人口減少が進む日本で、外国人の労働力は私たちの暮らしを支える上で欠かせないものになりつつあります。しかし、外国人を日本に呼んで就労させる制度は、将来的に日本の社会を大きく変える「移民」につながるのではないかという議論も増えています。
過去10年間(2015年(平成27年)から2024年(令和6年))で、日本国籍を取得した帰化許可者数は9万4,329人に上ります。これは、外国人が日本で働き、暮らし、やがて日本の社会の一員となるケースが増えていることを示しています。
ここでは、日本の外国人労働者の現状と、これからについて見ていきましょう。
日本で働く外国人の現状と制度を学ぶ
日本の外国人労働者の数は、年々増え続けています。厚生労働省の調査によると、2024年(令和6年)10月末時点の外国人労働者の数は、過去最高の223万2,518人となりました。これは、10年前の2014年(平成26年)の約2.5倍にあたります。
現行の外国人労働者の主な受け入れ制度
日本には、外国人が働くための様々な在留資格があります。
- 特定技能: 人手不足が深刻な特定の分野(介護、建設、農業など)で、専門的な技能を持つ外国人を受け入れる制度です。2024年(令和6年)12月末現在、27万9,436人が特定技能の在留資格で働いています。
- 技能実習: 開発途上国の人々に日本の技術を学んでもらい、母国での経済発展に役立ててもらうことを目的とした制度です。2024年(令和6年)12月末現在、41万3,158人が技能実習生として日本で働いています。
- 専門的・技術的分野の在留資格: 専門知識や技術を持つ研究者、医師、ITエンジニアなどを対象とした在留資格です。 出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(令和6年10月末現在)」(2025年(令和7年)1月24日)
受け入れている国籍と人数
外国人労働者の国籍は多様化していますが、特にアジアからの労働者が多くを占めています。
特定技能の二国間協定を結んでいる国(上位10カ国)
- ベトナム:152,382人
- インドネシア:31,034人
- フィリピン:21,809人
- 中国:17,549人
- タイ:7,820人
- ミャンマー:6,707人
- ネパール:5,770人
- モンゴル:1,873人
- カンボジア:1,343人
- パキスタン:912人
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(2024年(令和6年)12月末現在)
これからの外国人受け入れと、将来の展望
日本の生産年齢人口(15歳から64歳までの働く世代)は減り続けており、今後さらに多くの外国人労働者が必要になると考えられています。
将来の外国人労働者の受け入れ
政府は、2024年(令和6年)から2028年(令和10年)までの5年間で、特定技能制度を通じて最大80万4,000人の外国人材を受け入れる計画を立てています。これは、人手不足が特に深刻な12分野が対象です。
また、技能実習制度に代わる新しい制度として「育成就労制度」の導入も議論されています。これは、外国人材が日本で働きながら専門技能を習得し、日本での就職・定住を促すことを目的としています。
将来的に受け入れようとしている国と人数
政府は、特にベトナム、インドネシア、フィリピン、ネパールなど、これまでも多くの労働者を送り出してきた国々との連携をさらに強化する方針です。
最近議論されている外国人雇用の論点
外国人労働者の受け入れは、日本の経済にとって重要である一方で、様々な論点が議論されています。
- 「移民」と「労働者」の線引き: 政府は「移民政策はとらない」と繰り返していますが、特定技能制度や新しい育成就労制度が、実質的には長期滞在や家族の帯同を認める内容であり、実際に日本で暮らす外国人はこの10年で1.7倍に増えています。
- また、過去5年間で技能実習や特定技能制度で入国した外国人のうち4万人が失踪してそのうち1万人は現在も所在不明となっている現実があることから、制度の不備が指摘されるとともに「これは事実上の移民政策だ」という声が上がっています。
- 労働環境の問題: 一部の外国人労働者が、低賃金や劣悪な労働環境で働かされているといった人権問題が指摘されています。また、日本の労働者の賃金が下がったり、雇用が奪われたりするのではないかという懸念もあります。
- 多文化共生: 言葉や文化の違う外国人が増えることで、地域社会との間で摩擦が起きる可能性も指摘されています。
外国人の日本帰化人数
外国人が日本人として帰化する数は年間8千人から1万人程度で、近年で特に増加しているという傾向は見られないようです。
法務省が公表している過去20年間の帰化許可者数をまとめると以下のようになります。
| 年次 | 帰化許可者数(人) |
|---|---|
| 平成15年(2003年) | 17,633 |
| 平成16年(2004年) | 16,336 |
| 平成17年(2005年) | 15,251 |
| 平成18年(2006年) | 14,108 |
| 平成19年(2007年) | 14,680 |
| 平成20年(2008年) | 13,218 |
| 平成21年(2009年) | 14,785 |
| 平成22年(2010年) | 13,070 |
| 平成23年(2011年) | 10,359 |
| 平成24年(2012年) | 9,879 |
| 平成25年(2013年) | 9,145 |
| 平成26年(2014年) | 9,252 |
| 平成27年(2015年) | 9,933 |
| 平成28年(2016年) | 9,554 |
| 平成29年(2017年) | 10,315 |
| 平成30年(2018年) | 9,074 |
| 令和元年(2019年) | 8,453 |
| 令和2年(2020年) | 9,079 |
| 令和3年(2021年) | 8,167 |
| 令和4年(2022年) | 7,059 |
| 令和5年(2023年) | 8,800 |
| 令和6年(2024年) | 8,863 |
注釈:
- これらのデータは、法務省民事局が発表している資料に基づいています。
- 年によって申請から許可までの期間が異なるため、申請者数と許可者数が同じ年で一致しないことがあります。
- 過去10年間の許可者数は年間8,000人から1万人前後で推移しており、近年は特に7千~9千人台での推移が目立ちます。
帰化許可件数(国籍別)
国籍別では、韓国・朝鮮がもっとも多く、ついで中国、ベトナム、フィリピン、台湾などとなっています。
特定技能制度からの帰化申請かどうかはそもそも情報をとるしくみになっていないためデータは無いようです。新しい育成就労制度ではこのあたりも監視してほしいところです。
| 国籍 | 2024年(単年) | 累計(1952年〜2024年) |
| 韓国・朝鮮 | 3,962人 | 341,202人 |
| 中国 | 2,823人 | 206,192人 |
| 台湾 | 276人 | 25,123人 |
| ベトナム | 1,524人 | 23,831人 |
| フィリピン | 1,192人 | 23,723人 |
| アメリカ | 68人 | 5,348人 |
| ブラジル | 125人 | 5,153人 |
| ペルー | 68人 | 3,004人 |
| タイ | 118人 | 2,803人 |
| その他 | 1,199人 | 38,719人 |
| 合計 | 11,043人 | 665,666人 |
特定技能2号が移民の抜け道となっていることは否めない
外国人が日本で家族帯同で定住できる制度が特定技能2号の制度です。
アフリカホームタウン、インドから50万人、バングラデシュから10万人、エジプトとの協定などで、たてつづけに外国人労働者の流入政策がどんどんと進められており、政府は「移民政策ではない」と繰り返し説明していますが、制度的にはすべて特定技能1号で入国することになり、これらの人たちが2号に移行すれば家族帯同で日本に永住できることになります。
また、外国人留学生が卒業後に特定技能1号や専門的・技術的分野への在留資格変更を行った数は2015年には16,337件であったものが年々増え続け、2024年度では41,400件にのぼっており、本来、留学をして母国の発展に貢献するという趣旨が全く違ったものになってきています。
家族が帯同できて永久更新なのうな特定技能2号の日本在留者は、制度が始まった当初は非常に少数でしたが、2024年6月に対象分野が拡大され、急激に増加しています。
特定技能2号は、人手不足が深刻な特定産業分野において、熟練した技能を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。在留期間に上限がなく、家族帯同も認められているため、長期的なキャリア形成や日本への定住を目指す外国人にとって重要な制度です。
特定技能1号との違い
特定技能制度には、1号と2号の2つの区分があり、それぞれ要件や待遇が異なります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能(現場のリーダーや職長クラス) |
| 試験 | 日本語試験と技能試験 | 1号より高度な技能試験、または技能検定1級に合格 |
| 実務経験 | 一般的に不問(技能実習2号修了者は試験免除) | 一定の実務経験が求められる(分野による) |
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 不可(国際結婚等で帯同可能な場合を除く) | 配偶者と子が帯同可能 |
| 支援 | 義務的な支援が必要 | 義務的な支援は不要 |
| 永住への道 | 直接は難しい | 在留期間が永住許可の要件にカウントされる |
対象分野
当初は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野でしたが、2023年以降、対象分野が大幅に拡大されました。
- 2023年に追加された分野: 飲食料品製造、農業、漁業、外食業、産業機械製造、電気電子情報関連産業、自動車整備、航空、宿泊、ビルクリーニングなど。
取得方法
特定技能2号を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 実務経験: 現場のリーダーや職長として、一定期間の実務経験を積む。
- 試験合格: 該当分野の特定技能2号評価試験、または技能検定1級に合格する。
- 実務経験の証明: 管理職相当の実務経験を証明する書類を提出する。
受け入れ側のメリット
- 優秀な人材の確保: 1号よりも熟練した技能を持つ優秀な人材を長期的に確保できます。
- コスト削減: 義務的な支援が不要になるため、企業側の管理コストを削減できます。
- 人材定着: 長く日本で働きたいと考える外国人を雇用できるため、人材の定着率向上につながります。
制度改正以来、在留者は激増している
| 年月 | 在留者数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2024年8月末 | 314人 | 制度が始まった当初の2019年ではなく、2022年から始まった。 |
| 2024年12月末 | 832人 | 2024年6月の対象分野拡大後、在留者が急増。 |
| 2025年5月末 | 2,560人 |
主な国籍の内訳(2024年12月末時点)
- ベトナム: 558人(約65%)
- 中国: 116人
- フィリピン: 54人
- インドネシア: 42人
各政党の政策
各党の考え方や主張は最新の各政党ホームページの政策や公約、党首の発言、ニュース記事などを参考にしています。各政党の考え方を見て、自分の考え方に合う政党はどこかを選んでみましょう。
- 自由民主党(自民党:保守、中道右派、左傾傾向) 自民党は、人手不足を解消するために、外国人材の受け入れを積極的に推進しています。技能実習制度に代わる新しい「育成就労制度」の創設や、特定技能制度の分野拡大を通じて、外国人が日本で働きやすくなる環境を整備する方針です。その一方で、治安や社会保障制度への影響も考慮し、慎重な議論も進めています。
- 立憲民主党(革新、中道左派、リベラル) 立憲民主党は、外国人労働者の人権保護を重視しています。外国人が不当な労働を強いられることがないよう、労働基準の遵守を徹底し、労働者の権利を守るべきだと主張しています。また、外国人との共生社会を実現するために、日本語教育や生活支援を充実させる必要性も訴えています。
- 日本維新の会(保守、右派、リベラル) 日本維新の会は、外国人労働者の受け入れについて、日本の国益を第一に考えるべきだと主張しています。必要な分野に限定して受け入れを増やすべきだという考えで、特に高度な技術を持つ専門人材を積極的に誘致する方針です。一方で、生活保護受給者など、社会保障制度に過度な負担をかけるような形での受け入れには反対の立場をとっています。
- 公明党(中道、保守) 公明党は、外国人材の受け入れと、外国人との「多文化共生社会」の実現を両立すべきだと主張しています。日本で生活する外国人が孤立しないよう、地域での日本語教育の機会を増やしたり、相談窓口を充実させたりする政策を推進しています。
- 国民民主党(中道、保守、リベラル) 国民民主党は、日本人の雇用を守りつつ、外国人材を受け入れるためのルール作りを重視しています。日本人の賃金を下げるような安価な労働力として外国人を雇うのではなく、外国人労働者が日本の賃金水準に合わせて働けるような仕組みを整えるべきだと訴えています。
- 日本共産党(革新、左派) 日本共産党は、外国人労働者を安価な労働力として利用する現在の制度に反対しています。外国人労働者も日本人労働者と同じ賃金・労働条件で働く権利があるべきだと主張し、技能実習制度を廃止して、人権が守られる新しい仕組みを作ることを求めています。
- 参政党(保守、右派) 参政党は、外国人労働者の受け入れには、日本の文化や社会が壊されることのないよう、慎重になるべきだと主張しています。無制限な受け入れではなく、日本が必要とする分野に限定し、厳しい審査を行うべきだという考えです。
- れいわ新選組(革新、左派) れいわ新選組は、外国人労働者が日本で働く際の労働条件や人権が守られるべきだと主張しています。安価な労働力として利用する現在の制度の問題点を指摘し、外国人労働者も日本で生活する一員として、差別されることなく、人間らしい暮らしができるようにすべきだと訴えています。
- 日本保守党(保守、右派) 日本保守党は、国境管理を厳格にし、外国人労働者の受け入れは日本の国益と治安を最優先にすべきだと主張しています。日本の伝統や文化を維持するため、安易な外国人受け入れには反対の立場をとっています。
まとめ:外国人雇用問題は私たちの未来とどうつながるのか?
外国人労働者の受け入れは、日本の社会と経済にとって欠かせないものになりつつあります。この問題は、単に「働く人」を増やすだけでなく、言葉や文化が異なる人々とともに暮らす「多文化共生社会」の実現に関わる大きな課題です。
冒頭でも示した通り、過去10年間(2015年(平成27年)から2024年(令和6年))で、日本国籍を取得した帰化許可者数は9万4,329人に上ります。これは、外国人が日本で働き、暮らし、やがて日本の社会の一員となるケースが増えていることを示しています。
あなたは、外国人労働者の受け入れをどのように考えますか?日本の社会が、今後どのように変わっていくべきだと思いますか?この問題は、遠い国のお話ではなく、私たちの身近な暮らしや未来と深くつながっているのです。


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