女性の安全を守るために。アフリカホームタウンと日本の未来

外国人の問題
  1. 異なる文化を持つ人々が日本に来た時、何が課題となるのでしょうか
  2. ホームタウン認定のアフリカ4か国の現状と、日本での生活を考える
  3. モザンビーク (ホームタウン:愛媛県今治市)
      1. モザンビークで蔓延する性暴力と課題
        1. 被害者の脆弱性
      2. モザンビークは人身売買の拠点となっている
        1. モザンビークはアフリカでも児童婚の割合が高い(早期結婚や強制結婚)
        2. モザンビークの慣習 女性器切除(FGM)
      3. 児童労働
      4. エイズ(HIV)感染率が非常に高い水準
      5. 一夫多妻制
  4. ナイジェリア (ホームタウン:千葉県木更津市)
      1. 性犯罪(レイプや性的暴行)
        1. 性犯罪の現状と傾向
        2. 法制度と課題
      2. 人身売買
      3. 若年婚(早期結婚や強制結婚)
      4. 女性器切除(FGM)
        1. 背景にある要因
      5. ナイジェリアの児童労働について
      6. 一夫多妻制 法律と慣習のギャップ
  5. ガーナ
      1. 性犯罪(レイプや性的暴行)
      2. ガーナも人身売買の拠点
      3. 若年婚(早期結婚や強制結婚)18歳までに結婚23%
      4. 児童労働
      5. ガーナでは女性器切除(FGM)が大幅に減少
      6. ガーナの一夫多妻制の現状
  6. タンザニア
    1. タンザニアの性犯罪(レイプや性的暴行)
      1. 性犯罪の現状
      2. 人身売買
      3. 若年婚(早期結婚や強制結婚)
      4. 女性器切除(FGM)は大幅減少
    2. FGMの現状とエビデンス
      1. タンザニアでは約600万人の児童が労働している
        1. 一夫多妻制
  7. 女性の地位が低いアフリカ。女性は服装に関する注意も必要
  8. このような生活習慣が日本に持ち込まれることについての危機感
  9. まとめ: アフリカ4か国の課題から、私たちの役割を考えてみよう
  10. 補足:センシティブ(気持ちを害したり、傷つけたりする可能性がある、取り扱いに注意が必要)な話題だけれど、こういう習慣のある国ということは理解しておいてほしい
    1. 女性器切除(FGM・Female Genital Mutilation)について
      1. 実行される理由と背景
      2. 健康への影響
      3. 世界的な状況
    2. 若年婚
      1. 若年婚の背景にあるもの
      2. 一夫多妻制と若年婚、レイプの関連性
      3. 一夫多妻制がもたらす問題
    3. ナイジェリアの「赤ちゃん工場」
      1. 「赤ちゃん工場」とは
      2. 摘発の背景と現状
      3. 背景にある社会問題

異なる文化を持つ人々が日本に来た時、何が課題となるのでしょうか

私たちの住む日本では、安全で平和な暮らしが当たり前だと感じているかもしれません。しかし、世界には、女性や子供たちが様々な危険や困難に直面している国がたくさんあります。今回取り上げる、モザンビーク、ナイジェリア、ガーナ、そしてタンザニアもその一つです。これらの国々の文化や暮らしを知ることは、私たちがこれから直面するかもしれない課題を理解する第一歩です。

過去2回に渡ってアフリカホームタウン問題についてお知らせしてきました。
なぜ?知らない間に決まった「ホームタウン」
アフリカからの人の受け入れ。ほんとに大丈夫?〜JICAホームタウン認定が問いかける日本の国際協力〜

今回は、女性の地位の低いアフリカ各国の現状、女性に対する暴力や虐待問題について深堀をして、本当に安全に彼らを迎えるにはどうしたらいいのか、ホームタウンとなる各市は、特に女性や子供の安全に関してどう考えて受け入れを進めていけばよいのかを考えていきたいと思います。

ホームタウン認定のアフリカ4か国の現状と、日本での生活を考える

グローバル化が進む現代、日本で暮らす外国人の方が増えています。これは多様な文化に触れる良い機会ですが、同時に、日本の文化や法律との間に摩擦が生まれる可能性もあります。特に、女性や子供に対する考え方が異なる人々が来た場合、日本の女性の安全や治安に影響を与える可能性があることを理解しておくことが大切です。

もちろん、アフリカ人にも良い人も悪い人もいるでしょう。しかし、古くからの習慣や考え方は日本に来たからといってすぐ変えられるものではありません。アフリカで根強く残る問題を知ることは重要だと思い、この記事を書いています。

ここでは、各国の特に深刻な問題となっている事柄を、報道資料や調査報告データをもとに見ていきます。

モザンビーク (ホームタウン:愛媛県今治市)

モザンビークは目覚ましい経済成長を遂げた一方で、その恩恵は国民に広く行き渡っておらず、特に女性は低い識字率、高いHIV感染率、貧困といった困難な状況に置かれています。伝統文化による男性優位の考えが根強く、女性の多くは自給自足農業と家事労働に従事し、発言権や社会参加が制限されています。

地域間(北部、中部、南部)で文化や経済状況が異なり、ジェンダー状況もそれに影響されます。南部は男性の出稼ぎが多いため女性の社会進出が進んでいますが、高いHIV感染率が課題です。北部は保守的な文化が強く、女性の社会進出が遅れています。

政治面では、国会議員の約40%を女性が占めるなど、世界的に見て女性の政治参画率は非常に高いです。しかし、家庭やコミュニティレベルでは女性の意思決定への参加は限定的です。

モザンビークで蔓延する性暴力と課題

モザンビークでは、性犯罪、特にレイプや性的暴行が深刻な社会問題となっています。正確な公式統計は限られていますが、複数の信頼できる機関の報告書から、その蔓延状況が明らかになっています。

  • 女性の37%以上が性的被害に遭っている:
    • 2011年の「Demographic and Health Survey」によると、モザンビークの女性の37%以上が性的または身体的暴力を経験しています。
    • UNDP (国連開発計画) とモザンビーク国立統計局(INE)が協力して実施した「モザンビーク人間開発報告書2010」には、調査対象の女性の54%が人生で男性から身体的または性的暴力を受けたことがあると回答したことが記載されています。
  • 非パートナーによる暴力: 性的暴力を経験した女性のうち、パートナー以外の人物(ボーイフレンド、教師、家族など)による被害も報告されています。
  • 低い報告率: 性的暴力を経験した女性のうち、誰かに話したり助けを求めたりしたのはわずか40%でした。多くの被害者は、文化的な障壁や社会的スティグマ、公的機関への不信感から、声を上げることが困難です。
被害者の脆弱性
  • 未成年者: 未成年者への性暴力が深刻な問題です。ユニセフ(国連児童基金)が2014年に発表した報告書では、モザンビークのインターネット利用者の未成年者のうち、13%がオンラインでの性的搾取や虐待の被害に遭ったことが報告されています。
  • 紛争地域: 北部のカボ・デルガド州で続く紛争により、女性と女児はレイプ、誘拐、性的搾取などの性暴力のリスクにさらされています。ヒューマン・ライツ・ウォッチアムネスティ・インターナショナルなどの人権団体が、この地域での性暴力の発生を報告しています。
  • 性労働者: 性労働者は、社会的スティグマや差別、経済的不平等から、身体的および性的暴力に対して特に脆弱です。

モザンビークは人身売買の拠点となっている

モザンビークは、人身売買の主要な供給国、通過国、そして目的地となっています。米国務省が令和6年(2024年)に発表した「人身取引報告書」によると、特に性的搾取を目的とした女性や子どもの人身売買が多発しています。令和5年(2023年)には、性的搾取目的の人身取引犯31人に有罪判決が下されましたがこれは氷山の一角とされていおり、貧困や弱い法執行機関が、人身売買の温床となっています。

モザンビークはアフリカでも児童婚の割合が高い(早期結婚や強制結婚)

モザンビークは、アフリカで最も児童婚の割合が高い国の一つです。プラン・インターナショナルが令和6年(2024年)に発表したデータによると、法律で18歳未満の児童婚が禁止されているにもかかわらず、女性の53%が依然として18歳未満で結婚しています。

モザンビークの慣習 女性器切除(FGM)

女性器切除は、モザンビークでも文化的な慣習として存在します。UNICEFの令和6年(2024年)のデータによると、モザンビークではFGMの割合は0.8%と報告されています(https://data.unicef.org/topic/child-protection/female-genital-mutilation/)。

児童労働

モザンビークでは、児童労働が深刻な問題となっています。特に農業や鉱業といったセクターで、多くの子供たちが危険な労働に従事しており、その背景には貧困、教育機会の不足、伝統的慣習といった複雑な要因があります。

モザンビークにおける児童労働の正確な統計は限られていますが、利用可能なデータからその深刻さがわかります。アメリカ労働省の報告によると、2014年には5歳から14歳の子どもの約16.2%が何らかの労働に従事しており、これは約127万人に相当します。また、2017年の別の報告では、5歳から14歳の子どもの23%(約150万人)が労働力の一部であるとされています。

これらの子どもたちの多くは、農業や自給自足的な家事労働に従事していますが、中には小規模な金鉱山や採石場などで危険な労働を強いられているケースも報告されています。

これらの問題は、教育機会の喪失、健康被害、栄養不良を引き起こし、子どもたちの将来を奪うだけでなく、貧困の連鎖をさらに強めることにつながっています。

エイズ(HIV)感染率が非常に高い水準

モザンビークでは、エイズ(HIV)感染率が非常に高い水準にあります。特に女性の感染率が男性よりも圧倒的に高い点が特徴です。

エイズ予防情報ネットの2005年の報告では、15歳から44歳の妊婦のHIV陽性率は18〜20%と報告されており、2019年のUNAIDSのデータでも、モザンビークの15歳から49歳の成人のHIV感染率は12.5%と推定されています。これは世界でも最も高い部類に入ります。特に、南部地域で感染率が非常に高く、ガザ州では女性の感染率が29.9%にも達し、世界的に見ても驚異的な数字です。

モザンビークでエイズが蔓延している背景には、貧困、社会的な不平等、文化的な要因など複数の問題が絡み合っています。

  • ジェンダー不平等と性暴力: 女性の地位が低く、性交渉における決定権が男性にあることが多いです。このため、女性はコンドームの使用を拒否されるなど、自身の安全を守ることが困難になります。また、性暴力や強制的な性行為も感染拡大の一因となっています。
  • 貧困と生活様式: 貧しい家庭では、若い女性が食料や住居を得るために性的関係を持つケースがあります。また、南アフリカへの出稼ぎ労働者が多く、頻繁な人口移動がウイルスを拡散させる要因となっています。
  • 知識不足とスティグマ: HIV/エイズに対する正しい知識が不足しており、感染者への偏見(スティグマ)が根強く残っています。このため、感染の恐れがあっても検査や治療を受けることをためらい、ウイルスが広がる一因となっています。
  • 若年婚と多妻婚: 若年で結婚する割合が高く、また一夫多妻制が広く行われていることも、感染リスクを高める要因と考えられています。

一夫多妻制

モザンビークでは、法律上は一夫多妻制は違法とされていますが、特に地方の農村部では慣習的な結婚として一夫多妻が広く行われており、深刻な社会問題となっています。

モザンビークの家族法(Family Law)は、正式な結婚を一夫一婦制と定めており、重婚は禁止されています。しかし、この法律は伝統的な慣習婚には必ずしも適用されず、多くの男性が複数の妻を持つことが黙認されているのが現状です。これは、伝統文化やイスラム教の影響が根強く残る北部地域で特に顕著です。このため、女性の地位は低く、若年婚での教育機会の損失や差別、HIVの蔓延の原因ともなっています。

モザンビーク政府は、法律の整備を進めていますが、伝統的な慣習を変えることは容易ではありません。

ナイジェリア (ホームタウン:千葉県木更津市)

性犯罪(レイプや性的暴行)

UNFPAナイジェリアの令和6年(2024年)の報告によると、ナイジェリアではジェンダーに基づく暴力が広範囲に及んでおり、特に女性や少女に対する性的暴力が深刻な問題となっています(https://nigeria.unfpa.org/en/topics/gender-based-violence-19)。

ナイジェリアでは、性犯罪、特にレイプや性的暴行が深刻な社会問題となっています。政府の公式発表や詳細な統計データは限られているものの、複数の報告書やメディア報道から、その蔓延状況が明らかになっています。

性犯罪の現状と傾向
  • 蔓延の深刻さ: 2020年の新型コロナウイルス感染症によるロックダウン(都市封鎖)以降、ナイジェリア全土でレイプの報告件数が急増したと伝えられています。当時の女性問題担当大臣は、ロックダウンにより女性や子どもが家庭内に閉じ込められ、加害者と共にいる時間が長くなったことが原因だと説明しています。
  • ジェンダーに基づく暴力の非常事態宣言: この状況を受けて、ナイジェリア国内の全36州の知事は、女性と子どもに対する「ジェンダーに基づく暴力」とレイプについて、非常事態を宣言しました。
  • 女性や子どもが主な被害者: 被害者の多くは女性と子どもです。一部の報告では、女性器切除(FGM)や売春に依存せざるを得ない女性たちが、性的暴力の被害に遭っていることが指摘されています。
  • 家庭内での暴力: 多くの性的暴行が家庭内、または親しい人物との間で発生していると見られています。
法制度と課題

ナイジェリアでは、性犯罪を罰するための法律が存在しますが、その執行には課題が多いのが現状です。

  • 法律: ナイジェリアの法律はレイプを犯罪と定めており、有罪となった場合の刑罰は懲役10年から終身刑までとされています。しかし、被害者が男性の場合、法律が適用されないことや、配偶者によるレイプが犯罪とされていないなど、法律そのものにも不備があります。
  • 刑罰の厳罰化: 州によっては、性犯罪への対応を強化する動きが見られます。例えば、北部のカドゥナ州では、レイプ犯に対する刑罰を厳罰化し、去勢の上での死刑または終身刑を導入しました。
  • 法の不徹底な実施: 法律は存在するものの、政府職員による違反行為の報告や、刑罰が軽微であること、法律が実質的に実施されていないという報告もあります。
  • 司法への不信: 被害者が警察や司法機関に性犯罪を報告することをためらうケースが多く、その原因として、警察の対応への不信感や、社会的なスティグマ、報復への恐怖が挙げられます。

ナイジェリアにおける性犯罪の問題は、単なる犯罪行為にとどまらず、社会的な不平等、法の執行の不備、そして根深い文化的な慣習が複雑に絡み合っていると考えられます。

人身売買

米国務省の令和6年(2024年)「人身取引報告書」によると、ナイジェリアは人身売買の供給国、通過国、そして目的地となっています。犯罪組織が、女性や子供を性的搾取や強制労働のために人身売買しています(https://jp.usembassy.gov/ja/2024-trafficking-in-persons-report-ja/)。

ナイジェリアでは、人身売買が深刻な問題であり、被害者であると同時に、人身売買の「送り出し国」「経由国」「受け入れ国」という複数の顔を持っています。特に女性と子どもが、強制労働や性的搾取の被害に遭う危険性が高いとされています。

  • 主要な「送り出し国」: ナイジェリアは、人身売買の主要な送り出し国の一つであり、特にヨーロッパへの人身売買が横行しています。被害者の多くは、ヨーロッパの性産業で働かせるために、イタリアやスペインなどへ送られています。
  • 被害者の出身地: 被害者の多くは、ナイジェリア南部のエド州とその州都ベニン・シティの出身です。IOM(国際移住機関)が2018年に発表した報告書「Trafficking of Nigerian Women and Girls to Europe」によると、、イタリアから帰還したナイジェリア人女性の9割以上がこの地域出身者でした。
  • 国内での人身売買: 国外への人身売買だけでなく、国内でも農村部から都市部へ子どもが売買され、家事使用人や路上での物売り、物乞いなどの強制労働に従事させられています。
  • 「赤ちゃん工場」: ナイジェリアでは、妊娠した少女たちが保護され、生まれた赤ちゃんが売買される「赤ちゃん工場」が摘発されるなど、衝撃的な事案も報告されています。

若年婚(早期結婚や強制結婚)

UNFPAナイジェリアの令和6年(2024年)の報告によると、ナイジェリアでは若年婚が広まっており、特に貧しい地域や農村部で深刻です。 (https://nigeria.unfpa.org/en/topics/gender-based-violence-19)。

これは、単に結婚する年齢が若いというだけでなく、少女たちの教育、健康、そして将来の機会を奪う人権侵害として捉えられています。

  • 15歳までに40%が結婚: ユニセフのデータによると、ナイジェリアでは15歳までに結婚する少女の割合が非常に高く、貧困層の40%が15歳までに結婚しているという報告(2016年10月11日に国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルが発表した報告書「EVERY LAST GIRL: Free to live, free to learn, free from harm」)もあります。
  • 地域差: 若年婚は特に北部地域で蔓延しており、南部のキリスト教徒が多い地域と比べて、イスラム教徒が多い北部でより一般的な慣習とされています。これは、文化的な規範や宗教的解釈が影響しているためです。
  • 背景にある要因:
    • 貧困: 家族が娘を結婚させることで、口減らし(家族の負担を減らす)や、結納金を得る手段とすることがあります。
    • 伝統的・文化的慣習: 少女の純潔を保つため、あるいは家族の名誉を守るためとして、幼くして結婚させられる慣習が根強く残っています。
    • 教育の欠如: 若年で結婚した少女は、多くの場合、学校を中退せざるを得ず、教育機会を奪われます。これにより、経済的な自立が困難になり、貧困の連鎖が世代を超えて続くことになります。

女性器切除(FGM)

ナイジェリアのNDHS 2013報告書によると、15歳から49歳の女性の25%が女性器切除を受けています。これは、ナイジェリア北西部のソコト州で特に問題となっており、UNFPAの令和6年(2024年)の報告でも言及されています。

ナイジェリアでは女性器切除(FGM)は深刻な問題であり、法律で禁止されているにもかかわらず、特定の地域やコミュニティで根強く行われています。

2015年にナイジェリア政府は「暴力禁止法(Violence Against Persons Prohibition Act)」を成立させ、FGMを犯罪と定めました。しかし、文化的な慣習が強いため、法律が十分に執行されていないのが現状です。

背景にある要因

FGMが存続する主な要因は以下の通りです。

  • 伝統と文化: FGMは一部の民族やコミュニティにおいて、女性の純潔や結婚の準備、社会的受容のための通過儀礼と見なされています。
  • ジェンダー規範: 女性の性的欲求を抑制し、男性が支配する社会構造を維持する目的でFGMが行われることがあります。
  • 衛生と美意識: 外性器を「汚い」と見なし、切除することで「清潔」になるという誤った信念があります。
  • 貧困と教育不足: 貧しい家庭では、FGMを拒否することでコミュニティから孤立することを恐れたり、代替の選択肢がないと感じたりすることがあります。

ナイジェリアの児童労働について

ナイジェリアでは、児童労働は深刻な問題です。国際労働機関(ILO)とユニセフ(UNICEF)が2020年に発表した報告書「Global Estimates of Child Labour: 2020 Trends, 2012–2020」によると、5歳から17歳の子どもの約半数にあたる49%が労働に従事しています。

主な要因: 貧困が最大の原因であり、多くの子どもが家計を助けるために働かざるを得ない状況です。質の高い教育へのアクセスが難しいことや、一部の地域では子どもの労働が慣習となっていることも問題を悪化させています。

影響: 子どもたちは主に農業、鉱業、非公式セクター(路上での物売りや家事労働など)で働いており、その多くは危険で搾取的な環境です。これにより、子どもたちの健康や教育機会が著しく損なわれ、貧困の連鎖が続いています。

対策: ナイジェリア政府は「児童の権利法」を制定し、児童労働を禁止しています。しかし、法律の執行が不十分であり、根深い貧困が続く限り、この問題の解決は困難です。国際機関も教育支援や啓発活動を通じて、問題の撲滅を目指しています。

一夫多妻制 法律と慣習のギャップ

ナイジェリアの一夫多妻制は、法律上は禁止されているものの、特定の地域で慣習として広く行われており、深刻な社会問題を引き起こしています。

ナイジェリアの法律は、一夫一婦制を基本としており、1970年の結婚法(Marriage Act)は重婚を禁じています。しかし、連邦制をとるナイジェリアでは、州ごとに異なる法律や慣習が適用されます。南部では一夫一婦制が一般的である一方、北部のイスラム教徒が多い州では、シャリア法(イスラム法)に基づいて一夫多妻制が認められています

ナイジェリア全体では一夫多妻制の正確な割合は不明ですが、地域によって大きな差があります。

  • 北部地域: イスラム教徒が多く、40%から50%の家庭が一夫多妻制を実践していると推定されています(Cuddle Column 2025年7月15日公開記事)。
  • 南部地域: キリスト教徒が多く、一夫多妻制を実践している家庭は10%以下に留まります。

この法的・慣習的なギャップが、国全体での統一的な対応を困難にしています。ユニセフの「ナイジェリアにおける児童婚と早期結婚の状況分析(A Situation Analysis of Child Marriage and Early Unions in Nigeria)(2017年)」のような報告書でも、この問題は重要なジェンダー不平等の一因として指摘されています。

ガーナ

性犯罪(レイプや性的暴行)

ガーナでは、レイプや性的暴行を含む性犯罪が深刻な問題です。法律は性犯罪を厳しく禁じていますが、現実には報告件数が少なく、加害者が処罰されないケースが多いです。

ガーナの犯罪統計は不完全なため、性犯罪の正確な件数を把握するのは難しいです。しかし、複数の報告や現地調査から、性犯罪が広範に存在することがわかっています。

  • 人権団体や国際機関の報告: アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体、そして国連児童基金(UNICEF)は、ガーナにおける性暴力、特に児童性的虐待の多発を指摘しています。多くのケースが報告されないまま、加害者がコミュニティ内で野放しにされている現状が問題視されています。
  • 警察のデータ: ガーナ警察の統計によると、2014年には約4,600件の性犯罪が報告され、そのうち約2,600件がレイプでした。これらの数字は氷山の一角に過ぎないと広く認識されています。
  • 10人に1人が性的暴行を経験:ガーナ統計局が2022年に発表した「Demographic and Health Survey Report (DHS Report 2022)」によると、15歳から49歳のガーナ人女性の11.2%が少なくとも一度は性的暴力を経験しています。また、この報告書は、親密なパートナーから身体的または性的暴力を受けた女性の割合が、2008年の40%から2022年には36%にわずかに減少したことを示しています。しかし、依然として多くの女性が暴力を経験している現状が明らかになっています。
  • 国連女性機関(UN Women)の2022年の報告書でも、ガーナ人女性の4人に1人が親密なパートナーからの身体的または性的暴力を経験していると指摘されており、性暴力が広範に存在することが裏付けられています。

在ガーナ日本国大使館の令和6年(2024年)の安全対策情報では、ガーナでは強盗や性的暴行といった犯罪に巻き込まれる危険性があると警告しています。

ガーナも人身売買の拠点

ガーナは、人身売買の主要な送り出し国、経由国、受け入れ国となっています。特に、国内の人身売買が蔓延しており、子どもたちが強制労働に従事させられています。

米国国務省が2023年に発表した「人身売買報告書(Trafficking in Persons Report 2023)」によると、ガーナは人身売買の撲滅に向けた最低基準を満たしておらず、政府の対策は不十分だと評価されています。この報告書は、ガーナ国内における子どもたちの強制労働が特に蔓延していることを指摘しています。

  • 国内における人身売買: 最も一般的な人身売買の形態は、国内での児童労働です。貧しい家庭の子どもたちが、親戚や人身売買業者によって漁業、農業、鉱業、そして家事労働に強制的に従事させられています。
  • 国際的な人身売買: ナイジェリアやコートジボワールからの人身売買の被害者が、ガーナを通過してヨーロッパや中東に向かうルートが報告されています。また、ガーナの女性や少女が、性的搾取のためにヨーロッパや中東に売買されるケースもあります。

若年婚(早期結婚や強制結婚)18歳までに結婚23%

ガーナでは若年婚(児童婚)が深刻な社会問題であり、法律で禁止されているにもかかわらず、特に貧困層や教育水準の低い地域で依然として蔓延しています。

ガーナ統計局が2022年に発表した「Demographic and Health Survey (DHS) Report」によると、20歳から24歳のガーナ人女性のうち、18歳までに結婚した人の割合は23%です。これは、過去の調査からわずかに減少したものの、依然として高い水準です。

児童労働

ILOの2024年の報告によると、ガーナでは農業や鉱業、サービス業などで児童労働が行われています。特に、カカオ産業では多くの子供たちが危険な労働に従事していることが指摘されています

ガーナでは、児童労働は深刻な問題です。ユニセフと国際労働機関(ILO)が発表した共同報告書「Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward」によると、ガーナの5歳から17歳の子どもの約23.1%が児童労働に従事していると推定されています。これは、約200万人に相当する数字です。

ガーナの児童労働は主に以下の要因によって引き起こされています。

  • 貧困: 貧しい家庭では、子どもたちが家計を支えるために働かざるを得ない状況です。
  • 農業セクター: 児童労働の大部分は農業、特にカカオ産業に集中しています。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体は、ガーナとコートジボワールのカカオ農園で、危険な労働や人身売買を含む児童労働が蔓延していると長年指摘してきました。
  • 教育制度の不備: 多くの地域で質の高い教育へのアクセスが難しく、学費や制服が買えないため、子どもたちが学校から離れて労働に就くことになります。

ガーナでは女性器切除(FGM)は法律で禁止されていますが、依然として一部のコミュニティで慣習として行われています。

ガーナでは女性器切除(FGM)が大幅に減少

ガーナ統計局が2022年に発表した「Demographic and Health Survey (DHS) Report」によると、15歳から49歳の女性のうち約3%がFGMを経験していると報告されています。2007年の「女性器切除禁止法」の制定により、FGMが犯罪として罰せられるようになり、代替儀礼(性教育、儀式の伝統的なダンスや歌、新しい人生の始まりを象徴する衣類や装飾品などの贈呈。)を推奨しています。

この政策は効果を発揮して、FGMは大幅に減少しており、ガーナ北部の一部の地域や、近隣諸国からの移民コミュニティではまだ多く見られるもののFGM撲滅に向けた進展が見られます。

1998年: 15歳から49歳の女性のFGM経験率は38%
2007年: 禁止法の制定(実行者、幇助、奨励、参加者に最低3年の懲役)
2008年: 28%に減少
2014年: 4%に低下
2022年: 3%に低下

ガーナの一夫多妻制の現状

ガーナの法律、特に1985年の民法(PNDCL 111)は、一夫一婦制を基本としており、重婚は違法です。しかし、この法律は伝統的な慣習婚には必ずしも適用されていません。特に、北部やイスラム教徒のコミュニティでは、シャリア法(イスラム法)に基づいて一夫多妻制が合法的に認められている場合があります。

ガーナ統計局が2022年に発表した「Demographic and Health Survey (DHS) Report」によると、15歳から49歳の既婚女性の約20.1%が、夫に複数の妻がいる家庭に住んでいます。この割合は、貧困層や教育水準が低い女性の間で特に高い傾向にあります。

  • 地域差: 報告書によると、一夫多妻制の割合は地域によって大きく異なります。北部地域では、既婚女性の40%以上が夫に複数の妻を持つ家庭に属しています。一方、南部ではこの割合は10%未満です。
  • 宗教差: イスラム教徒の女性の約32%が一夫多妻婚であり、キリスト教徒の女性の約11%を大きく上回っています。

タンザニア

タンザニアの性犯罪(レイプや性的暴行)

タンザニアでは、レイプや性的暴行を含む性犯罪が深刻な社会問題となっています。これらの犯罪は、特に女性と子どもに大きな影響を与えており、その多くが報告されずに放置されています。

性犯罪の現状

タンザニアの性犯罪に関する正確な全国統計は限られていますが、複数の報告書がその蔓延を示しています。

  • 人権団体の報告: アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体は、タンザニアにおけるレイプや性的暴力の多発を指摘しています。特に、脆弱な立場にある女性や子ども、難民キャンプの居住者、そして身体障害者が被害者になるケースが多いと報告されています。
  • 国連のデータ: タンザニアでは15歳から49歳の女性の16%が、生涯に少なくとも一度、親密なパートナーではない人物から性的暴力を受けたことがあります。さらに、15歳から19歳の少女の26%が、18歳になる前に性的暴力を経験しているとされています。(下記タンザニア政府がユニセフや米国疾病対策予防センター(CDC)などの国際機関と協力して定期的に実施している調査より)
    2009年版 Violence Against Children in Tanzania: Findings from a National Survey(最初の調査)
    2022年版 Tanzania Demographic and Health Survey and Malaria Indicator Survey(最終報告)

人身売買

米国国務省が2023年に発表した「人身売買報告書(Trafficking in Persons Report 2023)」によると、タンザニアは人身売買の主要な送り出し国、経由国、受け入れ国となっています。この報告書は、タンザニア政府が人身売買対策の最低基準を満たしておらず、その取り組みが不十分だと指摘しています。

  • 国内における人身売買: 最も一般的な形態は、国内での児童の強制労働です。貧しい家庭の子どもたちが、親戚や人身売買業者によって、農業、鉱業、漁業、そして家事労働に強制的に従事させられています。
  • 国際的な人身売買: タンザニアの女性や少女が、性的搾取や強制労働のために中東やアジアに売買されるケースが報告されています。また、ブルンジ、ルワンダ、コンゴ民主共和国などからの難民や移民が、タンザニア国内で人身売買の被害に遭うこともあります。

若年婚(早期結婚や強制結婚)

若年婚はタンザニアで深刻な問題であり、少女たちの健康や教育に悪影響を及ぼしています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが2014年に発表した報告によると、タンザニアでは法律で18歳未満の結婚が認められており、これが児童婚の温床になっています。多くの少女が強制的に結婚させられ、学業を断念せざるを得ない状況です。

タンザニア統計局とUNICEFが2022年に発表した「Demographic and Health Survey and Malaria Indicator Survey (2022 TDHS-MIS)」によると、20歳から24歳のタンザニア人女性のうち、約27%が18歳になる前に結婚しています。この割合は過去の調査からわずかに減少していますが、依然として高い水準です。

TDHS-MIS報告書によると、初等教育を修了しなかった女性の約40%が18歳までに結婚していますが、高等教育を受けた女性ではこの割合はわずか5%という結果があり、貧困層(教育を受けさせる余裕がない)が若年婚を生み、貧困の連鎖を繰り返す構造になっています。

女性器切除(FGM)は大幅減少

タンザニアでは女性器切除(FGM)は法律で禁止されていますが、いまだに一部のコミュニティで慣習として行われています。

FGMの現状とエビデンス

タンザニア統計局とUNICEFが2022年に発表した「Demographic and Health Survey and Malaria Indicator Survey (2022 TDHS-MIS)」によると、15歳から49歳の女性のうち約8%がFGMを経験していると報告されています。この割合は過去の調査から大幅に減少しており、FGM撲滅に向けた進展が見られます。

これは1998年の「児童に対する性的犯罪法(Sexual Offenses Special Provisions Act)」15歳未満の少女にFGMを行った場合、最低5年の懲役または30万シリングの罰金という法律を制定した結果で、下記のように減少しています。

  • 1996年: 15歳から49歳の女性のFGM経験率は18%でした。
  • 2010年: 15%
  • 2015年: 10%
  • 2022年: 8%

FGMは、タンザニア北部の一部の民族グループ、特にマサイ族ソマイ族の間でより多く見られます。これらの地域では、FGMが女性の成人としての通過儀礼と見なされています。

タンザニアでは約600万人の児童が労働している

国際労働機関(ILO)とユニセフ(UNICEF)が2021年に発表した報告書「Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward」によると、タンザニアの5歳から17歳の子どもの約34.5%が児童労働に従事していると推定されています。これは、約600万人という途方もない数です。この報告書は、児童労働の大部分が農業セクター、特にカカオ、コーヒー、茶、そして鉱山での危険な労働に集中していることを指摘しています。

一夫多妻制

タンザニアの法律では、一夫一婦制と一夫多妻制の両方が認められています。1971年の「婚姻法(Marriage Act)」では、結婚する男女が、結婚を「一夫一婦制」または「一夫多妻制」のどちらで行うかを明確に選択することが求められています。

しかし、実際の慣習は法律よりも複雑です。特に、イスラム教徒のコミュニティや伝統的な農村部では、一夫多妻制が広く行われています。

タンザニア統計局とUNICEFが2022年に発表した「Demographic and Health Survey and Malaria Indicator Survey (2022 TDHS-MIS)」によると、15歳から49歳の既婚女性の約27%が、夫に複数の妻がいる家庭に住んでいます。この割合は、貧困層や教育水準が低い女性の間で特に高い傾向にあります。

  • 地域差: 報告書によると、一夫多妻制の割合は地域によって大きく異なります。北部や東部の農村部では、この割合が50%以上に達することもあります。一方、都市部やキリスト教徒が多い地域では、一夫多妻制は比較的まれです。
  • 宗教差: イスラム教徒の女性の約32%が一夫多妻婚であり、キリスト教徒の女性の約11%を大きく上回っています。

女性の地位が低いアフリカ。女性は服装に関する注意も必要

モザンビーク、ナイジェリア、ガーナ、タンザニアのいずれの国でも、文化的な背景から女性は男性に比べて社会的地位が低い傾向にあります。

そのため、女性は男性の所有物や資源として見なされることも少なくありません。この文化的認識から、軽装(スカートや肌を出す服)の女性は、性的な関心を示していると誤解されることがあります。

また、交際や性交渉を断ったことで暴行を受けるということも多々ありますので、十分に留意してください。

このような生活習慣が日本に持ち込まれることについての危機感

日本には、日本の法律や文化があります。もし、これらの国から来た人が、自国の習慣をそのまま日本に持ち込んだら、どうなるでしょうか。

例えば、日本では「民法」で一夫一婦制が定められています。したがって、日本で複数の人と婚姻関係を結ぶことはできません。また、児童労働や強制結婚、女性器切除などは、日本では「児童福祉法」や「刑法」など様々な法律で厳しく罰せられます。

これらの国々の男性が、愛媛県今治市(モザンビーク)、千葉県木更津市(ナイジェリア)、新潟県三条市(ガーナ)、そして山形県長井市(タンザニア)にやってくることになっています。何の対策もせずに彼らを受け入れ、彼らが持つ文化や習慣がそのまま持ち込まれた場合、女性に対する認識の違いから性暴力や虐待が発生し、ホームタウンとなった各都市の治安が乱れる可能性は否定できません。

JICAは、アフリカ人の受け入れに関して「過去の犯罪歴の調査はしない予定」と言っており、不安要素は尽きません。

SNSでは実際に下記のような動画も流れています。いずれも「特別な(永住)ビザ」が発給されるとした誤報(JICAも外務省も否定。ナイジェリア政府も該当の発表を削除)にもとづいた意見ですので、その点は理解した上でごらんください。

日本に来た人たちが、日本の法律や文化に慣れることはとても大切です。日本の社会で安心して暮らしていくために、お互いの文化を尊重しながら、日本のルールを守っていくことが求められます。同時に、私たちも異なる文化を持つ人たちを理解してそれなりの準備をしておかなければなりません。

まとめ: アフリカ4か国の課題から、私たちの役割を考えてみよう

今回、ホームタウンに認定されたアフリカ各国、モザンビーク(愛媛県今治市)、ナイジェリア(千葉県木更津市)、ガーナ(新潟県三条市)、タンザニア(山形県長井市)について、特に女性や子供に対する様々な問題を見てきました。彼らが日本の法律や文化を理解し、お互いが尊重し合える社会を築くために、私たちには何ができるでしょうか。

これらの問題に関心を持つことは、政治参加への第一歩です。国や社会がどのようにこれらの問題に取り組むべきか、自分の考えを持つことが大切です。そして、その考えを政治に反映させるために、選挙で投票したり、政治家として立候補したりすることも一つの方法です。私たちの選択が、より良い社会、そしてより良い世界を作る力になるのです。

補足:センシティブ(気持ちを害したり、傷つけたりする可能性がある、取り扱いに注意が必要)な話題だけれど、こういう習慣のある国ということは理解しておいてほしい

女性器切除(FGM・Female Genital Mutilation)について

アフリカを中心に約2000年前から行われている慣習です。

女性器切除(FGM)の背景にあるとされている考え方は、女性の性行動を管理・抑制することを目的としています。

女性器切除は、男性が女性を支配する社会構造を維持するための手段でもあります。女性の性的快感を奪うことで、女性が男性の性的支配に従うようになり、男性の権力を守ることにつながると考えられています。

多くの社会では、女性は家族や共同体の名誉を守る役割を担うと考えられてきました。女性器切除は、女性の貞節や純潔を保つための手段とされ、これにより結婚相手としてふさわしいと見なされるようになります。女性が結婚まで貞潔を保つことが社会的に高く評価される文化において、女性器切除は性的欲求を減少させ、浮気を防ぐための行為と見なされます。

その方法は、専門的な医療従事者ではない人物がカミソリなどの道具を使って行うことが多く、出血多量や感染症など、女性の身体に深刻な健康被害をもたらします。

世界保健機関(WHO)はFGMを4つの主要なタイプに分類しています。

  • タイプ I (クリトリス切除): クリトリスの一部または全体、および/またはそれを覆う包皮を部分的にまたは完全に切除する行為です。
  • タイプ II (切除): クリトリスと小陰唇の一部または全体を部分的にまたは完全に切除し、大陰唇も切除する場合もあります。
  • タイプ III (インフィビュレーション): 膣口を狭めるために、小陰唇や大陰唇を切り、縫合して覆いを作る行為です。
  • タイプ IV (その他): これまでの分類に含まれない、非医療的な目的で女性器に危害を加える全ての行為です。例としては、突き刺す、焼く、傷つける、擦る、などがあります。

実行される理由と背景

FGMは、特定の文化や伝統に根ざしており、その背景には様々な理由が存在します。

  • 社会的な規範: コミュニティで女の子が女性として、そして結婚できる女性として受け入れられるための通過儀礼と見なされることがあります。
  • 性のコントロール: 女性の性的欲求を抑制し、婚前の純潔と貞淑さを保つためと考えられています。
  • 衛生と美意識: 外性器を「汚い」と見なし、切除することで「清潔」で「美しい」とされる文化的な信念があります。
  • 宗教的な信念: FGMは、特定の宗教的義務であると誤って解釈されている場合があります。しかし、どの主要な宗教もこの行為を義務付けてはいません。

健康への影響

FGMは、その行為中および長期間にわたり、深刻な健康被害を引き起こします。

  • 直後のリスク: 激しい痛み、出血、感染症(敗血症、破傷風)、尿閉、ショック、そして死に至ることもあります。
  • 長期的なリスク: 慢性の感染症、月経困難、排尿困難、性交時の痛み、不妊症、心理的外傷(心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安症)、および出産時の合併症(難産、出血多量、新生児死亡など)が挙げられます。

世界的な状況

ユニセフのデータによると、世界で少なくとも2億3000万人以上の女の子と女性がFGMを経験しています。この行為は主にアフリカ、中東、アジアの一部の国で集中して行われていますが、移民の増加により、欧米諸国でも問題となっています。近年、FGMの廃絶に向けた取り組みが世界中で進められていますが、人口増加のペースを考慮すると、依然として多くの女の子が危険にさらされています

若年婚

若年婚(児童婚)とは、18歳未満の男女が結婚することです。これは国際的に子どもの権利を侵害する行為とされており、特に女児に深刻な影響を及ぼします。

若年婚の背景にあるもの

若年婚には、単一の原因ではなく、貧困、文化、教育、社会的な規範など、複数の要因が複雑に絡み合っています。

  • 貧困: 若年婚の最大の要因は貧困です。経済的に困窮している家庭にとって、娘を結婚させることは、口減らし(家族の負担を減らす)や、結納金・持参金を得る手段となり得ます。また、紛争や災害で生活基盤を失った家庭では、娘を保護するため、あるいは経済的安定を得るために結婚させることもあります。
  • 伝統的・文化的慣習:
    • 名誉の保護: 娘が結婚前に妊娠したり、性暴力の被害に遭ったりした場合、家族の「名誉」を守るために、強制的に結婚させる慣習が存在します。
    • ジェンダー規範: 一部の地域では、女性の役割は「妻」や「母」であるという固定観念が強く、早婚が奨励されることがあります。また、初潮を迎えると結婚適齢期と見なされる慣習も根強く残っています。
  • 教育の欠如: 早期に結婚した子ども、特に女児は学校を中退することが多く、教育を受ける機会を失います。教育がないため、経済的に自立するスキルを身につけられず、貧困から抜け出せないという負の連鎖に陥ります。
  • 法整備と法の執行の不備: 結婚可能年齢に関する法律が不十分であったり、法律があっても文化や慣習が優先され、適切に執行されていなかったりする地域では、若年婚が蔓延しやすくなります。

若年婚は、少女の身体や精神に深刻な悪影響を及ぼすだけでなく、教育や経済的な自立の機会を奪い、貧困の連鎖を助長する人権問題です。

一夫多妻制と若年婚、レイプの関連性

一夫多妻制が、未成年へのレイプの罪を逃れるために利用されるケースは、一部の国やコミュニティで実際に報告されています。これは主に以下のような文脈で発生します。

  • 法的な抜け道: 一部の国や地域の法律では、結婚していれば性行為が合法と見なされることがあります。このため、未成年者への性犯罪者が、罪を免れる目的で被害者の少女と強制的に結婚するケースがあります。
  • 伝統的慣習: 一部のコミュニティでは、未成年者への性暴力が発覚した場合、被害者の家族が加害者と被害者を結婚させることで、「名誉を回復する」という誤った考え方が存在します。これにより、加害者は刑罰を逃れ、被害者はさらに苦しい立場に追い込まれることになります。
  • 権力構造: 一夫多妻制が合法または黙認されている社会では、男性が複数の妻を持つことが許されており、しばしば年齢差が非常に大きい結婚が成立します。この権力構造の中で、男性が未成年の少女を「妻」として迎え入れることで、実質的な性的虐待やレイプを合法的な行為として偽装する危険性があります。

国際的な人権団体や国連機関は、これらの慣習を厳しく非難し、若年婚や強制結婚を廃絶するための活動を行っています。

一夫多妻制がもたらす問題

一夫多妻制は、女性や子どもに様々な悪影響を及ぼしています。

  • ジェンダー不平等: 複数の妻を持つことは、夫の権力を強化し、女性の地位をさらに低下させます。妻たちは、夫からの愛情や経済的な資源を分け合い、しばしば互いに競争する立場に置かれます。
  • 貧困の悪化: 一夫多妻制は、子どもが増えることにつながり、家計を圧迫します。家族全員が十分な食料、教育、医療を受けられなくなるリスクが高まります。
  • 健康リスク: 複数のパートナーとの性的関係は、HIV/エイズの感染拡大を加速させる大きな要因となっています。特に、女性は性交渉における決定権が低いため、自身の安全を守ることが困難です。
  • 女性のエンパワーメントの阻害: 妻たちは、家事や育児といった重労働に追われ、教育や経済的な自立の機会を失います。これにより、彼女たちが貧困から抜け出す道を閉ざしてしまいます。

ナイジェリアの「赤ちゃん工場」

ナイジェリアでは、「赤ちゃん工場」と呼ばれる施設が、非合法な人身売買や児童売買、強制労働の温床となっており、度々摘発されています。

「赤ちゃん工場」とは

「赤ちゃん工場」とは、主に未成年者を含む若い女性を誘拐または強制的に妊娠させ、出産後にその赤ちゃんを売買する非合法な施設です。これらの施設は、病院、孤児院、または単なる民家などを装っていることが多く、性的虐待や暴力、不衛生な環境、強制労働といった極めて劣悪な状況で運営されています。

摘発の背景と現状

ナイジェリア政府の国家人身売買および関連問題防止機関(NAPTIP)や警察は、市民からの通報や情報に基づいて定期的に摘発を行っています。摘発される施設では、複数の妊婦や新生児が発見されることが多く、被害者の女性たちは、経済的な困難や性的暴行の結果として妊娠し、その子どもを売ることを強制されるケースがほとんどです。

摘発のニュースは定期的に報じられており、例えば2013年5月には、警察が南東部の都市ポートハーコートで「赤ちゃん工場」を摘発し、17人の妊娠した少女を保護したという事例がAFP通信や日本経済新聞などで報じられました。

背景にある社会問題

「赤ちゃん工場」の問題は、以下の複数の社会問題と密接に関わっています。

  • 貧困: 貧しい家庭の少女たちが、生活のために簡単に騙され、人身売買の被害者になりやすいです。
  • ジェンダー不平等: 女性が経済的に自立する手段が限られているため、男性の搾取の対象になりやすいです。
  • レイプと性暴力: レイプ被害者が妊娠した場合、家族や社会から見捨てられ、絶望的な状況の中で「赤ちゃん工場」にたどり着いてしまうことがあります。
  • 法の執行の甘さ: 法律は存在するものの、腐敗や法の不徹底な執行により、人身売買組織が自由に活動できる環境が温存されています。

これらの施設は、ナイジェリア政府や国際機関が取り組むべき、最も深刻な人権問題の一つと見なされています。

ナイジェリアで摘発された「赤ちゃん工場」 600$で子供は買い取られるという。

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