「国家情報法」と「国防動員法」がやばい
最近のニュースで「中国の法律が日本の安全を守る上で心配だ」という話を聞いたことはありませんか?特に「国家情報法」(こっかじょうほうほう)と「国防動員法」(こくぼうどういんほう)という2つの法律は、私たちの暮らしにも関係するかもしれない、とても大切なテーマです。
これらの法律がどんな内容で、なぜ日本でそんなに議論されているのかを見てみましょう。
中国人は全員スパイになるかも 「国家情報法」とは
「国家情報法」とは、中国が2017年に施行した法律で、国の安全を守るための情報活動を定めています。この法律の中でも、特に問題視されているのが第7条という条文です。
国家情報法の問題は第7条にあり
国家情報法は、中国が国家の安全保障を最優先する姿勢を明確にした法律です。その中でも、国際社会から最も警戒されているのが第7条です。
法律の適用範囲が広い
国家情報法の第7条には「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。」と書かれています。
この「いかなる組織及び国民」という言葉が非常に重要です。この法律は、中国籍を持つ人であれば、中国国内にいるか、日本などの海外に住んでいるかにかかわらず適用されると解釈されています。さらに、中国国内で事業を行う外国企業も、中国政府の情報活動に協力する義務を負うとされています。
協力の強制と拒否できない状況
「支持、援助及び協力」という言葉も、非常に広い意味で使われています。単に情報提供を求められるだけでなく、スパイ活動への直接的な参加や、機材の提供、場所の提供なども含まれる可能性があります。
もしも、日本で働く中国人が中国政府から情報提供を求められても、この法律があるため、拒否することが非常に難しい状況に置かれます。、個人の意思とは関係なく従わざるを得ない事態に陥るリスクがあるのです。
日本に住んでいる中国人や、日本企業で働く中国人も含まれると解釈されています。もし、中国政府が日本にいる中国人に「会社の秘密を教えろ」と命令したら、この法律があるので、その人は断れず、もし断ったら、中国国内にいる家族に害が及んだり、帰国した時に処罰される可能性があります。
これは、日本の企業や技術の秘密が、知らない間に中国に流れてしまう危険があるということです。皆さんの家族が勤めている会社も、いつか狙われる可能性がないとは言えません。
つまり、日本にいる中国人も、中国にいる日本人も、中国政府が要求すれば、どんな情報でも提供しなきゃいけないっていう法律なんです。
こんな法律があるので、アメリカなどでは、中国の通信会社などの重要なインフラから排除するなど、具体的な対策を始めています。これは、政治的に対立しているというような理由ではなく、国家情報法という法律の危険性を真剣に考えた結果なのです。
ある日突然、日本の土地が軍事拠点になるかもしれない 「国防動員法」とは
次に、「国防動員法」についてです。これは、中国が戦争や国として大変な状況(有事)になったときに、国のすべての力を動員できるようにする法律です。
この法律の最大の問題は、次の2つです。
- 「有事」の定義があいまい:
- 「有事」とは、戦争だけでなく、経済の危機や大きな災害なども含まれるとされています。つまり、中国政府が「今がその時だ」と判断すれば、いつでもこの法律を発動できるのです。その判断基準が曖昧なため、国際的な懸念が高まっています。
- 日本にいる中国人も兵隊になる?:
- この法律は、中国国内だけでなく「海外にいる中国人も含む」と明記されています。
- 日本に住んでいる中国人や、日本企業で働く中国人が、中国政府の命令に従って軍事的な活動や国防関連の仕事に動員されるということで、日本の公的機関や民間企業で働く人々にも例外なく影響が及びます。
- 日本の土地や施設が軍事基地になる?:
- この法律は、「海外にある中国人の所有物も対象になる」と決められています。
- 最近、中国の人が北海道や沖縄の土地や島、自衛隊の基地の近くの土地などもたくさん買っていることがニュースになっています。もし国防動員法が発動されたら、これらの土地が、中国軍の活動に利用される危険性があるのではないかと心配されています。
- 日本の大事な場所が、知らない間に中国の軍事拠点になってしまうかもしれないのです。
昔の歴史からわかる中国の支配のやり方
中国が、歴史的に周辺の地域をどうやって支配してきたかを知っておくことも大切です。
香港が中国の支配下に収まるまで
香港が中国の支配下に収まるまでの経緯は、19世紀のイギリスによる植民地化から始まり、21世紀の現在まで続く複雑な歴史的背景があります。その流れは、大きく「イギリス植民地時代」「返還交渉と一国二制度」「中国による支配強化」の3つの段階に分けられます。
少し長くなってしまいますが、衝撃的な事件でしたのでおさらいをかねて詳しく見ていきます。
1. イギリスによる植民地化と返還への道
香港がイギリスの支配下になったのは、19世紀に起きた2つの戦争がきっかけです。
- アヘン戦争(1840年~): イギリスが清朝(中国)との貿易赤字を解消するため、アヘンを中国に密輸したことから始まった戦争です。この戦争に敗れた清朝は、1842年の南京条約で香港島をイギリスに永久に譲り渡しました。
- アロー戦争(1856年~): 2度目のアヘン戦争に敗れた清朝は、1860年の北京条約で九龍半島もイギリスに譲り渡しました。さらに1898年には、九龍半島の北側にある「新界(しんかい)」という地域を、99年間という期限付きでイギリスが借りることになりました。
この99年間の期限が切れるのが1997年でした。この時期になると、返還をめぐるイギリスと中国の話し合いが始まり、1984年に「中英共同声明」が発表されました。この声明では、香港全域の主権を1997年7月1日に中国へ返還し、返還後も50年間は香港のこれまでの社会や経済制度を維持するという「一国二制度」の原則が約束されました。
2. 「一国二制度」の原則と中国による支配強化の始まり
1997年7月1日、香港はイギリスから中国に返還され、「香港特別行政区」となりました。「一国二制度」の原則のもと、香港は独自の法律、通貨、関税制度を維持して、高度な自治が認められました。
しかし、中国共産党は徐々に香港への統制を強めていきます。特に大きな転機となったのは、2019年に起きた「逃亡犯条例改正案」をめぐる大規模なデモです。この改正案は、香港で犯罪を犯した容疑者を中国本土に引き渡せるようにするというものでした。香港市民は、「この法律が成立すれば、中国政府の都合の良いように市民が逮捕され、言論や表現の自由が脅かされる」と強く反発し、数十万人から200万人以上が参加する大規模なデモに発展しました。
3. 国家安全維持法の施行と「一国二制度」の形骸化
香港市民の強い抵抗を受けて、香港政府は逃亡犯条例改正案を撤回しました。しかし、デモによって中国政府への反発が明らかになったことで、中国はさらに強い手段に出ました。
2020年6月、中国政府は「香港国家安全維持法」を制定し、香港で施行しました。この法律は、国家分裂、国家政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託といった4つの行為を取り締まるというもので、香港の法律とは別に、中国政府が直接制定したものです。
この法律によって、香港社会は大きく変わりました。
- 言論の自由の制限: 中国政府を批判する言動が厳しく取り締まられるようになりました。
- 民主派の排除: 民主派の政治家や活動家が次々と逮捕、投獄されました。
- メディアへの圧力: 民主派を支持するメディアが廃刊に追い込まれ、表現の自由が大きく制限されました。
これらの出来事によって、香港が中国本土とは違う自由な社会を維持するという「一国二制度」は、事実上形骸化していると多くの専門家が指摘しています。
現在、香港はかつてのにぎわいを失い、シャッター街の目立つ寂しい町になってます。
モンゴル(内モンゴル自治区)への同化政策と弾圧
「内モンゴル自治区」は、中国の北部にある大きな地域です。ここは、モンゴル民族が何百年も前から暮らしてきた草原地帯で、モンゴル人にとってとても大切な場所です。
同じモンゴル民族が住む地域は、南側の「内モンゴル」と北側の「外モンゴル」に分かれていました。外モンゴルは、現在「モンゴル国」として独立した国になっています。一方、内モンゴルは、清王朝の時代から中国の支配下に置かれ、1947年に「内モンゴル自治区」として、中国の領土に組み込まれました。
民族の文化を消そうとする「同化政策」
中国政府は、内モンゴル自治区を「多民族が共生する場所」としていますが、実際にはモンゴル民族の独自の文化や言語を弱め、中国の文化に同化させようとする政策を進めてきました。特に問題になっているのは、2020年に始まった「二言語教育」という新しい教育政策です。
2020年の「二言語教育」改革
中国政府は、2020年の新学期から、内モンゴル自治区の小中学校で、これまでモンゴル語で行われていた授業を、中国語(標準語)に切り替える方針を打ち出しました。
この政策が実施されると、子どもたちはモンゴル語ではなく、中国語の教科書を使い、中国語で授業を受けなければならなくなります。モンゴル民族の人々にとっては、この政策は自分たちの言葉や文化が学校から消えてしまうのではないかという強い危機感を抱かせました。
モンゴル民族が暮らす「内モンゴル自治区」は、もともとは独立した国ではありませんでしたが、モンゴル独自の言葉や文化を守ってきました。ところが、中国政府はモンゴル語で授業をすることをやめさせ、中国語だけで勉強するように決めました。
これに反対してデモをするモンゴルの人たちもいましたが、政府はデモをした人たちを逮捕するなど、厳しく取り締まっています。この動きは、民族の文化を消し去る「同化政策」だと言われています。
抗議活動への弾圧
この政策に対して、内モンゴルのモンゴル族の人々は強く反発しました。多くの保護者や教師、学生が学校に行かない「登校拒否」や抗議活動を始め、数万人規模のデモも発生しました。しかし、中国政府はこうした動きを厳しく弾圧しました。抗議を扇動したとされる人々の顔写真を公表し、次々に逮捕しました。
日本にいる家族への圧力: 中国当局は、日本に住むモンゴル族の人々に対しても圧力をかけました。日本での抗議活動に参加すれば、中国にいる親族を刑務所に入れると脅すようなこともありました。
インターネットの監視: SNSで政府の政策を批判した人々は、アプリを使えなくされるなど、厳しい監視と規制を受けました。
これらの出来事から、中国政府が、自国の国民であろうと、たとえ海外に住んでいても、国家の意向に反する行動を許さない姿勢であることがわかります。モンゴル民族の文化を守ろうとする活動家たちは、これを「文化的な民族虐殺(ジェノサイド)」だと訴えています。
中国はチベットの宗教と自由を奪った
チベットは、ヒマラヤ山脈の北側にある広大な地域で、古くから独自の文化や宗教、政治体制を持っていました。特に、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマが、精神的なリーダーであると同時に、政治的なリーダーでもありました。
中国は歴史的にチベットを自国の領土の一部だと主張してきましたが、1950年に人民解放軍がチベットに侵攻しました。中国政府はこれを「平和解放」と呼びましたが、これは武力による事実上の占領でした。
1959年には、中国の支配に反発する大規模な反乱(チベット動乱)が起きましたが、中国軍によって鎮圧され、多くのチベット人が犠牲となりました。この動乱の後、ダライ・ラマ14世はインドへと亡命し、現在もそこでチベット亡命政府を樹立しています。
その後、中国の支配は続き、チベットの文化や宗教は大きな危機に直面しています。
- 宗教の弾圧: 中国政府は、チベット仏教の信仰を厳しく制限しています。寺院の数を減らしたり、僧侶の活動を監視したり、仏教の教えを政治的な理由で歪めたりしています。
- 言語・文化の抑制: 学校ではチベット語の教育が減らされ、中国語(標準語)の教育が強制されています。これにより、子どもたちが自分たちの文化や歴史を学ぶ機会が失われつつあります。
- 漢民族の移住: 中国政府は、多くの漢民族をチベットに送り込む政策を進めてきました。これにより、チベットの社会構造が大きく変化し、チベット民族が経済的にも社会的にも不利な立場に置かれることが多くなりました。
このように、今でも、チベットでは仏教の信仰が厳しく制限され、文化や基本的な人権が脅かされているという声が、国際社会から上がっています。チベットの人々にとって、ダライ・ラマ14世は、今もなお精神的な支えとなっていますが、中国政府は彼の帰国を認めていません。
新疆ウイグル自治区での人権問題
新疆ウイグル自治区は、イスラム教を信仰するウイグル族が暮らす地域です。中国政府は、テロ対策や貧困対策の名目で、この地域で厳しい統治を行っています。しかし、その実態は深刻な人権問題として国際的に非難されています。
「再教育キャンプ」と呼ばれる施設
2010年代後半から、中国政府は「職業技能教育訓練センター」と称する施設を大規模に設置しました。しかし、国際社会や元収容者の証言によると、ここは単なる職業訓練施設ではなく、ウイグル族を強制的に収容し、政治的な思想教育や洗脳を行う「再教育キャンプ」であるとされています。
このキャンプでは、中国共産党への忠誠を誓うことや、ウイグル族の文化や信仰を否定する教育が強制されています。また、拷問や性的暴行、強制的な不妊手術などの人権侵害が行われているという報告も多数上がっており、国連などの国際機関が調査を求めています。
強制労働の疑い
キャンプに収容された人々は、釈放後も工場などで強制的に働かされているとの疑惑があります。特に、新疆ウイグル自治区は世界的な綿花の生産地であり、衣料品や太陽光パネルなどの製品に、こうした強制労働が関わっているのではないかと懸念されています。
このため、アメリカなどでは、ウイグル自治区で生産された製品の輸入を禁止する法律が制定され、世界の企業がサプライチェーンからウイグル関連製品を排除する動きも出てきています。
徹底した監視社会
この地域では、顔認証カメラやAIを使った市民の行動監視システムが徹底して張り巡らされています。また、携帯電話のアプリを通じて、個人の思想や行動が厳しく管理されており、少しでも政府に不都合な行動をすれば、すぐに拘束される可能性があります。
こうした事例は、中国が自国の利益のためなら、他国の主権や民族の文化を軽視する可能性を示唆していると考える人もいます。この歴史的な背景が、国家情報法や国防動員法に対する日本の懸念をより強めているのです。
日本の政治家たちはどう考えている?国を守るための議論
中国のこうした歴史や事例を見ると、中国政府が、自国の利益のためなら、他国の主権や民族の文化を軽視する可能性があることがわかります。
「国家情報法」と「国防動員法」といった中国の法律がもたらすリスクに対し、日本の各政党はどのような対策を考えているのでしょうか?また、これと関わりの深い、外国人を受け入れる政策(移民政策)について、どのような考えを持っているかを合わせて見ていきましょう。
- 自由民主党(自民党):
- 自民党は、中国の法律がもたらす危険をとても深刻に考えています。国の安全を守るための法律(経済安全保障推進法や重要土地等調査法など)を作り、技術の流出や、土地が使われるのを防ごうとしています。また、日本の経済を元気にするためには、外国人の力を借りることも大切だと考えています。しかし、国の安全を守るために、外国人の審査は厳しくしようとしています。
- 立憲民主党:
- 立憲民主党は、中国の法律の問題を心配しつつも、人権や話し合いを大切にしています。武力で対抗するのではなく、国際社会と協力し、話し合いを通じて解決すべきだと考えています。外国人を受け入れるときは、人権をしっかり守る制度を作るべきだと考えています。外国人を安い労働力として使うのではなく、みんなが安心して暮らせる社会を目指しています。
- 日本維新の会:
- 日本維新の会は、日本の安全を一番に考えています。「国家情報法」などに対抗するため、スパイ活動を防ぐための法律を作ったり、憲法を改正して自衛隊の役割をはっきりさせたりするべきだと強く主張しています。経済を良くするためには外国人も必要ですが、日本のルールや文化を守れない人は反対です。治安が悪くならないように、きちんと管理すべきだと考えています。
- 公明党:
- 公明党は、平和を一番に考えながらも、現実的な安全を守ることも必要だと考えています。中国と話し合いを続けながら、問題解決を目指すべきだと考えています。同時に、いざという時のために、日本を守る力も必要だとしています。外国人も日本人も、お互いを認め合って暮らせる社会を目指しています。外国人が日本で生活しやすいように、日本語を教えたりする支援を充実させるべきだと考えています。
- 国民民主党:
- 国民民主党は、「まずは現実を見よう」という考えで、具体的な対策を重視しています。中国の法律による情報流出やサイバー攻撃を防ぐため、国の守りを強くすべきだと考えています。人手が足りない部分には外国人の力が必要だと考えていますが、外国人が増えることで日本の人たちの賃金が下がらないように、働き方のルールをしっかり作るべきだと主張しています。
- 日本共産党:
- 日本共産党は、話し合いで平和を実現すべきだと考えています。これらの法律の危険性を認識しつつも、軍事的な対抗ではなく、平和的な外交を通じて問題を解決すべきだと考えています。自衛隊を強化するための予算を増やすことには反対しています。外国人が安く使われることをなくし、すべての労働者の権利を守るべきだと考えています。
- 参政党:
- 参政党は、日本の安全を最優先に考えています。「国家情報法」などをとても危険だと捉えており、スパイ活動を防ぐための法律(スパイ防止法)をすぐに作るべきだと強く主張しています。日本の文化や治安を守るため、外国人をどんどん受け入れることには反対の立場です。日本の国にとって一番良い方法を考えるべきだとしています。
- れいわ新選組:
- れいわ新選組は、憲法9条を大切にし、平和を一番に考えています。軍事的な力ではなく、話し合いによる平和的な外交を最優先すべきだと考えています。すべての人が安心して暮らせる社会を目指しており、外国人の権利も守るべきだと考えています。
- 日本保守党:
- 日本保守党は、日本の国益を第一に考えています。「国家情報法」などは、日本にとって明確な脅威だと考えています。これに対抗するため、スパイ防止法の制定や、日本の防衛力を強くすることを訴えています。日本の文化や社会の安定を守るため、外国人を無制限に受け入れることには反対しています。
まとめ
中国の「国家情報法」と「国防動員法」は、私たち日本人にとって遠い国の話ではありません。これらの法律は、日本にいる中国人がスパイ活動に巻き込まれる可能性や、日本の土地が軍事目的に使われる可能性など、たくさんの心配な点があります。
これらの法律や中国の歴史を知ることは、日本の安全を守るためにとても重要です。私たちの平和で安全な暮らしを守るために、国や政治家がどんな対策を立てるべきか、私たち自身も関心を持って考えていく必要があります。


コメント