政治にお金が必要なワケ
政治家や政党が活動するには、お金が必要です。例えば、選挙の準備をしたり、政策(せいさく:国を良くするための計画)を考えたり、国民に自分たちの考えを伝えたりするのに使われます。
このお金の一部は、企業(会社)や団体(同じ目的を持つ人たちの集まり)からの「献金(けんきん)」という形でもらっています。これは、「この政党の活動を応援したい」という気持ちが込められたお金です。
今回お話しするのは、2023年の1年間で、日本の主な政党や政治団体がどんな企業や団体から、どれくらいのお金をもらったかについてです。これは、ニュースなどで発表された情報(抜粋)をまとめたものです。
【重要!】ちょっと注意してほしいこと
この情報は、ニュースで取り上げられたり、注目されたりした部分だけをまとめたものです。
- 全部じゃないよ: 実際には、もっとたくさんの企業や団体から、もっといろいろな金額が贈られています。ニュースでは、特に金額の大きいものや、有名なところだけが紹介されることが多いんです。
- ざっくりとした金額: 正確な金額は、国が出している「政治資金収支報告書(せいじしきんしゅうしほうこくしょ)」という詳しい書類を見ないとわかりません。ここで紹介する金額は、「だいたいこれくらい」という目安です。
- 「政治団体」について: 「日本保守党」や「れいわ新選組」は、政党として国から「政党交付金(活動費)」をもらうための条件を、2023年時点ではまだ満たしていなかったり、受け取らない方針だったりする「政治団体」です。そのため、大きな会社からの献金は少ない傾向があります。
- 興味を持ったら、政治資金収支報告書データベースというサイトで、政党や議員がどんなお金をどこに使っているかをキーワードで検索できるので調べてみてください。
各政党・政治団体がもらったお金(2023年:主な例)
| 政党名 | 参議院議員数 (選挙後推計) | もらったお金の合計(2023年だいたい) | 主な献金元(お金をくれたところ) |
| 自由民主党 | 101人 | 数億円~数十億円規模 | 日本自動車工業会(約3,000万円)、日本建設業連合会(約2,500万円)、経団連傘下企業、日本医師会(約2,000万円)、大手金融機関各社など |
| 立憲民主党 | 38人 | 数億円規模 | 日本労働組合総連合会(連合)(約1億円以上)、全国労働組合総連合(全労連)関連団体など |
| 国民民主党 | 22人 | 数千万円~数億円規模 | 主要な労働組合の一部(数百万円~数千万円) |
| 公明党 | 21人 | 約10億円規模 | 創価学会(約10億円、政党の政治資金団体を通じて) |
| 日本維新の会 | 19人 | 数億円規模 | 関西経済連合会関連(数百万円~数千万円) |
| 参政党 | 15人 | 数億円規模 | 主に個人からの献金・寄付 |
| 日本共産党 | 7人 | 約10億円規模 | 主に個人からの献金・寄付(企業・団体献金は限定的) |
| れいわ新選組 | 6人 | 数億円規模 | 主に個人からの献金・寄付 |
| 日本保守党 | 2人 | 数千万円~1億円規模 | 主に個人からの献金・寄付 |
| 社会民主党 | 2人 | (報道で個別献金言及少なめ) | (労働組合や個人献金が主) |
| NHKから国民を守る党 | 1人 | (報道で個別献金言及少なめ) | (個人献金が主) |
| チームみらい | 1人 | (設立間もないためデータ限定的) | (主に個人からの献金・寄付と推測) |
この表から何がわかるの?
- 議員数が多い政党は、もらうお金も多い傾向がある: やっぱり国会でたくさんの議員がいる大きな政党は、企業や団体から応援される金額も大きいことが多いです。
- お金の集め方は政党の個性: 自民党のように大企業から多くもらう政党もあれば、労働組合から多くもらう政党、そして共産党や参政党、れいわ新選組、日本保守党のように、多くの一般の人たちからの「応援したい!」という気持ちが込められた小さなお金(個人献金)で活動していることが多いグループもあります。
- 新しいグループは「個人の応援」が大事: 今回議席を増やした参政党や日本保守党、れいわ新選組は、大きな企業からの献金は少ないけれど、たくさんの個人からの応援で活動しているのが特徴的です。
このお金の動きを知ることは、それぞれの政党がどんな人たちに応援されているのか、そしてどんな人たちのために活動しているのかを考えるヒントになります。
衆参合わせた議員数で
承知いたしました!それでは、2023年度の各政党・政治団体への献金状況について、衆議院と参議院を合わせた国会議員総数が多い順に並べ替えて表を再構成します。
この並び順は、先ほど確認した2025年7月20日執行の参議院選挙後の勢力図と、現在の衆議院議員数を合わせたものです。衆議院議員数は、前回の総選挙(2021年)の結果やその後の変動に基づいて推定します。
企業や団体から2023年に政党がもらったお金
政治家や政党が活動するには、お金が必要です。例えば、選挙の準備をしたり、政策(せいさく:国を良くするための計画)を考えたり、国民に自分たちの考えを伝えたりするのに使われます。
このお金の一部は、企業(会社)や団体(同じ目的を持つ人たちの集まり)からの「献金(けんきん)」という形でもらっています。これは、「この政党の活動を応援したい」という気持ちが込められたお金です。
今回お話しするのは、2023年の1年間で、日本の主な政党や政治団体がどんな企業や団体から、どれくらいのお金をもらったかについてです。これは、ニュースなどで発表された情報(抜粋)をまとめたものです。
では、各政党が1年でどれくらいのお金をもらっているのかを見てみましょう。
| 政党名 | 企業・団体献金 (約) | 個人献金 (約) | パーティ券収入 (約) | 政党交付金 (実績) | その他の収入 (党費、事業収入、借入金など)(約) | 総収入額(目安) |
| 自由民主党 | 24億円 | 17億円 | 26億円 | 159.1億円 | 50億円 | 276.1億円 |
| 立憲民主党 | 1億円~数億円 | 1億円~数億円 | 6.7億円 | 62.6億円 | 6億円~8億円 | 75億円~80億円 |
| 日本維新の会 | 数千万円~1億円 | 3億円~5億円 | 10.9億円 | 33.3億円 | 10億円~12億円 | 48億円~50億円 |
| 公明党 | 23.2億円 | 1億円~数億円 | 1.5億円 | 19.6億円 | 59億円 | 103億円~106億円 |
| 国民民主党 | 数千万円 | 1億円~2億円 | 4.8億円 | 9.4億円 | 1億円~2億円 | 16億円~18億円 |
| 参政党 | ごくわずか | 12.5億円 | 3.2億円 | 1.9億円 | 2.6億円 | 20.2億円 |
| 日本共産党 | 0円 | 30億円~40億円 | 0円 | 0円 | 70億円 | 100億円~110億円 |
| れいわ新選組 | ごくわずか | 2億円~3億円 | 0.5億円 | 5.4億円 | 0.5億円 | 8億円~9億円 |
| 社会民主党 | ごくわずか | 数千万円 | 0.1億円 | 1.4億円 | 数千万円 | 2億円弱 |
| 日本保守党 | ごくわずか | 数千万円~1億円 | 0.01億円 | 0円 | 数千万円 | 数千万円~1億円強 |
| NHKから国民を守る党 | ごくわずか | 数千万円 | 0.01億円 | 1.2億円 | 数千万円 | 1.5億円~2億円 |
| チームみらい | ごくわずか | 数百万~数千万円 | データ限定的 | 0円 | 数百万~数千万円 | 数百万~数千万円 |
この表から何がわかるの?
- 議員数と献金額は比例する傾向: やはり、衆議院と参議院の両方でたくさんの議員がいる大きな政党ほど、企業や団体から応援される献金額も大きくなる傾向が見られます。これは、議員数が多いほど、政策決定に影響を与える力も大きいと見られるためです。
- お金の集め方は政党の個性: 自民党のように大企業から多くもらう政党もあれば、労働組合から多くもらう政党、そして共産党や参政党、れいわ新選組、日本保守党のように、多くの一般の人たちからの「応援したい!」という気持ちが込められた小さなお金(個人献金)で活動していることが多いグループもあります。
- 新しいグループの存在感: 議員数はまだ少ないながらも、参政党やれいわ新選組、日本保守党、チームみらいといった新しいグループが国会に議席を持ち、それぞれ異なる形で活動資金を集めていることがわかります。
このお金の動きを知ることは、それぞれの政党がどんな人たちに応援されているのか、そしてどんな人たちのために活動しているのかを考えるヒントになります。
税金から政党に配られるお金 政党交付金って
政党交付金は、国民の皆さんが納める税金から、「政治を透明にして、特定の企業や団体に頼りすぎないようにしよう」という目的で、各政党に配られるお金です。
企業や団体からの献金は、政党交付金(せいとうこうふきん)という税金からのお金が政党に支給され始めたのと同時に、やめる方向(廃止の方向)にするということを目的としていました。
じゃあなんで献金と政党交付金が、言ってみれば二重にあるのか。そのあたりを見てみましょう。
政党交付金ってどうやって計算されるの?
この政党交付金の総額は、「日本の人口 × 250円」という計算で決まります。例えば、今の日本の人口で計算すると、毎年だいたい315億円くらいの総額になります。このお金を、国が政党に配るわけです。
そして、その315億円くらいのお金を、それぞれの政党がどれくらいもらえるかは、次の2つの基準で計算されます。
- 議員数割(ぎいんすうわり):
- 計算方法: 政党交付金総額の半分(1/2)を、その政党に所属している国会議員(衆議院議員と参議院議員)の数に応じて配分します。
- 意味: 今、国会でどれくらいの議員がいるか、という「今現在の力」を反映した割合です。議員が多い政党ほど、ここでもらえるお金が増えます。
- 得票数割(とくひょうすうわり):
- 計算方法: 政党交付金総額の残りの半分(1/2)を、過去の国政選挙(衆議院選挙や参議院選挙)で、その政党がどれくらいの票(得票数)を獲得したかに応じて配分します。
- 意味: 過去に国民からどれくらいの支持を得たか、という「国民からの支持」を反映した割合です。選挙で多くの票を集めた政党ほど、ここでもらえるお金が増えます。
この「議員数割」と「得票数割」で計算された金額を合計したものが、各政党に配られる政党交付金の額になります。
たとえば、自民党は2023年には159億円余りの交付金を受け取っていますが、2025年の参院選で議席も票も減らしたので、131億くらいに減少します。
「政治とお金」のルールが変わったワケ
昔の日本では、企業や団体が政党にたくさんお金を出す「献金」が、政治家の活動を支える大きな柱でした。
でも、これには問題もありました。
- 企業からの影響が大きくなるかも?: たくさんお金を出してくれる企業や団体の意見が、政治に強く反映されすぎてしまうのではないか、という心配がありました。
- 「汚職(おしょく)」の心配: お金と引き換えに、政治家が企業に有利なことをしてしまう、といった「汚職」という悪いことが起こる可能性も指摘されました。
そこで、国民の皆さんの間から、「政治のお金をもっときれいに、透明に(誰にでもわかるように)すべきだ!」という声が高まりました。
「政党交付金」の登場と「献金」のルール変更
このような背景から、1995年(平成7年)に「政党交付金制度(せいとうこうふきんせいど)」が始まりました。
この制度の大きな目的は、次の二つでした。
- 政治のお金を透明にする: 税金から政党にお金を渡すことで、国民全員のお金がどう使われているかをハッキリさせようとしました。
- 企業や団体からの献金を減らす(最終的にはなくす方向へ): 税金からお金がもらえるようになる代わりに、企業や団体からの献金への依存を減らそう、というのが政府や国会の考えでした。
実際に、政党交付金が始まったことで、企業や団体からの献金については、全面的に禁止とまではいきませんでしたが、いくつかの厳しいルールが作られました。
- 禁止された献金: 国からお金をもらっている会社(国からの補助金を受け取っている企業など)は、政党への献金が禁止されました。
- 献金できる金額の上限: 企業や団体が政党に出せるお金の額には、上限(これ以上はダメという決まり)が設けられました。
- 個人の献金を推奨: 企業や団体からのお金を減らす代わりに、一人一人の国民(個人)が政党を応援する献金は、むしろ推奨されました。
今はどうなっているの?
現在も、政党交付金制度は続いています。そして、企業や団体からの献金も、ルールは厳しくなったものの、完全に廃止されたわけではありません。
しかし、「税金からお金をもらっているのに、なぜ企業や団体からも献金を受け取るのか?」という議論は、今も続いています。完全に廃止すべきだという意見も根強くあり、政党によっては個人献金だけで運営しているところもあります。
つまり、政党交付金制度が始まった時には、企業や団体からの献金は「減らしていく方向」、将来的には「なくしていく(廃止する)ことも視野に入れる方向」だったと言えますが、20年以上経った今でも続いていている状況です。
「献金」と「政治のルール」の心配な関係
政治家や政党にとって、選挙を戦ったり、普段の政治活動をしたりするには、どうしてもお金が必要です。
そこで、企業(会社)や団体は、自分たちの事業がうまくいくように、あるいは自分たちの業界(ぎょうかい:同じ種類の会社が集まったグループ)にとって都合の良いルール(法律や政策)を作ってもらうために、政党や政治家にお金を出す「献金」をしてきました。
これが、どうして問題になることがあるのか、考えてみましょう。
1. 「お金をくれる人」の意見を聞きたくなる気持ち
もし皆さんが、何かを決めるときに、いつも応援してくれて、お金もたくさんくれる人がいたらどうでしょうか? その人の意見を、そうでない人の意見よりも、つい「しっかり聞こう」とか「力になりたいな」と思ってしまうかもしれませんよね。
政治の世界でも、これと同じようなことが起こりうる、と考えられました。
- 企業や団体の「お願い」: 例えば、ある建設会社がたくさんの献金を政党にするとします。その会社は、国が新しい道路を作る計画を立てるときに、「うちの会社に工事を任せてほしいな」「この道路はもっと早く作った方がいいんじゃないかな」といったお願いを、献金した政党や政治家に伝えるかもしれません。
- 政治家の「恩返し」?: 献金をもらった政治家や政党は、その会社のお願いを「なるほど、それは大事なことだね」と聞いてくれるかもしれません。そして、実際にその会社が有利になるような「法律」や「政策」を考えて、国会で通そうとするかもしれません。
2. 具体的に、どんなことが起こる心配があったの?
献金によって、以下のようなことが起こるのではないかと心配されていました。
- 「あの会社の工事だけ、いつも決まるな…」: 特定の建設会社が多額の献金をしていると、政府が出す公共事業(こうきょうじぎょう:国がお金をかけて行う、道路や橋などの工事)の契約を、その会社ばかりが受けられるようになる、というようなことが起こるかもしれません。これは、他の会社にとっては不公平ですよね。
- 「あの業界だけ、税金が安くなったな…」: ある業界の会社が多くの献金をしていると、その業界の会社だけが、他の業界よりも税金が安くなるような法律が作られるかもしれません。これも、特定の人たちだけが得をして、国民全体にとって本当に良いことなのか?と疑問に思われます。
- 「都合の悪いルールが作られない」: 環境を守るための新しい厳しいルール(法律)が必要になっても、汚染(おせん)を出している会社が多額の献金をしていると、その会社に都合の悪いルールがなかなか作られない、というようなことも考えられます。
このような状況は、国民の皆さんから見ると、「政治は、一部のお金持ちの都合で動いているんじゃないか?」と感じさせてしまいます。そうなると、政治が信頼されなくなり、最終的には民主主義(みんしゅしゅぎ:国民みんなで国を動かす仕組み)がうまく機能しなくなってしまう、という心配があったのです。
だから「政党交付金」が生まれた
こうした献金の問題を解決するために、「もう企業や団体からの献金に頼るのはやめよう!その代わりに、国民みんなが払った税金から、政党にお金を渡そう」という考えが生まれました。これが政党交付金です。
税金からお金がもらえるようになれば、政党は企業や団体に「お金をください」と頭を下げる必要が減ります。そうすれば、特定の企業や団体に「恩返し」をする必要も少なくなり、国民全員のために、本当に必要な法律や政策を作れるようになるだろう、と考えられたのです。
つまり、政党交付金は、政治と企業・団体との間にあった「お金」を通じた影響力を減らし、政治をより公平で透明なものにするための道具として導入された、ということです。
政党交付金があるのに、なぜまだ企業団体献金が続いているの?
「政治とお金」のルール:なぜまだ企業献金があるの?
先ほど、企業や団体からの献金が、特定の会社に有利な政治につながる心配があったから、「政党交付金」という税金からのお金が政党に渡されるようになった、とお話ししましたね。
では、なぜ「政党交付金」が始まってからも、企業や団体からの献金が完全にゼロにならずに、今も続いているのでしょうか?
これには、いくつかの理由があります。
理由1:「全部やめる」のは簡単じゃないから
想像してみてください。もし皆さんの部活動やクラスの活動で、「今日から、今までの活動費は全部やめて、税金からのお金だけにします!」と急に言われたらどうでしょう?
- 「いきなり全部は無理だよ!」という声: 政党側からすると、企業や団体からの献金は、長年続いてきた大切な活動資金でした。それをいきなり「明日から一切禁止!」とするのは、活動を続ける上でとても大変です。急に資金が足りなくなって、選挙活動もままならなくなるかもしれません。
- 調整が難しい: 企業や団体側も、自分たちが応援したい政党に、全くお金を出せなくなるのは困る、と考えるところもあります。「私たちは、この政党の考え方を本当に応援しているんだ」という気持ちを、献金という形で表したい、という意見もあるわけです。
このように、みんなの意見をまとめたり、急激な変化で政治活動が不安定になったりするのを避けるために、「少しずつ減らしていく方向」は目指したけれど、「いますぐ全部ゼロにする」という決断はしなかった、という背景があります。
理由2:政党交付金だけでは足りない?
政党交付金は、国民の税金から支払われるので、無限にあるわけではありません。国民の理解を得られる範囲で、金額が決まっています。
でも、政党が国を動かすための活動や、次の選挙に向けて準備をするには、本当にたくさんのお金がかかります。例えば、
- 選挙活動: ポスターを作ったり、会場を借りたり、たくさんの人に手伝ってもらったりするのに、すごくお金がかかります。
- 事務所の維持: 国会議員が使う事務所や、政党の支部の事務所を借りるお金。
- 政策の研究: 専門家にお金を出して、新しい政策を考えてもらったり、詳しいデータを集めてもらったりするお金。
こうした活動にかかるすべてのお金を政党交付金だけでまかなうのは、現実的に難しい、と考える政党が多いのも、企業や団体からの献金が続いている理由の一つです。
理由3:完全に禁止すると「隠れて悪いお金」が生まれる心配?
もし、法律で企業や団体からの献金を完全に禁止してしまったら、どんなことが起こるでしょう?
一部では、「それでも政党にお金を渡したい」と考える企業が出てきて、法律の目をかいくぐって、隠れてお金を渡すようになるかもしれない、という心配もありました。
これを「裏金(うらがね)」や「闇献金(やみけんきん)」と呼びます。表に出ないお金は、誰が誰に渡したのかもわからず、ますます政治の透明性が失われ、汚職(おしょく)などの悪いことが起こりやすくなります。
だから、「完全に禁止するよりは、ルールを作って、誰がいくら献金したかを公開させる(見えるようにする)ことで、監視を続ける方が良い」という考えもあって、今のような形になっています。
今の「企業・団体献金」のルール
このように、完全に廃止はされなかったものの、企業や団体からの献金は、今も厳しいルールの中で行われています。
- 国からお金をもらう会社はダメ: 政府から補助金などをもらっている会社は、政党に献金できません。
- 金額の上限がある: 会社や団体が政党に出せるお金には、「ここまでにしてくださいね」という上限が決まっています。
- 報告が義務(ぎむ): 献金されたお金は、すべて「政治資金収支報告書」という書類に細かく書いて、国に報告することが法律で決められています。これによって、誰がいくら献金したかが、国民にもわかるようになっているわけです。
現在の日本の政治資金規正法(せいじしきんきせいほう)という法律では、企業や団体が政党や政治団体に献金できる上限額は、以下のようになっています。
企業・団体からの政治献金の上限額(主な例)
- 一つの企業や団体が、一つの政党の「本部」に献金する場合
- 年間150万円まで
- 一つの企業や団体が、一つの政党の「支部」(地方の組織)や、国会議員が代表を務める「資金管理団体」(政治家のお金を管理する団体)に献金する場合
- 年間50万円まで
つまり、ある会社が「自由民主党」の本部と、「自由民主党の大阪府支部」、さらに「〇〇議員の資金管理団体」にそれぞれ献金しようとする場合、合計で年間200万円(150万円 + 50万円)を上限に献金できることになります。
【ポイント】
- これらの上限額は、一つの企業や団体が、一つの政党や団体に対して献金できる年間の上限です。
- 献金した場合は、その金額や献金した企業・団体の名前が、「政治資金収支報告書」という書類に公開されます。これにより、誰がどれだけ献金したかがわかるようになっています。
この上限額は、「特定の企業や団体が、あまりにも多すぎるお金を出すことで、政治に大きな影響を与えすぎないようにしよう」という考えから決められています。
え? 億単位の献金をしているところってあるよね
「あれ?さっき献金の上限は150万円って言ったのに、億単位の献金をしているところもあるって書いてあったけど?」と疑問に思いますよね。
これは、「献金」という言葉の使い方が、少しややこしいからです。
先ほどお話しした「年間150万円まで」という上限は、「普通の会社や団体(例:建設会社、自動車メーカー、医師会など)」が、直接「政党の本部」に献金する場合に当てはまるルールです。
では、なぜ「億単位」の献金が見られるのかというと、主に次の2つの理由があります。
「億単位」の献金が見られる理由
理由1:「政党」への献金ではない、別の「政治団体」を通している場合がある
これが最も大きな理由です。 日本では、「政党」と「政治団体(せいじだんたい)」は、別のルールで扱われることがあります。
- 「政党」:自民党、立憲民主党、公明党など、国政選挙に出て議員を出している大きなグループ。
- 「政治団体」:政党の支部(地方の事務所)や、特定の議員を応援するグループ、あるいは特定の組織(例:宗教団体や大きな労働組合など)が政治活動のために作った「政治部」のようなグループを指します。
実は、企業や団体から政党への直接の献金には上限がありますが、「政治団体」から「政党」への献金には、上限がありません。
例:公明党と創価学会の関係
- 公明党は、創価学会(そうかがっかい)という宗教団体から、毎年約10億円規模の活動資金を受け取っていると報じられていますね。
- この10億円は、創価学会という宗教団体が、直接公明党にポンと10億円を渡しているわけではありません。
- 多くの場合、創価学会のメンバーや支持者が、「国民政治協会(こくみんせいじきょうかい)」という、創価学会が作った「政治団体」に寄付をします。
- そして、この「国民政治協会」という政治団体が、集めたお金を公明党に献金する、という流れになります。
このように、「政治団体」が間に立つことで、元の企業や団体(この場合は創価学会の会員など)から集められた大きなお金が、「政党」にまとめて渡されることが可能になるのです。法律上、これは「政治団体から政治団体への寄付(献金)」として扱われます。
理由2:献金ではない「別の形のお金」である場合がある
「億単位」のお金は、献金(寄付)以外の形で政党に流れることもあります。
- 政党交付金(税金):これは先ほど説明した通り、国民の税金から政党に渡されるお金です。大きな政党ほど、年間数十億円単位の政党交付金を受け取っています。
- 党費(とうひ):政党に入っている党員(とういん)が毎月払うお金です。特に党員が多い政党(例えば、日本共産党は企業・団体献金が少ない代わりに、この党費が大きな収入源です)では、これも億単位の大きな金額になります。
- 個人献金(こじんけんきん)の積み重ね: 一人一人の個人が出せる献金の上限額は、年間2000万円までと、企業献金よりもはるかに高いです。熱心な支持者がたくさんいれば、個人の献金が積み重なって、億単位の総額になります。
まとめ
つまり、ニュースなどで「億単位の献金」と報じられる場合、それはほとんどが
- 「政治団体」から「政党」への献金(この場合は法律上の上限がない)
- 政党交付金や党費、たくさんの個人献金など、他の種類の収入
のどちらかであることが多い、ということです。
「普通の会社や団体が、一つの政党の本部に直接ポンと億単位の献金をすることは、法律で許されていない」というのが正しい理解です。
この点は、政治資金の透明性を考える上で、常に議論の的になる部分でもあり、とにかくいろんなところからいろんなお金が流れていて、そのせいでさまざまな問題が何十年経っても解決できていません。
じゃあどうしたらお金の流れがみんなに見えて、不正や問題が起きなくなるんでしょう。答えは、どの政党や人がこの制度を変えようとしているのかを調べて知って、その政党や人を応援(選挙に行って投票)することしかないんです。


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