- 不登校をめぐる背景と現状
- 過去の不登校児童生徒数の推移(1991年度から2023年度)
- なぜ不登校になってしまうのか:その主な原因トップ10
- 不登校はなぜ年々増加しているのか、その真の原因を探っていこう
- 各政党の不登校に対する政策
- まとめ:不登校という問いかけ、未来への一歩はどこから始めるべきか
- 映像で見る「不登校」問題
- 【#学校に行けない】増える不登校…子どもや家族の声に耳を傾けました。(テレビ大阪)
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不登校をめぐる背景と現状
『学校休んだほうがいいよチェックリスト』を使ってみよう。
本文の前に。「学校に行きたくない」と言ったり、そうでなくとも宿題を忘れることが増えたとか朝起きれなくなったとか、些細なことでも子どもの日頃の言動が少し変わってきたと感じるお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、学校の先生は、子どもの日常のしぐさや態度についてLineで20の質問に答えることでチェックできる『学校休んだほうがいいよチェックリスト』で、学校を休ませたほうがいいかどうかチェックしてみてください。
子どもを休ませたら、少しずつ原因をさぐってみましょう。子どもは親に心配をかけたくないと思っています。自分が悪いと思い込んでいます。お子さんを追い詰めず、ゆっくり時間をかけて子どもと話し合ってみてください。
不登校の実態:過去50年で何が変わったのか
文部科学省の調査によると、学校に長期間登校しない児童生徒の数は近年、非常に大きな広がりを見せています。令和5年度(2023年度)の調査結果では、全国の小・中学校における不登校児童生徒の数は346,482人に達し、過去最多を更新しました 。これは、前年度から47,434人、15.9%も増加した数値です 。このうち、小学生は130,370人、中学生は216,112人でした。特に小学生の不登校児童は、この10年間で約5倍に増えています 。
この増加をより具体的に見てみると、全児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は、小学生で47人に1人、中学生で14人に1人にあたります 。不登校の問題は小・中学校だけにとどまらず、高等学校でも生徒数は3年連続で増加し、68,770人となっています 。
この現象が一時的なものではなく、長期的な傾向であることを理解するためには、過去のデータに目を向ける必要があります。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校の数は特に1990年代後半から増加傾向が顕著になりました。そして、2012年度(平成24年度)以降は、11年連続で増加の一途をたどっています 。この長期的な推移は、不登校が個人の問題や家庭環境の問題だけではなく、より根深い社会全体の構造的な変化と密接に関わっていることを示唆しています。
戦後から現在までの不登校を見ていこう
1950年代は40〜100万人が不登校。でも生活苦や家の手伝いが主な原因でした。
1950年前後には、長期欠席児童生徒が40〜100万人と多かった時期がありました。(「登校拒否・不登校問題の歴史と理論―学校に行かない・行けない子どもの言説史―」東京電機大学総合文化研究 第14号(2016年)前島康男氏) これは、戦後の混乱期で、多くの家庭が貧困状態にあったことが主な原因です。
そのため、子どもたちは学校に通う余裕がなく、家業を手伝ったり、働きに出たりせざるを得ませんでした。当時の「長期欠席」には、現在の「不登校」のような心理的な要因だけでなく、生活苦による就労や手伝いが大きく影響していました。また、当時は結核が大流行しており、学校でも集団感染のリスクがあり、長期にわたる病気療養のために学校を休まざるを得ない子どもが多くいました。その中でも現在の不登校に近い「学校嫌い」とされた長期欠席者は、約7万7千人程度はいたとされています。
1960年代の「登校拒否」や「学校恐怖症」による不登校は約20万人
1960年代には、不登校は「登校拒否」や「学校恐怖症」などと呼ばれ、精神的な問題として捉えられていました。主に本人要因(分離不安、精神病など)や家庭要因(親の過保護、精神的な不安定さなど)が原因と考えられていました。学校側が不登校の原因であるという認識はほとんどなく、社会的な問題としても認識されていませんでした。当時の長期欠席者(年間50日以上の欠席者)は、約50万人と推定されていて、そのうちの41%(約20万5千人)が「登校拒否」や「学校恐怖症」と推定されています。
1970年代は約5万人。景気がいいと不登校も少なくなった。
1970年代半ばには、不登校は約5万人に急減しました。これは、高度経済成長による社会経済状況の変化が一因とされています。
1980年代。景気が悪くなるにつれて9万人まで増加
1980年代の不登校は、1970年代に急減した長期欠席者数が再び増加に転じた時期であり、その要因も変化し始めました。1980年代前半、長期欠席者数は全国で約3万~5万人でした。これは1970年代半ばの過去最低水準(約5万人)と同程度ですが、その後増加に転じ、1980年代末にかけて約9万人に達しました。当時、不登校の主な要因として挙げられたのは、
「無気力」・「無関心」: 受験競争や管理的な教育への反発から、学校生活に意味を見出せない子どもが増加しました。これまでの「学校ぎらい」のように学校に恐怖を抱くのではなく、単に意欲が湧かないという新しいタイプの不登校が顕在化しました。
家庭環境: 依然として「親の過保護」や「家庭教育の不十分さ」が原因として強く指摘されました。特に、核家族化や共働き家庭の増加に伴い、家庭内のコミュニケーション不足が不登校につながると考えられるようになりました。
学校要因: 1980年代は校内暴力が問題化していた時期でもあり、学校での人間関係や教員とのトラブルが不登校のきっかけとなるケースが増えました。また、詰め込み式の教育や画一的な指導方法も、不登校の一因として指摘されるようになりました。
この時期は、不登校が個人の問題だけでなく、社会や教育システムの問題として認識され始めた過渡期と言えます。
1990年代 11万人超え。不登校の定義が変更されたけど確実に増えている
1990年代は、不登校が社会問題として本格的に認識され、長期欠席者数が再び急増した時代です。この時期に不登校の定義が変更されたことも、統計上の増加に影響を与えました。
1991年度に文部省(当時)が長期欠席の定義を「年間50日以上」から「30日以上」に緩和したことで、統計上の不登校児童生徒数は急増しました。
- 1991年度: 小・中学校の長期欠席者は約6万7,000人でした。
- 1990年代後半: その後も増加傾向は続き、2001年にはピークに達し、11万人を超えました。
この増加の背景には、以下のような複合的な要因が挙げられます。
- いじめの顕在化: 1980年代から問題となっていたいじめが、社会的に大きく取り上げられるようになり、不登校の直接的な原因として認識されるようになりました。
- 管理教育への反発: 詰め込み教育や画一的な指導方針に対する疑問が強まり、これに適合できない子どもたちの不登校が増加しました。学校に対する「無気力」や「無関心」といった要因が、より深刻化しました。
- 多様な生き方の出現: バブル経済崩壊後の社会変化に伴い、学校以外の学びの場(フリースクールなど)の存在が少しずつ認知され始めました。これは不登校が「病気」ではなく、「教育問題」として捉えられるようになった転換点でもあります。
- 家庭・社会の変化: 核家族化や地域社会とのつながりの希薄化が進み、子どもたちが抱えるストレスや孤立感が不登校につながるケースも増加しました。
1990年代は、それまでの「個人の問題」としての不登校から、「学校・社会全体の問題」としての不登校へと認識が大きく変化した重要な時期でした。
2000年代はさらに増加。13万人を超える。
2000年代は、不登校児童生徒数がさらに増加し、社会全体でその対応が本格的に議論され始めた時期です。
小・中学校の不登校児童生徒数は増加傾向が続き、2001年度には11万人を超えました。その後は若干の変動はあったものの、概ね12万人から13万人台で推移しました。
この時代の不登校の主な要因は、以下の通りです。
- 無気力・無関心: 1980年代から指摘されていた「無気力・無関心」が引き続き不登校の大きな要因でした。競争社会や情報過多の環境で、学校生活に意義を見出せない子どもが増加しました。
- いじめ・人間関係: 1990年代から問題となっていたいじめや友人関係のトラブルが、不登校の最も直接的な原因として認識されるようになりました。教員との関係性の悪化も要因の一つでした。
- 家庭要因: 家庭内のコミュニケーション不足や親子関係の問題、親の精神的な不安定さなどが、子どもの不登校に影響を与えるケースが増加しました。
- 発達障がいへの理解: 2000年代に入り、発達障がい(ADHD、ASDなど)に関する社会的な認識が向上し、これらが不登校の一因として指摘されるようになりました。これにより、不登校が「個人の怠け」ではなく、多様な特性を持つ子どもたちが直面する問題として捉えられ始めました。
1990年代が不登校の定義変更により統計上の人数が急増した時期である一方、2000年代は、その増加傾向が定着し、不登校が「個人の問題」から「社会全体の問題」へと完全に認識が移行しました。
また、対応面でも大きな変化がありました。文部科学省は「不登校は誰にでも起こりうる」という認識を示し、学校復帰だけを目標としない多様な支援の重要性を強調しました。公的な支援体制(教育支援センターなど)の整備が進み、民間でもフリースクールや家庭学習サービスが広がりを見せました。
2010年代には16万人超えの過去最多に。
2010年代は、不登校児童生徒数がさらに増加し、過去最多を更新しました。不登校は多様な背景を持つ問題として広く認識されるようになり、個々の児童生徒の状況に応じた支援の重要性が強調されました。
小・中学校の不登校児童生徒数は増加傾向が続き、2019年度には16万人を超え、過去最多を記録しました。
この時代の主な不登校の要因は、以下の通りです。
- いじめ・友人関係: 2000年代から引き続き、いじめや友人関係のトラブルが不登校の主な原因でした。特にSNSの普及に伴い、インターネット上でのいじめが新たな要因として加わりました。
- 発達障がいへの理解の深化: 2006年の「特別支援教育」制度の導入後、発達障がいへの理解が社会全体で深まりました。これにより、これまで「無気力」とされていたケースの中に、発達障がいが背景にあると診断される子どもたちが増加しました。これは、不登校を個人の問題としてではなく、適切な支援が必要な状況として捉えるきっかけとなりました。
- 家庭・生活環境: 家庭内の不和や貧困、虐待など、複雑な家庭環境が不登校の要因として改めて注目されました。また、子どもの夜型化やゲーム依存といった生活習慣の乱れも、不登校の一因として指摘されるようになりました。
- 「無気力」: 依然として不登校の大きな要因でした。学校生活や進路に対する漠然とした不安、自己肯定感の低さなどが背景にあると考えられました。
2010年代は、1990年代の定義変更や2000年代の増加傾向を経て、不登校が「誰にでも起こりうる、社会全体の課題」として完全に定着した時代です。また、この時期は不登校児童生徒に対する支援が、学校復帰を唯一の目標とするのではなく、多様な学びの選択肢を提示する方向へと大きく舵を切りました。フリースクールやICTを活用したオンライン学習などが公的に認められ、個々のニーズに応じた教育のあり方が模索され始めました。
2020年代。過去最多を更新しつづけている。2023年には34万人が不登校に。
2020年代、日本の不登校児童生徒数は過去最多を更新し続けており、特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが大きな影響を与えました。
文部科学省の調査によると、2020年度には不登校の小・中学生が約19万6,000人と過去最多を記録しました。その後も増加傾向は止まらず、2023年度には34万人を超え、11年連続で過去最多を更新しています。
この急増の背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 新型コロナウイルス感染症の影響: パンデミックによる生活様式の変化(オンライン授業、学校行事の制限など)が、子どもたちの生活リズムを乱し、学校への適応を難しくしました。感染への不安も不登校の一因となりました。
- 「無気力・不安」の増加: 不登校の理由として最も多いのが、「無気力・不安」です。これは、学校生活や将来に対する漠然とした不安、自己肯定感の低さなどが複雑に絡み合っていると考えられます。
- 家庭や教職員との関係: 家庭内の不和や、教職員との関係性の問題も引き続き不登校の要因となっています。
- いじめや友人関係: 依然として、いじめや友人関係のトラブルは不登校の重要な原因です。特にSNSの普及により、いじめがオンライン上で行われるケースも増えています。
- 発達障がいへの理解: 2010年代から続く発達障がいへの理解の深化は、不登校が個人の問題ではなく、多様な特性を持つ子どもたちへの適切な支援の必要性を示すものとして、より重要視されるようになりました。
2020年代の不登校は、過去のどの時代とも異なる特徴を持っています。
- 人数の大幅な増加: 1990年代の定義変更によって増加した不登校数は、2000年代、2010年代を経て、2020年代にはさらに加速的に増加しています。
- 「無気力・不安」の深刻化: 1980年代に現れた「無気力」という要因は、現代の複雑な社会環境と相まってより深刻化しています。
- 社会全体の課題としての認識: 不登校はもはや一部の子どもが抱える特殊な問題ではなく、誰もが直面しうる社会全体の課題として認識されています。このため、学校だけでなく、教育支援センター、フリースクール、NPOなどが連携して多様な支援を提供することが求められています。
過去の不登校児童生徒数の推移(1991年度から2023年度)
| 年度 | 小学校 | 中学校 | 高校 | 合計 |
| 1991 | 7,610 | 44,790 | 記載なし | 52,400 |
| 1996 | 12,689 | 74,402 | 記載なし | 87,091 |
| 2001 | 21,304 | 100,248 | 記載なし | 121,552 |
| 2006 | 21,514 | 108,310 | 56,192 | 186,016 |
| 2011 | 25,274 | 86,707 | 45,989 | 157,970 |
| 2016 | 31,151 | 106,128 | 48,579 | 185,858 |
| 2017 | 31,701 | 108,981 | 49,033 | 189,715 |
| 2018 | 32,877 | 119,776 | 52,752 | 205,405 |
| 2019 | 53,350 | 127,922 | 50,078 | 231,350 |
| 2020 | 63,498 | 132,777 | 50,985 | 247,260 |
| 2021 | 81,498 | 163,442 | 50,985 | 295,925 |
| 2022 | 105,671 | 193,936 | 68,770 | 368,377 |
| 2023 | 130,370 | 216,112 | 68,770 | 415,252 |
出典: 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」過去の調査結果より作成 。
この表から、不登校児童生徒の数が特に近年、急激に増加していることが明確に分かります。この長期的な増加傾向は、社会の意識や制度の変化とも連動していると考えられます。
例えば、1992年に開催された「学校不適応対策調査研究協力者会議」では、不登校を個人の「病理」としてではなく、社会や学校との関係の中で生じる「不適応」と捉える考え方が示されました 。さらに、2017年には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」が施行され、学校以外の場所での多様な学習機会の確保が進みました 。
これにより、フリースクールのような学校以外の居場所が増加し、「学校に行かない」という選択肢が社会的に許容されるようになったことも、不登校の増加に影響を与えている可能性が指摘されています 。不登校の増加は、もはや個人の問題ではなく、社会のあり方そのものが問われる課題となっているのです。
なぜ不登校になってしまうのか:その主な原因トップ10
不登校になる理由は、一人ひとりの子どもや家庭によって異なり、非常に複雑です。文部科学省の調査では、不登校の主な要因として様々な項目が挙げられています。
- 不登校の主なきっかけ(本人・保護者回答より)
- 不安や無気力:小学生で50.9%、中学生で52.2%と最も多い 。
- 友人関係のトラブル(いじめ以外も含む):27.6% 。
- 身体の不調(腹痛や頭痛など):27% 。
- 生活リズムの乱れ(夜型生活など):26% 。
- 先生のこと(合わなかった、厳しく怒られたなど):27.5% 。
- 遊びや非行、ゲームやスマートフォンへの依存傾向 。
- 学業不振、学習の遅れ 。
- 親子の関わり、家庭内の不和 。
- 病気や発達特性 。
- 学校の雰囲気が合わない 。
これらの要因の背景には、子どもが「理由がよく分からない」と答えるケースも2割を超えており、心の中の複雑な感情が絡み合っていることが分かります 。
興味深いことに、不登校の要因に対する認識は、教員側と子どもや保護者側で大きなズレがあることが指摘されています。文部科学省の調査では、教員が不登校の要因として「不適応」や「ゲーム・スマホ依存」といった本人の状況を多く挙げる傾向が見られます 。一方で、不登校の子どもやその保護者は、「先生との関係が合わなかった」や「学校の雰囲気が合わなかった」といった学校側の要因を多く挙げています 。
この認識のズレは、不登校問題の根深さを示しています。学校は不登校を個人の内面的な問題と捉えがちなのに対し、当事者である子どもや親は、学校という環境との相性の問題や、人間関係の問題として捉えていることが多いのです。この認識の違いは、支援の方向性にも影響を与える可能性があり、不登校問題の解決をさらに難しくしている原因の一つと考えられます。
不登校はなぜ年々増加しているのか、その真の原因を探っていこう
不登校の増加には、個々の要因だけでなく、社会全体の長期的な変化が複雑に絡み合っていると考えられています。ここでは、不登校問題の背景にある、より大きな社会構造の変化に焦点を当てて分析します。
家庭環境の長期的な変化と不登校の関係
共働き家庭の増加と子どもの孤独
近年、共働き世帯は増加の一途をたどっています。厚生労働省のデータによると、共働き世帯の数は令和2年(2020年)には1,240万世帯に達し、全体の68%を占める割合となりました 。
共働き自体が不登校の直接的な原因ではありませんが、両親が忙しくなることで、子どもとじっくり向き合う時間や心の余裕が持ちにくくなり、子どもが孤独を感じる可能性が指摘されています 。
明光義塾が2024年10月から11月にかけて実施した「共働き家庭の子どもの教育に関する実態調査」によると、中学生を持つ共働き家庭の教育方針は、51.4%で母親が主導しており、父親主導は13.9%にとどまっています 。また、学習サポートについても母親の分担割合が高いという結果が出ています 。これは、共働き世帯が増加した一方で、子育てや教育の負担が依然として母親に偏っている現状を示唆しており、不登校の子どもを持つ家庭では特に、母親が精神的に孤立する原因にもなり得ます 。
不登校の子どもを持つ親を対象にしたNPOの調査では、約43%の家庭で夫婦間の連携が十分に取れていないという結果も出ており、家庭内でのコミュニケーションの課題が不登校問題の背景にあることが明らかになっています 。
親の所得格差が子どもに与える影響
親の所得格差と不登校の関連性も、近年、多くの研究で指摘されています。労働政策研究・研修機構が2020年に発表した研究では、母子世帯の経済的困窮が不登校と関連していることが示されました。母子家庭での不登校経験は、二人親世帯と比べて、男子中高生で1.5倍、女子中高生で3.5倍と高い比率になっています 。
しかし、これは貧困が不登校に直接つながるという単純な話ではありません。ある研究では、貧困が「学校とのつながり(ソーシャルボンド)」を弱めることで、間接的に不登校を引き起こしていることが明らかにされています 。経済的に困窮している家庭の子どもは、そうでない家庭の子どもに比べて、進学への意欲や学校での成績が低く、学校生活に充実感を感じにくい傾向があります 。これは、経済的な理由から塾や習い事、友人との交流といった学校外での体験や学習機会が制限され、結果として学校生活に対するモチベーションや適応能力が低下するためと考えられます 。
不登校になると、さらに学習の遅れや社会的孤立が深まり、将来の選択肢が狭まるという問題も生じます。NPOの調査によると、不登校の子どもを持つ家庭は、経済的な理由で民間のフリースクールなどの支援サービスを利用できない実態も明らかになっています 。このように、貧困が不登校を招き、不登校がさらに貧困を連鎖させるという、負のスパイラルが生じているのです 。
家族の絆や関係性の希薄化
子どもが不登校になると、それは子どもだけの問題にとどまらず、家族全体に大きな影響を及ぼします。不登校の子どもを持つ親を対象にしたNPOの調査では、61%もの親が不登校によって仕事に何らかの影響が出たと回答し、約20%が休職や退職に追い込まれています 。
子どもの不登校は、親(特に育児や教育の負担を多く担うことが多い母親)を社会から孤立させ、精神的な負担を増大させます 。親が孤立し、精神的に疲弊すると、子どもと向き合う心の余裕がなくなり、家庭内でのコミュニケーションがさらに希薄化する悪循環に陥る可能性が指摘されています 。不登校の問題は、子ども、親、そして家庭の関係性全体が抱える課題として、社会全体で向き合うべき問題なのです。
学校と教員、教育委員会が抱える問題
不登校は、子どもの内面的な要因や家庭環境の課題だけでなく、学校や教員のあり方も深く関わっています。奈良県の教育研究員による論文は、教員の多忙化が、不登校の新規発生を抑制する上で不可欠な、生徒一人ひとりに寄り添う対応を困難にしていると指摘しています 。
不登校を減らすためには、すでに不登校になっている子どもへの支援だけでなく、「新規に不登校になる子どもをいかに減らすか」という予防的な視点が非常に重要です 。この予防には、教員が個々の生徒の背景や特性を包括的に理解し、日々の挨拶や声かけ、褒めることといった何気ない関わりの中で、生徒に安心感を与える「魅力ある学校づくり」が不可欠とされています 。
しかし、現在の教員体制では、このような個別対応が難しい状況にあります。学校現場は仕事が多すぎるため、一人ひとりの子どもにじっくり向き合う時間が十分に確保できていません 。このため、学校に来られる子どもが教室に入れずにいる場合でも、うまく支援につながらず、不登校が進行してしまうケースがあることが指摘されています 。
このような現状を解決するためには、個々の教員の努力だけではなく、国や自治体レベルでの組織的な支援が求められています。具体的には、学校内に安全に過ごせる「校内教育支援センター」のような居場所(ベースキャンプ)を設置することや 、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家の配置を拡充することなどが、有効な支援策として挙げられています 。
各政党の不登校に対する政策
ここでは、日本の主要な政党が不登校の問題にどのように向き合い、どのような政策を掲げているかを紹介します。各政党の考え方や主張は最新の各政党ホームページの政策や公約、党首の発言、ニュース記事などを参考にしています。各政党の考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。
自由民主党(自民党:保守、中道右派 左傾傾向)
提供された資料では、不登校に特化した具体的な政策の言及は確認できませんでした 。しかし、共働き家庭が増加する社会の変化に対応するため、育児と仕事の両立を支援する政策を掲げています。具体的には、「看護休暇」を拡充し、テレワークや時差出勤、短時間勤務、転勤規制などを通じて働き方を支援することを推進しています 。
立憲民主党(革新、中道左派、リベラル)
立憲民主党は、子どもたちが主役となる未来の学校づくりを目指し、教職員の働き方改革を推進することを掲げています 。また、いじめや不登校の問題にも積極的に取り組んでおり、子どもの自主性を育む教育を進めていくとしています 。
さらに、ひとり親家庭やヤングケアラー、発達特性のある子どもたちへの支援を強化することで、貧困が子どもたちに連鎖するのを断ち切ることを目指しています 。子どもや子育て家庭の相談体制を強化し、地域に子どもたちの遊び場や居場所、地域食堂を確保し、充実させることにも力を入れています 。
日本維新の会(保守、右派、リベラル)
日本維新の会は、不登校やいじめ対策の推進を重要な政策の一つとして掲げています。支援員の配置を拡充し、教育支援センターの機能強化を進め、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家の相談体制を充実させることを主張しています 。
また、学校教育だけが唯一の学びの場ではないという考えから、「学びの多様化学校」(不登校特例校)の設置を促進し、オンライン教育やフリースクールを活用した多様な学びの場を提供することを目指しています 。不登校の子どもが通うフリースクールの単位認定を促進し、公的な支援を強化する必要性を訴えています 。子ども一人ひとりの特性に合った学びの場を提供し、自己肯定感を高めるための支援プログラムを重要視しています 。
公明党(中道、保守)
公明党は、不登校問題の解決に向けて「不登校支援プロジェクトチーム」を立ち上げ、政府に具体的な提言を行ってきました 。提言の中では、不登校特例校の設置や、自治体とフリースクールとの連携を推進することを求めています 。
また、ICTを活用した「COCOLOプラン」を推進しており、子どもが一人一台持っている端末を使って、心のSOSを早期に検知する仕組みの構築や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員を訴えています 。さらに、学校の敷地内に「別室指導教室」を設置するなど、不登校の子どもたちが学校の中で安全に過ごせる居場所づくりを支援しています 。
国民民主党(中道、保守、リベラル)
提供された資料では、不登校に特化した具体的な政策の言及は確認できませんでした 。
日本共産党(革新、左派)
日本共産党は「子どもには休息の権利がある」という提言を発表し、「不登校は、子どものせいではありません」と明確に主張しています 。不登校対策の基本を、国が掲げる「学習活動」中心の支援から転換し、子どもの心の傷への理解と、休息・回復の保障に置くべきだと訴えています 。
また、不登校の背景には過度な競争や管理の教育があるとし、これらを見直すことで、子どもたちが通いたくなる学校づくりを目指しています 。具体的な支援策として、フリースクールや関連施設への公的な助成、子どもの不登校に対応するための親への休業補償(通算93日まで、賃金補償あり)の周知と拡充、交通費や昼食費といった経済的な負担を軽減することを提案しています 。
参政党(保守、右派)
参政党は、政治が推し進めてきた男女平等政策、特に「共働きによる子どもの孤独」が不登校の原因になっていると考えています。両親のどちらかは専業主婦(夫)として家庭で子どもとの絆を深める選択肢を与えるべきだとし、そのための手当(子ども1人あたり月10万円支給)で、経済的な負担を軽減する少子化対策を含めた政策を打ち出しています。
また、子どもたちの教育について「学力(テストの点数)より学習力(自ら考え自ら学ぶ力)の高い日本人の育成」を掲げています 。これを実現するのため、生徒一人ひとりに予算をつける「教育バウチャー(クーポン)制」を導入することで、子どもたちは学校だけでなく、フリースクールなど、自分に合った学びの場を自由に選ぶことができるようになり、すべての子供に最適で多様な教育環境を保障することを目指しています 。
れいわ新選組(革新、左派)
れいわ新選組は、不登校問題の根底にある貧困や教育格差を解決するために、大胆な経済的支援を掲げています。すべての子どもに高校卒業まで所得制限なしで月3万円の給付金を支給すること、そして保育・教育を大学院まで完全に無償化することを主張しています 。
また、教員数を大幅に増やし、少人数学級(20人以下)の実現を目指すことで、教員が一人ひとりの子どもに寄り添える環境を整備することを掲げています 。さらに、「ブラック校則」や体罰、いじめのない学校を実現し、障がいの有無や性自認など、すべての違いが子どもたちの利点となるようなインクルーシブ教育を推進することを訴えています 。
日本保守党(保守、右派)
日本保守党は、「教育制度の見直し」を掲げています 。具体的には、「自虐史観」を植え付ける教科書を見直し、商業・工業・農業・水産高校や高等専門学校といった職業教育の拡充を進めるとしています 。また、外国人学生への補助金を見直すことも主張しています 。
提供された資料では、不登校に特化した具体的な政策の言及は確認できませんでした 。
まとめ:不登校という問いかけ、未来への一歩はどこから始めるべきか
この記事を通じて、不登校という問題が、個人の内面や家庭環境の課題だけでなく、長期にわたる社会構造の変化が複雑に絡み合った結果であることが明らかになりました。
ただ、1970年代の経済成長期のみ不登校が激減していることは重要な視点のように思います。父が働いて年々給料も上がって生活は良くなってくる。母は家庭で常に子どもに接していた。現代は共働きがあたり前、働けど給料は増えず、増えても物価高騰に追いつかず実質所得は下がり続けている。このあたりに大きなヒントがあるのではないでしょうか。
過去50年間で不登校の数は劇的に増加し、特に近年は過去最多を更新しています 。その背景には、先にも書いた共働き家庭やひとり親家庭の増加、それに伴う家庭内コミュニケーションの希薄化や親の孤立、さらには貧困が引き起こす教育格差といった、深刻な社会の課題が横たわっています 。また、教員の多忙化や、子どもと学校の認識のズレといった、学校の構造的な問題も、不登校の増加に拍車をかけていると考えられます 。
この問題は、私たち一人ひとりが当事者意識を持って向き合うべき課題です。各政党が掲げる不登校への政策も、それぞれ異なる視点から解決策を提示しています。貧困や教育費の無償化といった社会全体を変えようとする大きな政策から、フリースクールや別室指導教室の整備、教員の働き方改革といった教育現場に直接関わる政策まで、多岐にわたります。
私たちは、この社会をどのように変えていけばよいのでしょうか。学校に「戻す」ことだけが唯一の解決策ではないという考え方や、多様な学びの場を保障する政策、子どもや親の孤立を防ぐ社会支援など、さまざまな選択肢が議論されています。私たちは、どの政党の政策に共感し、どのような社会を目指したいと考えるでしょうか。
不登校は、個々の家庭や子どもが抱える苦悩の背後にある、社会のあり方そのものを示しているのかもしれません。私たちがどのような社会に生きたいかを考え、一票を投じること、あるいは政治に声を届けるという一歩を踏み出すことが、すべての子どもたちが安心して生きていける社会への道につながっていくのではないでしょうか。
まとめのおまけ:学校に行かなくったって気にするな。エジソンもアインシュタインもロクに行ってないよ。
エジソン 「電球の父」として知られる発明家トーマス・エジソンは、小学校に3ヶ月しか通いませんでした。教師からは「頭の働きがにぶい」と言われ、退学させられてしまいます。しかし、母親が彼の才能を信じ、自宅で熱心に教育を施しました。エジソンは生涯にわたり、電球や蓄音機など1,300以上もの発明を生み出しました。
アインシュタイン 相対性理論を提唱した物理学者アルベルト・アインシュタインは、学校の教育方針に馴染めず、何度も学校を変えています。特に権威主義的な教育を嫌い、教師から「役立たず」とまで言われることもありました。彼は学校の枠にとらわれず、独自の思考と好奇心で学び続け、後に世界で最も偉大な科学者の一人として名を残しました。


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