こっているのか、どうしたらこの領土を守ることができるんだろうか、ということを考えてきました。今回は続編で、もう少し歴史的なところと、沖縄県民(特に石垣島で漁業に携わる人たち)の現状について考えていきます。
尖閣諸島(せんかくしょとう)は、沖縄県の石垣島(いしがきじま)から北へおよそ170キロメートル離れた場所にある、小さな無人島の集まりです。日本の領土であることは間違いありませんが、中国や台湾も「自分たちの領土だ」と主張しています。特に最近は、中国の船が尖閣諸島の周りに毎日やってきて、私たちの生活に影響が出ているのです。
なぜ中国は尖閣諸島を欲しがるのか?
中国が尖閣諸島を自国の領土だと主張し始めたのは、1970年代に入ってからです。
それまで中国は、尖閣諸島が日本の領土であることを示す古地図や公文書などに対し、異議を唱えていませんでした。しかし、この地域で石油や天然ガスなどの資源が見つかる可能性があると指摘されたことや、漁業の権益をめぐる国際的な動きから、尖閣諸島の領有権を主張し始めました。
尖閣諸島の周りには、豊富な漁場(ぎょじょう)があり、多くの魚が獲れます。もし実際に石油や天然ガスが大量に見つかれば、中国のエネルギー問題も解決するかもしれないという思惑があります。
1970年代からの日本政府は中国に対してどんな対応をしてきたか
中国や台湾が「尖閣諸島は我々の領土だ」と言い出したのは、先に説明したように1970年代以降、「尖閣諸島に資源が眠ってるかも」と言われ出してからで、それ以前の日本政府は外交的な対応を取っていませんでした。尖閣諸島は1895年に日本が正式に領土に編入し、国際的にも日本の領土として認められてきた歴史があります。
では、1970年頃から現代まで約50年ほどの歴代政権の時に、どんな問題や事件があったか、どんな対応をしたかについて見ていきましょう。
- 佐藤栄作政権(1964年〜1972年) 佐藤栄作(さとうえいさく)政権の末期、尖閣諸島周辺に海底資源がある可能性が浮上しました。日本政府は、それまで他国の領有権主張がなかったことを確認した上で、1971年にこの島々を沖縄県に属する日本の領土として正式に発表しました。
- 田中角栄政権(1972年〜1974年) 1972年の日中国交正常化の際、田中角栄首相(たなかかくえい)と周恩来首相(しゅうおんらい)は、尖閣諸島の問題に深く触れることなく、「将来の話し合いに委ねる」という「棚上げ」に合意しました。これは、互いの主張をいったん脇に置いて、問題を一時的に凍結することで、国交正常化という最大の目的を達成するための政治的な判断でした。
- その後の政権(1970年代後半〜2000年代前半) 1978年には、尖閣諸島周辺に多くの中国漁船が出現する事件が起きました。大平正芳(おおひらまさよし)政権以降、日本政府は中国に対して一貫して外交ルートで抗議を続けてきました。
- 小泉純一郎政権(2001年〜2006年) この政権では、中国の抗議船が日本の領海に侵入し、政府が法的措置を講じる事態となりました。2004年3月には、中国の活動家7名が魚釣島に不法に上陸し、海上保安庁が領海侵犯の疑いで船を、不法入国で活動家を逮捕しました。その後、政府は出入国管理及び難民認定法(入管法)を適用し、不法入国者として彼らを強制送還するという法的措置をとりました。
- しかし、この中国人活動家たちは、中国国内で英雄視され、反日活動家の間で称賛されることになりました。
- この事件は、中国国内で尖閣諸島の領有権を主張する「保釣運動」と呼ばれる活動を活発化させるきっかけにもなりました。中国政府は、日本の法的措置に対して「中国国民の強い反応を引き起こしている」と表明し、彼らの行動を間接的に擁護するような姿勢を見せました。
- 強制送還された活動家たちは、中国国内のメディアやインターネットを通じて注目を集め、一部では反日行動の象徴として扱われました。特にリーダー格と見なされていた人物は、以前から反日活動で知られており、帰国後はその地位がさらに高まったと言われています。
- この事件は、単なる不法入国という法的問題を超え、中国国内のナショナリズムを刺激し、両国の関係を一層複雑にする要因となりました。
- 安倍晋三政権(第一次)〜麻生太郎政権(2006年〜2009年) この時期の政権は、中国との関係改善を目指す「戦略的互恵関係」を掲げつつ、領土問題では日本の立場を明確に主張しました。中国船の領海侵入はまだ常態化しておらず、政府は外交と対話を重視する姿勢を維持しました。
- 民主党政権(2009年〜2012年) 2010年9月、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生し、日中関係は一時的に冷え込みました。2012年9月には、野田政権が尖閣諸島のうち3つの島を国有化しました。これにより、中国からの反発がさらに強まりました。
- 安倍晋三政権(2012年〜2020年) 2012年以降、中国海警局の船が尖閣諸島周辺の日本の領海に頻繁に侵入するようになりました。安倍政権は、中国の動きに対し毅然とした態度で対応しました。海上保安庁の巡視船を大幅に増やして体制を強化し、日米同盟の重要性を強調しました。
- 菅義偉政権(2020年〜2021年) 菅政権は、安倍政権の外交・安全保障政策を引き継ぎ、中国への抗議を続けていきました。
- 岸田文雄政権(2021年〜2024年) 岸田政権も、基本的に安倍・菅政権の対応を引き継ぎました。日米同盟をさらに強化することで、中国の動きをけん制する外交的な対応を重視しました。
- 石破茂政権(2024年〜) 石破政権は、中国への毅然とした対応を続けるとともに、外交的な対話も重視する姿勢を見せています。また、尖閣諸島周辺で漁業を行う人々が安心して操業できるよう、具体的な支援策も検討しています。
沖縄県の対応
尖閣諸島は、沖縄県に属する場所です。そのため、沖縄県の政治家や漁業者の人たちにとっては、特に大きな問題となっています。
- デニー知事の対応 デニー知事は、尖閣諸島の領有権問題については、「日本政府が適切に対応すべきだ」という立場です。同時に、中国船の接近によって不安を感じている地元の漁業者に対して、国がしっかりと守ることを求めています。
- 沖縄県議会の要求 沖縄県議会は、日本政府に対して、中国船の監視体制をさらに強めることや、尖閣諸島周辺で漁業をする人たちへの支援を求める決議を何度も行っています。
- 沖縄県民、特に漁業者の悲痛な声 尖閣諸島周辺で漁をしてきた地元の漁師たちは、中国海警局の船に追いかけられることや、船体をぶつけられる危険を感じながら漁をしています。漁師の中には、「こんなんじゃ仕事にならない。安心して漁に出られない」と声を上げる人も多くいます。漁獲量も大きく減り、生活が立ち行かなくなるという不安を抱えています。
日本の政党は尖閣諸島問題をどう考えている?
日本の主要な政党は、尖閣諸島問題についてどのような考えを持っているのでしょうか。各政党の政策を見てみましょう。なお、各政党の方針については、各政党のホームページや公約、党首の発言などを参考にしています。
- 自由民主党(自民党:保守、中道右派、左傾傾向)
- 自民党は、尖閣諸島が日本の固有の領土であることを明確に主張し、中国の領海侵入には厳正な対応を取るべきだという立場です。海上保安庁の能力強化や日米同盟の重要性を訴えています。
- 立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)
- 立憲民主党は、尖閣諸島が日本の領土であることを認めつつ、中国との外交的な対話を通じて、緊張緩和を目指すべきだと考えています。
- 日本維新の会(保守、右派、リベラル)
- 日本維新の会は、中国の領海侵入に対し、より強力な法的措置を講じるべきだと主張しています。海上保安庁だけでなく、自衛隊との連携を強めるべきだという立場です。
- 公明党(中道、保守)
- 公明党は、尖閣諸島は日本の領土であるという原則を堅持しながら、中国との関係を安定させるために、外交的な対話を重視すべきだと考えています。
- 国民民主党(中道、保守、リベラル)
- 国民民主党は、尖閣諸島の周辺海域の監視を強化するとともに、中国への対応には毅然とした態度で臨むべきだという立場です。
- 日本共産党(革新、左派)
- 日本共産党は、尖閣諸島を巡る問題は、外交的な対話によって平和的に解決すべきだという考えです。軍事的な緊張を高めることには反対しています。
- 参政党(保守、右派)
- 参政党は、尖閣諸島の防衛体制の強化を強く主張しています。自衛隊を積極的に活用し、中国の侵入を許さない体制を築くべきだと考えています。
- れいわ新選組(革新、左派)
- れいわ新選組は、尖閣諸島問題の平和的な解決を求めており、軍事的な対応ではなく、外交的な努力を最優先すべきだと主張しています。
- 日本保守党(保守、右派)
- 日本保守党は、尖閣諸島を日本の領土として守るために、自衛隊の常駐を含めた強力な防衛策を講じるべきだと強く主張しています。
まとめ
尖閣諸島は、日本の領土であることに間違いはありません。しかし、中国が領有権を主張し続けて、毎日のように領海侵犯を繰り返して日本の漁船を威圧するなどを繰り返していて、現地の漁業者の方たちは安心して漁ができない状況が続いています。
政府や政党によって対応の仕方はさまざまですが、大切なのは、この問題が日本の安全保障だけでなく、私たちの経済や生活にも深く関わっているということです。
あなたなら、この問題を解決するために、どんな対応が一番良いと思いますか? この問題は、他国の政治的な理由や資源の争いが、日本の社会をこんなに揺るがすという事実について考えるきっかけになるはずです。


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